マッドサイエンティスト 第13話〜第19話

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【マッドサイエンティスト1101 家族①】


「谷先生?

さきからしきりに何か気にしてますけど大丈夫ですか?」


「は、はい。

大丈夫です」


「は、はい!」


「まあ、僕達はお会いするのは大学院の頃以来ですし、谷先生が緊張されるのも無理はありませんよ」


「あはは、そうですよねー!」


「あのぉ〜、もしかして僕とお話しするの退屈ですか?」


「そ、そんなことありませんよ!

軽井さんのトークは聞いてて楽しいです」


「本当ですか〜?

谷先生は大学の頃もっと明るくて天真爛漫な方だと思ってたんですが、もしかして猫被ってます?」


「普通ですよ!

ただうちとてやっぱ緊張しますよ。

軽井さんのお父さんは大企業の会長さんで、

軽井さん自身も社長ですやん。

うちなんてわざわざ選ばんでももっと他に相応しい女性がいるんじゃないですか?」

「僕は恵美さんじゃないと駄目なんです!!!!」


・・・・・・


「は、はあ」


「急に顔を近づけてビックリさせてしまって申し訳ありません。

大丈夫でしたか?」


「だ、大丈夫です。

しかし、どうしてそうまでしてうちなんかに拘るんですか?」


「僕は忘れもしませんよ。

僕と恵美さんが同じ班になってお互いの研究内容を話し合う時がありましたよね?」


「ああ、ありましたね。

でも、うちはあんたに喜ばれるようなことした覚えは無いねんけど」


「いえいえそんなことありません。

僕が他の人より研究の進捗がいいので、

参考にしていただくという理由から僕の研究内容を班のみなさんにみせたときありました、よね?」


「ああ」


「そのとき恵美さんは、僕に生まれてはじめてハッキリと怒ってくれたんです」


「はぁ!?」


「僕は恵美さんの言葉、今でもハッキリ覚えてますよ。

***

谷先生

 お前なぁー。テメーの研究はどれもこれも全て

お前ん家の人脈使って関係企業お抱えの研究者に

肩代わりしてもらったものばかりじゃねーか!

 どこにお前の新しさがある!?

どこにお前らしさがある!?

お前は、お前の頑張っている証はどこにあんだよー!?

みんなを馬鹿にするのもいい加減にしーや!

うちらみんなな、研究者としての誇りや夢を持ってコツコツとクソ面倒くせー研究を頑張ってんだよー!

さぁ、歯喰いしばれー!!」


軽井

「え、え?

ちょっとあの……」

『ぐふぉー!!』


君……今、僕を殴ったね?

親父にもぶたれたことないのに」


谷先生

「ドMか!!」


***


「ああ、確かにうちそんなこと言ったかも」


「だから、もうその時から僕には恵美さんしかいないんです。

恵美さん、僕と結婚を前提にお付き合いしていただけませんか?」


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【登場人物】

•谷先生

•軽井



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【マッドサイエンティストE 家族②】


「気持ちは嬉しいですけど、

急にそんなふうに言われても、うち困りますわ」


「もちろん、お返事は直ぐでなくても大丈夫です」


『ピロピ〜ピピ〜ピ〜ピ〜ピ〜♪』


「あ、着信や、すみません。

出ていいですか?」


「はい、どうぞ」


「ありがとうございます」


ピッ!


〔羽美姉、どうしたんや?〕


[ダビィンチが大変なのよ!]


〔ダビィンチの具合、そんなに悪いんか?〕


[そう!

お母さんが言うには今朝は良かったみたいなんだけどね、私がかけつけたときには立ち上がる気力も無いみたいでぐったりしているわ]


〔医者は呼んだんか?〕


[動物病院の先生はついさっき診にきてくれてて、

もう帰ったわ。

老衰で今特に免疫力が下がっているから、

今の状況での手術はお勧めできないって。

ねえ恵美?

あんたも後で実家来れる?]


