第182話 日の出

ここは‥どこだ?‥‥‥目を開けているよな?けどなにか暗い‥‥‥頭も少し痛い。

体も重い。ただ‥‥‥体全体は暖かい。

体の下は、いや、上もなにかモフモフした‥‥‥布団?いや、これはベッドか?じゃあ、上のは掛け布団か?

あっ!けど両腕、両足は動かせそうだ。

僕は右手を動かしましたよ。


「モソモソモソモソ‥‥‥ムニュウ♡」

「うん?‥‥‥なんだこれ?」

「モソモソモソモソ‥ムニュウ♡」

「‥‥‥あっ♡」

「えっ?‥‥‥も、もしかしてこのムニュウ♡の感触は‥このパターンは‥‥‥」


僕は恐る恐る右をゆっくりと向き見ましたよ

でそこにいたのは‥‥‥


「う〜〜〜ん?‥‥‥えっ!ミ、ミ、ミ、ミ、ミ、ミリアー!」


「‥う〜ん‥‥‥」


僕は少し声を出したので、ミリアが起きそうになったので、口を直ぐにつむんだ。

じゃあ‥左側ももしかしてぇ‥‥‥


「モソモソモソモソ‥‥‥ムニュウ♡」

「あっ、右より大きな感触‥‥じゃなくてぇ!」

「‥ムニュウ♡‥‥‥あっ♡」


で、左側もゆっくりと見ると‥‥‥


「ク、ク、ク、クリエラァァァ!」

「う〜〜ん‥‥」


また僕は直ぐに黙りましたよ。で、で、僕の今の現状を考えましたよ。て、考えなくても直ぐに分かったんですけどね。

僕は二人に以前イレイとメイルにした、腕枕をしていたんですよ。そりゃあ動けないわけですよねぇ〜。

で、で、で、自分の上にはカイトが気持ちよさそうに寝てますよ。この態勢は胸枕になるのかな?

て、そんなこと考えてないで何とか‥‥‥

そんでもって僕は蝶がさなぎから脱皮するように、ゆっくりゆっくりと抜け出しました。

幸いこのベッドはキングサイズ以上あるので、3人がベッドから転げ落ちる事はなかったんです。が‥‥‥


「なあ、なあ、なあ、なあんじゃあ!この状態はあああ!」


僕の目の前には人の死体がゴロゴロと、ではなく‥‥‥酔い潰れた人が毛布にくるまり寝てます。多分この部屋で宴でもしたんだと思った時、僕はホクトリアのあの地であの後、力尽きて気を失ったんですよね。で、次に目覚めた時がこの部屋のベッドの上。で、で、その時は宴がもう始まっていたんですよ。

さらに悪いことにアルベルに僕が目が覚めたことに気づいたらしく、


「光!飲めええー!」


で瓶の半分近くを飲まされましたよ。で、また僕は直ぐに寝てしまったんですよね。


「あ〜、だから少し頭が痛いのか‥‥‥少し外の空気でも吸ってこよう」


僕はこの酔い潰れた死体?の山を踏まないようにそ〜と、避けながら近くに掛けてある僕のダウンジャケットを取ると部屋を出ますと、


「光様、どちらへ?」


「えっ?」


ドアの左右横には女性兵が徹夜で警護してましたよ。けどですね、昼間は春みたいな気候でも朝晩はやはり冷えます。

流石に兵でもこの寒さで徹夜で警護は、と思い部屋の中で警護は?と聞くと「め、めっそうもないです」と断られましたので、じゃあ、て事で、ダウンジャケットと手袋をコピーで出しまして、女性兵の二人に渡しました。やはり最初は断ってきたので、


「貰ってくれないと僕はここで服を脱ぎます」


なんて言ったもんだから女性兵は慌てて受け取り着ましたよ。


「暖かい‥‥‥暖かいです光様」


「そうですか。良かった」


「ありがとうございます!光様」


頭を下げて礼を言う女性兵に僕はニコリと笑顔を見せると、一人の女性兵が


「光様は本当に変わったお人ですね。姫様が惚れるのもわかる気がします」


「えっ?あははは(ちょっと焦り)ありがとう」


僕は焦りながら兵に言うと、その場をそそくさと離れた。

で、ベルガー城の一番高い所にある展望台の様な広い場所に来た。


「やっぱり城の一番高い所でしかも外だから寒いや‥‥‥」


風が無い分マシか、と僕は空を見ると紫がかっていた空が徐々に日が昇り始め辺りが明るくなり始めた。


「この街を‥この国を護れたのか僕は‥‥まだ夢でも見ている感じがする」


日が地平線から徐々に登り始めると、風が少し吹いてきた。その風は少し冷たかったが、僕にとっては心地いい風だった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る