第181話 喜びの歓喜
僕はここで何をしていたんだろう?
‥‥‥インフルエンザウイルスを消すことだろ。
じゃあ、僕は何の為にここに居る?
‥‥‥このホクトリアを元に戻す為だろ。
じゃあ‥‥‥僕は‥‥‥僕は‥‥‥みんなの役に立てたのかな?
‥‥‥‥‥‥。
僕はゆっくりと立ち上がると空を見上げた。
見上げた空から何かが僕らに向かってゆっくりと落ちてくる‥‥‥
「なんなんだろう?‥‥‥雪?」
白くて小さい‥‥まるでそれは雪のよう。けど空は青空。雪雲なんて一つもない。
僕は空から落ちて来るその雪のような物を手の平に乗せた。すると‥‥‥
「冷たくない、寧ろ温かい‥‥‥えっ!」
手の平に乗った雪のような物はまるで雪が手の平で溶けるように「スゥー」と手の平を通り地面に落ちた。そして地面に落ちるとまるで地面に吸い込まれるように消えていく。
「なんだこれは?」
僕が驚いていると、チーとマーが僕の肩に乗ると一言、
「妖精だ!」
「えっ?妖精!」
僕はチーとマーを見た。そして空を見た。白い雪の様な‥‥‥いや、妖精は次から次へとまるで雪がシンシンと降るみたいにゆっくりと沢山降って来た。
「‥‥‥戻ってきたのね‥‥‥」
チィーユが空を見上げて言った。
「戻って来た?‥‥まさか!草木の妖精達!」
そう! 空から降って来たのは、草木の妖精達だった。妖精達が地面に落ちると地面に吸い込まれる様に消えた。そしてその場所からは幼い若葉が息吹をあげた。その光景を見たこの場に居た人々は
「戻って来た‥‥戻って来た‥戻ってきたんだあああー!」
「やったんだあ!やったんだあー!」
涙を流して空を見上げる者、地面にしゃがみ泣く者、お互い抱き合い喜んで泣く者、その様子は様々で皆、歓喜をあげ喜んだ。
アルベル達が僕に近寄ると僕の肩を叩き、
「光! やったな‥‥ありがとう」
涙ながらに僕にお礼を言った。が僕は首を横に振ると
「みんなのお陰だよ。みんなが居なければ、僕だけではこうわならなかった。それにまだインフルエンザウイルスがどうなったか‥‥‥」
僕がそう言った時、僕の4WD車のアイが
「ヒカリ!ホウコクガアリマス!」
そう呼びかけた。そのアイの呼びかけに周りで歓喜し喜んでいた人達は一瞬静まり返る。
「なんだい?アイ。あれ?所で他の5台の車は?」
「ヒカリ!ホウコクガアリマス!」
繰り返し言うアイに僕は少しため息をすると、
「わかったよ。アイ、報告をしてくれ」
なんの報告かまた静まり返る。そして‥‥
「ホウコクシマス‥‥‥ハンケイ100キロケンナイノインフルエンザウイルスハスベテ‥‥‥モトノスガタノキンニモドリマシタ!」
そうなんです!5台の車は100キロ程離れた所までいつのまにか行っていてウイルスの状態を調べていたんです。まあ、コピーした4WD車や500年前の4WD車は僕の4WD車と同じ装備が元からあってもおかしくないですからね。
で、その報告を聞いた僕は、
「ウイルスが消えたのかよ!元の菌に戻ったのかよ!‥‥‥やったあああー!」
僕は拳を作り天高く両手を上げて喜んだ。そんな僕を見た周りの人達はまた歓喜をあげた。先程よりも喜びの歓喜を!
すると僕の前にミリアが下を向きながら立ち、僕の名を呼びます。
「‥‥‥光様‥」
「うん?」
そしてミリアは僕に抱きついて僕の胸に顔を埋めて泣きながら叫びます。
「光様!光様!光様!‥‥‥ありがとうございます、ありがとうございます」
そんなミリアを僕は優しく両腕で抱きしめます。そんな僕はいつのまにか涙をまた流していた。そしてイレイ達も、
「イレイ、いいの?」
「何が?メイル」
「ミリアがあの様な事をしていることに」
「仕方がないわよ。だって同じ立場だったら私も同じことをしていたもの。今は光をミリアの好きにしてあげましょう」
「‥‥そうね」
イレイも涙ながらにメイルに言う。そんなメイルも笑みを浮かべて喜び泣きながら言っていた。
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