〔えわかった。うちもすぐ行く。

電話切るで〕


[うん]

ピッ



「恵美さん、今随分忙しそうですが大丈夫ですか?」


「心配かけてすみません」


「ダヴィンチって盛んに話してましたけど、

恵美さんは部屋にペットを飼われてるんですか?」


「部屋では無いんですけど、実家のほうでダヴィンチっていう犬を飼ってるんです」


「なるほど、部屋で飼ってる訳では無いんですね!

実家の犬はお母さんとお姉さんがいるから心配無さそうですね!」


「……」


「え、急に僕何か気になることでも言いましたっけ?」


「あ、そうそう!

うち、実家に戻る用事があるんで、

すみません」


「は、はい。

気をつけて帰ってくださいね」


「はーい!」


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【登場人物】

•谷先生

•軽井



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【マッドサイエンティスト3x3 816357492 家族④】

***

「ね〜、真智ちゃん〜?」


「どうしたの、四葉ちゃん?」


「月水さん〜、双眼鏡を取り出して

向こう側を遠目から気にしてるみたい〜」


「わぁー、ホントだ!

わざわざ遠目から何を観てるんだろう。

 そうだ!

ねえ、四葉ちゃん?

それに宙?」


「あたいはついでかよ!」


「まあまあ。

三人で月水が気にしてる場所、観に行ってみようよ!」


「おいおい、

月水が慎重になっているところを、

うちらが行って危険じゃないか?」


「ここは表通りに面しているから人がそれなりに行き来しているから危険な場所じゃないから大丈夫だよ。

ね、四葉ちゃんもそう思うよね?」


「そうね〜、私もそこは真智ちゃんの意見と同じかな〜」


「よーし、決まり♪

行ってみよう!」




こうして、真智•四葉•宙の三人は目的の場所、

最近出来たお洒落で高級そうな雰囲気の喫茶店の前へとやてきた。

 そして、三人は自分自身の目を疑うような驚愕の事実を目の当たりにするのである。



「ねえ、これってどういうこと?

あたし達夢でも見てるのかな?」


ギュー!!


「痛い痛い、痛い。

宙、痛いって!」


「だって、つねると夢から覚めるって言うじゃん?」


「百歩譲ってつねることは許したとしよう。

だけど、絶対コレつねる場所違うよね?

普通つねるのは頬。ほっぺ、わかる?」


「ああ」


「そして、宙が今つねったところはあたしの

この違い、わかる?」


「ああ」


「ああ。

じゃなーい!!

どうして、どさくさに紛れて人の乳首つねってんのさー!」


「だって、おっぱい揉んだら胸大きくなるって言うだろ?

だったら、乳首つねってたらミルクがたくさんでるかなと思って」


「三人の中で1番貧乳で悪うぞざいましたねー!

だけどあたし、乳牛でも赤子のお母さんでも無いんだし、ミルクの出なんて求めてねーし」


「まあまあ〜、二人とも落ち着いて〜。

それで宙ちゃ〜ん?

どうしてさっきは真智ちゃんをつねったりしたの〜?」


「だって、これはどう考えてもおかしいだろ。

谷先生が二人もいるなんて……」


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【登場人物】

•真智

•四葉

•宙




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【マッドサイエンティスト124816 家族⑤】


「宙、あんまり窓に近付いたら尾行気付かれちゃうよ!」


「あ、悪い悪い」


真智•四葉•宙の三人は、

通りに面した窓側のテーブルに向かい合って座る谷先生と男の人、二人の会話に集中していた。


「それにしても、谷先生と一緒にいる男の子、

背が高いし、けっこうイケメンじゃない?」


「そうか?

あたい的には筋肉量が期待外れやな」


「アハハ、わかる気する。

どうせ宙のことだからマッチョな男性って言うより筋肉それ自体が好きなんでしょ?」


「真智、ありがとう。

やっとうちのことわかってくれたなー!」


「褒めて無い褒めて無い」


「そうかなあ〜、

私的には〜……」

「四葉ちゃんストープ!」


「え〜?

