第178話 妖精付きの妖精達

僕が自分の命の寿命をマナに変え【リペア】を使用していたのが分かり、イレイ達が僕の事を心配して泣く中、6台の4WD車がいきなりゆっくりと動き出すと‥‥‥


「‥‥‥何?いったいどうしたの?」


目が涙で潤んでいるイレイ達は、涙を拭いそして、4WD車を見ると6台の4WD車は僕らから距離を取り加速しだし、四方八方に走りだした。

いきなりの事で、その場にいた全員は黙ったまま立っていた。そんな中メイルとエレムが


「「何?いったいなんで?」」


二人はスマホを取り出すと自分専用の4WD車のアイに連絡をするが‥‥‥、


「‥‥‥‥‥‥」


応答が返ってこなかった。

二人は再度アイに連絡をするがやはりダメだった。

そんなメイルとエレムを見た残った3人は自分の4WD車に連絡をいれるがやはり応答はない。

僕も自分の4WD車に連絡をしたかったが、今の姿勢を保てて、イレイ達の返答にも首を少し振るのがやっとだった状態ではどうすることも出来ない。


『アイが‥‥自ら走り出すなんて‥‥』


僕は徐々に体が重くなっていく中で、苦しみながらそう思っていた。

そして‥‥‥10分位がたったぐらいか?


「ブウゥー!」


遥か地平線の向こうから4WD車がライトを付け、クラクションを鳴らしながらこちらに戻って来るのがイレイ達から見て取れた。


「あっ!戻って‥‥‥なにあれ!」

「えっ?なんなの!あれは!」

「どうしたの?‥‥えっ!」


驚くイレイ達。それは何故か?それは、


「「「4WD車の後ろの砂煙は何なの!」」」


声をあげて叫ぶ。その砂煙は明らかに4WD車による砂煙ではない。物凄い量の砂煙!

それがこちらに向かって来る。イレイ達は目を凝らしてよく見ると、


「あれは‥‥‥馬?‥‥馬車?‥いえ!両方だわ!」


砂煙の正体はかなりの馬車や馬だった。その数は数百以上か。それが僕らのとこに向かって来ていた。そして馬車や馬が僕らから数十メートルの先で止まると、沢山の人々がこちらに叫びながら駆け寄って来た。


「「「光様あー!ミリア様ー!」」」


「間に合ったようね」


そう言うチィーユ達を僕は「えっ?」と驚きチィーユ達を見た。

そんな中、見知らぬ女性と女性の妖精付きの男性の妖精が、


「光様、今すぐにヒーリングをかけますね」


女性は男性の妖精に指示を出し僕にヒーリングを掛けた。みるみる体力とマナが回復する。そして僕はあまりの突然の事でお礼よりも「何故?」と言葉が出てしまった。


「妖精の声が聞こえたのです『光を助けて』と」


「えっ⁈」


男性の妖精が言うと周りの見知らぬ人々と妖精達は頷く。そう!その声の主とはチーやマー、チィーユ達だった。昨晩の時にガルバディ帝国内に念を妖精に送った。


「ただ場所はある程度しかわからなくさまよっていた時に光様の馬車(4WD車)が我々をここに導いてくれた」


そう、各4WD車のアイもチー達が送った念を知っていたらしい。念は一種の電磁波みたいなもの。それをアイが感知していた。そして、さまよっている妖精付きの人々をここに誘導した。


「ヒカリダケデハフアンデス」


僕はそのアイのセリフに苦笑いをした。

そして妖精付きの妖精達は


「光様! 我々のマナも使って下さい!」


と。

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