第169話 福効果
地面から聞こえる何かを弾く様な音。
「パキン! パキン! パキン!」
ただ、その音は僕、チー、マー、木の妖精以外には聞こえていなかった。
だから周りの人達は、僕の驚いた顔を見て「?」とした顔をしていた。
「ダーリン、どうされました?」
「旦那様、大丈夫ですか?」
「お兄様?」
みんな僕を心配します。だから僕は、
「大丈夫だよ。ウイルスは前の菌に変わり出しているよ。感覚でわかる」
そう、インフルエンザウイルスが突然変異前の菌に変わる感覚が体全体に伝わってくる。
サラ姉さん達は、僕の言葉に
「本当ですか? 光様!」
空気の周りや人の体内からインフルエンザウイルスが消えていく事に歓喜していた。
けど‥‥‥
「この地面からの音は?‥‥‥」
僕はみんなに笑顔を見せたが、この三人、エレム、ミレン、カイトには、僕の笑顔が作り笑顔だとわかったのか、僕の側に来ると一言、
「「「大丈夫ですか?」」」
と。
その心配する言葉に
「大丈夫だよ‥‥‥」
言おうとした時、
「ポッ‥ポッ‥ポッ、ポッ、ポッポッポッ‥‥‥」
僕を中心に地面から一つまた一つと青く光り出した。その青く光る色はまるで透明な青!透き通った綺麗な青!。
それが今度は地面からゆっくりと空に浮き上がっていく。
その光景は正に‥‥‥
「綺麗‥‥‥」
周りに居た人達、いや、僕ら全員はその幻想的な光景にため息をしていた。その綺麗な光景に‥‥‥。
するといきなり木の妖精が、
「ありがとうございます、ありがとうございます」
と泣きながらお礼を言ってきた。
僕、チー、マーは、なんでお礼を?と思っていたが、多分、インフルエンザウイルスが消えていく事の礼だと思っていたのだが‥‥‥
「こんな事‥‥こんな事が来る日が来るなんて‥‥‥思いもよらない効果です。福効果です」
その木の妖精の声は涙声。しかし悲しい涙声ではなく、嬉しい声、幸せの声に聞こえた。
「福効果?」
「ええ‥ええ‥クリスタルが‥‥地面の粒子になったクリスタルが消えていくんです!」
「クリスタル?‥‥‥クリスタルだって!」
「ええ‥そうです! 本当に、本当にありがとう‥‥」
木の妖精はまだ泣きながらお礼を言って来た。その泣き声は、本当に、本当に幸せな泣き声だった。
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