私にも言わせて〜」


「ある意味で宙より生々しいこと言い出しそうだから、お願い止めて」


「いいじゃない〜。

食べて美味しそうとか〜……」


「止めーい!!」


「真智ちゃん〜、本気なのはわかるけど、

眼が某カオス系ギャグ漫画のポップ子ちゃんが出版社をぶっ壊す時みたいになってるよ」


「アハハ。

四葉は食人鬼だな」



「ねえ、二人ともいい〜?」


「どうしたの、四葉ちゃん?」


「谷先生、さっきからそわそわしてない〜?」


「確かに、落ち着きが無いって言うか、

男の人と話してる割にはどこか上の空って言うか」


「ねえ、君たち」


「わっ、ビックリした!」


「真智、大丈夫か?」


「う、うん」


「驚かせてしまってごめんよ」


「貴方は確か、一休さん……」


「ボクが一休さんなわけないけど、

まあ、今その件はどうでもいいか。

 ここで話して聞こえちゃマズイからね。

場所を変えてもいいかい?」


「いいですけど、いい歳こいたオッサンがあたしたちにいかがわしいことしたりしないでしょうね?」


「しないしない。

君たちには興味無いから安心して」


「それはそれで最低なんですけどー!」


「そうだそうだ!

おっさんにはデモクラシーってのが無いのか?」


「デモクラシー?

ボクは大正生まれじゃ無いよ?」


「宙、デモクラシーじゃなくてデリカシーね!」


「わ、悪い。そうとも言う」




真智•四葉•宙は月水の提案で場所を移し、

いざとなれば助けを呼べるようにと親子連れで賑わう公園までやってきた。


「で、おじさんがあたし達に何の用があるんですか?」


「えみ……、谷先生のことで君たちにお願いがあるんだ」


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【登場人物】

•真智

•四葉

•宙

•月水


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【マッドサイエンティストx(halogen)家族⑥】


「君たちに聞きたいことって言うのは、谷先生とあの男の人との関係なんだ。

わかる範囲でいいんだ。教えてくれないかな?」


「そんなの、オッサンが直接谷先生に聞いたらいいだろ?」


「宙!」

「宙ちゃん〜!」


「す、すんません……」


「いいよ。

宙ちゃんが言うように、ボクが直接谷先生に聞いたらいいに決まってるんだよね」


「だったら、迷うことなんて無いじゃないですか!」


「真智ちゃん〜」


「ボクは知っての通り、谷先生が好きなんだよ。

だからこそ、谷先生の幸せを1番に考えてあげたいんだ」


「それは見ててわかります。

でも、そのことが谷先生に直接気持ちを聞かないことや、あなたが谷先生に気持ちを伝えようとし無いことと、いったい何の関係があるんですか?」


「まあまあ、真智。少し落ち着こうぜ」


「宙は黙ってて!」


「悪い」


「宙、……ごめん」


「ああ、いいよ」


「ボクは、例えボクが選ばれ無くても、

谷先生が幸せになってくれるなら、

それでいいんだ」


「嘘ですよ、そんなの!」


「こら、真智。

言い過ぎだろ」


「嘘、か。

確かにそうかもしれないね」


「月水さん、あなたはただ自分自身が信じられず

現実から逃げているだけです!

現実からも、自分自身の気持ちからも逃げて保身に

走っているだけ。

もしも振られたらどうしよう。

容姿や性格を理由に振られたらどうしよう。

自分に対して唯一距離を縮めて離してくれる大切な幼馴染に振られたら果たして立ち直れるだろうか?

傷付きたくないから。

違いますか?」


「真智、お前……」


「まいったな。

真智ちゃんの言う通りだよ。

そうなんだ。

残念ながらボクはハゲてるしブサイクだし、

会話も苦手だし、女性から変わり者だって避けられてるんだ。

だから、ボクなんかには……」


「そんなの甘えてるだけですよ!

みんな、容姿や性格にコンプレックを抱えて生きてますよ!

 変わり者だっていいじゃないですか。

普通で面白みが無い性格の人より、

変わり者だけど笑いのネタに尽きない旦那さんなんてあたし的には憧れますけどね。

 ただ、一女性の意見として今の月水さんには魅力なんて感じませんよ」


「真智……ちゃん。

君はそこまでボクのことを考えて」


「月水さんはもっと泥臭く頑張ったらいいじゃないですか!

谷先生に振られても、また期間を空けてめげずに何度でもプロポーズしたらいいじゃないですか!

