第179話 行《おこな》い

「私達のマナを使って下さい」


妖精付きの主人と妖精達は僕にそう言って来た。

が、僕は最初素直にその言葉を受け入れる事が出来なかった。何故?それはいきなりこれだけの人達(妖精達)に「マナを使って下さい」と言われても「はい、使います」とは言えませんよ。僕の性格からして。

だから、


「気持ちは嬉しい、けど‥‥もし万が一君らに何かあったら‥‥‥」


そう言ったら、一人の男性の妖精が


「なにを言ってますか!私達もこの国を守りたいんです!救いたいんです!今スキル【リペア】を使える人は光様だけなんです!お願いします私達のマナを使って下さい!」


悔しそうなそんな感じの表情で僕に言って来た。その表情を見た僕は、『もし逆の立場だったら‥‥』と思った時、フッと親父の言葉が頭をよぎった。


『人からの善を無駄にするな!』


僕は昔から人から助けられる事がよくあった。けど、自分で何とか出来ると断った事があり、その度に親父に怒られた。


『光、人からの善はかならずしも全ての人に向けられるものではない。何故お前はよく人から助けてもらえるか考えた事はあるか?』


僕は分からず首を横に振ると、親父は仕方ないみたいな表情で僕に、


『お前は俺の言った『小さな事でも真剣に取り組め』を実施していただろ。その行(おこな)いがお前が知らない所で人を助けていた事を光、お前は知らない。けどな、知っている人は知っている。見ている人はちゃんと見ているんだ。もし、それでその善をもし貰ったら、断るのではなくちゃんと貰え!そして、その善を困っている他の人にあげればいい。そうする事で善の輪は広がっていくんだ』


と‥‥‥。


「僕の今までの行いが妖精付きの主人と妖精の心を動かし、そしてここに助けに来た‥‥」


僕はそう呟くと、僕の横にイレイがいるのに気づかず、その呟きをイレイに聞かれた。

するとイレイは、


「そうよ光。今までの貴方の行いが人々を動かしたのよ。だからみんなと助けましょう!この地を!この国を!」


僕はイレイの言葉に辺りを見渡した。何百人は居るだろうか、僕はいつのまにか心が震え初めて何百人の前で自然と涙が出た。

そして自然と出た言葉が、


「ありがとう、ありがとう、ありがとう‥‥‥」


だった。そして僕は涙ぐみながら


「僕に‥‥‥みんなの力を‥‥‥マナを貸して欲しい、いや貸して下さい」


僕は頭を下げた。すると一人の女性が笑みを浮かべながら


「光様、私達はその為にここまで来たのですから」


それに続いて数人の男性も


「「「ああ!俺たちもその為に来た!なあ!みんな!」」」


「「「「「オオオッ!!!」」」」」


周りにいた妖精付きの主人と妖精は声高らかに叫び歓喜を上げる。


「光様にマナを送れ!」


すると何百人の妖精達は一斉に光り出し、僕にマナを送り始めた。

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