今までみたいに」


「わかるよ!

痛いほどわかるよ!

でもね、真智ちゃん。

大人には大人の事情もあるんだよ。

谷先生とあの男の人の間に割り込んで、

迷惑になるんじゃないかって本気で悩んでるんだよ!」


「じゃあ、悩んでるからって理由で何も行動しなくていいんですか?

後で絶対に後悔して不満や愚痴をこぼさないって断言出来ますか?

 谷先生に似せたセックスドール作って自分の気持ちを誤魔化してる場合じゃないですよ!」


「真智ちゃん、どうしてそれを!!」


「あの谷先生が月水さんにイチャイチャしてくる訳無いじゃ無いですか!

 最初は媚薬の件も考えましたが、

本物を別に見つければ、そりゃあっちが偽物ってわかりますよ。

 まあ、ドッペルゲンガーの選択肢もありますが、あたしはまだ死にたくはありませんので」


「ありがとう、真智ちゃん。

そして君たち。

ボクはもう一度、谷先生のところに行ってくるよ!」


「はい。

頑張ってください。

あたし達、期待せずに応援してますから」




月水は三人と別れた後、

決意を新たに谷先生のところへ意気揚々と向かっていった。


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【登場人物】

•真智

•四葉

•宙

•月水



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【マッドサイエンティスト 三角数1 × 3 × 6  家族⑦】

***


「身体もこんなに痩せ細って。

それに、息苦しそうね」


「最近、エサをやってももどすし。

内臓がもう弱っとるんやろな」


「ダビィンチ〜、大丈夫だからな〜。

大丈夫、きっとよくなるからな〜。

元気になったらまたうちと一緒に公園を走り回ろうな!

だから、今はしっかり休むんやで〜」


「なあ、恵美?

あんた、ダビィンチがうちに来たときのこと覚えとるか?」


「当たり前やんけ!

うちが高校生くらいんときにオカンが保健所から貰ってきたんやろ?」


「そうや。

まだ生まれたばかりの子犬だったダヴィンチは、

保健所で殺処分されるところやったんや。

 保健所の人が言うには、元の飼い主は飼い始めてから思った以上に匂いが気になり育てるのが大変だったという理由で飼育放棄したらしいんや。

うちは保健所の人に引き取るからには責任を持ってくださいと念を押されたことを今でも覚えてるで」


「酷いことする人もいるわね」


「そうやな」


「本当や」


クフン、クフン!


「ダビィンチ!?」


「どうしたんや?」


「ダビィンチ、また咳き込み出したみたい」


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【登場人物】

•谷先生

•羽美

•谷先生の母親



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【マッドサイエンティスト 完全数4 + 9 + 6 完全数 8 + 1 + 2 + 8 家族⑧】


***

「ああ、探しているうちにもう夕方だよ」


 昼間から日が沈みはじめるまでの間ずっと

月水は谷先生の行方を探した。

 しかし、喫茶店周辺から谷先生の住むアパート近くまでくまなく探してもなお、

手がかりすらみつけることが出来無いでいた。




「えみたんは今いったいどこにいるんだろ?」


「恵美さんの行先、知りたいか?」


月水が声のする後ろを振り返るとそこには……。



「あ、あんたは確かさっき喫茶店で谷先生と一緒にいた」


「ご名答!

俺が恵美さんと喫茶店で話していたことよく知ってるね。

俺がさっき喫茶店であいつといったいどんなことを話していたと思う?」


「し、知らないよ」

「プロポーズ。

俺はあいつにプロポーズしてきたんだ」


「……」


「おや、君はもっと悔しがると予想していたんだけど意外だな」


「軽井さん、あんた本気でえみた、恵美さんのことが好きなのか?」


「は?

どうして今更そう言う野暮なこと聞くんだい、君は?」


「だって、喫茶店の窓からみてたけど

恵美さんあんたと食事してて全然楽しそうじゃなかった」


「アハハ、笑わせてくれるな、君は!

 じゃあ、聞こう。

覗き魔の月水くん。

恵美さんは君となら話していて楽しそうだって

そう自信を持って言えるのか?」


「ああ、断言するよ。

ボクは、ボクは絶対に恵美さんを笑顔に出来る!」


「くっ!」


「それに、谷先生に他に気になることがあったのは態度ですぐわかる筈なのに、

軽井さんは恵美さんを優先してあげなかった。

軽井さんが本当に恵美さんに対して興味があるなら、恵美さんの気持ちを蔑ろになんてしない!

軽井さん、あんたは恵美さんのこと好きでもなんでもない!

違うか?」


「黙れ!

お前に俺の恋愛観に対してとやかく言われる筋合いは無い。

 俺は恵美さんの、一国を代表する数理学的研究者としての知識やアイデアが欲しいんだ」


「やっぱり。

つまり、あなたは一人の人間として女性として恵美さんをみていない。お金儲けの道具としてしかみていない。

つくづく可愛そうな人だね」



「黙れ!

貴様に丘から破門された俺の気持ちがわかってたまるか!」


「違う!

丘先生は軽井さんを見捨てたりしていない!」


「丘は、俺の論文をみて人真似だって吐き捨てたんだぞ!」


「違う!

そう言ったのは軽井さんに研究者として正しい道を進んで欲しかったからだ。

 丘先生はちゃんと、軽井さんのいいところを評価していた。

軽井さんがいないところでも、ボクや恵美さんの前でちゃんと丘先生は話してくれたよ」


「喧しい!

月水、お前はあいつのところに行こうとしてるんだよな?

お前、あいつに告るつもりだろう?

ただでは行かせねえよ」


「ただではってはどういう意味だよ?」


「行ってもいいが、その前に、

恵美に電話してもらう。

そしてこう言うんだ。

ボクは軽井さんと恵美さんの結婚を祝福しますってな」


「ふざけんな!

恵美さん自身を本当に好きでも無い旦那さんと一緒になって、恵美さんが幸せになれる訳無いじゃないか!」


「まあ落ち着けって。

俺だって馬鹿じゃない。

俺からあいつに向かって本当はお前のこと好きじゃないなんて言わないから。 

知らなければ幸せって奴よ。

 まあ、あいつの研究の資産に興味が無くなったら

その先はわからないけどな」


「ふざけんなー!!」


「あいつだって幸せじゃないか?

あいつもいい歳だ。

子供を生むならそろそろ焦らないといけない訳だし、俺の子を孕ませてあげるくらい……」


月水「歯ー喰いしばれー!?」


軽井「な???」


月水 ボゴッ!


軽井 「げほぉ、いっ痛え! 何しやがる!

ボクシングをやっていた俺に向かってよくも」

軽井 ドスー!!


月水「ぐふぁ」


軽井 バコ!

軽井「そんな生意気なことが出来たな」


月水「ぐはっー!」


軽井 ボゴッ!

「謝れ!」


月水 「ぐふぁ、……絶対に嫌だ!

お前こそ恵美さんに謝れ!」


「んだとー?」

軽井 バコ!

「謝れ!

そして、貴様のスマホから今からあいつに電話を繋ぐから、

あいつの前でさっきの言葉を話すんだ。

いいな!」


プルル、プルル!


***

〔なんや、月水!

さっきから何回も電話をかけて、

うち今忙しいんやけど。

で、何の様や?〕


[……]


〔無言かいな〕


[@♯/$_〜!!]


なんや、周りが騒がしいな。

うち、何か嫌な予感がする。


ピッ!


「ねえ、恵美?

あんた慌ててどこ行くの?」


「ごめん、羽美姉。

うち、月水んとこ行ってくるさかい、

その間、おかんとこ一緒に居てあげてくれんか」


「あ、うん。わかったわ。

でも、恵美?

あなた月水さんの居場所わかってんの?」


「ああ、多分な。

今日うちにプロポーズしてきた男、素性が気になったからナノサイズのicタグつけといたんや。

 あいつと月水、うちと一緒で大学の同期やし、

きっと何か揉めとるんやろ」


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【登場人物】

•月水

•軽井

•谷先生

•羽美







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りけじょ!のシュールな冒険【II】死後の意識編 憮然野郎 @buzenguy

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