第165話 インフルエンザウイルス

僕の4WD車が、エマージェンシモードになってから4WD車は外観が変わりましたよ。

タイヤ幅は太くなり、サイドのフェンダーもタイヤに合わせてかなり出てます。


で、中身つまりアイの仕様も変わりました。

今までは走る為のナビとかが中心で、応答も受けごたえしかしなかったんですが、生活に関する詳しいこと(特に医療)も、しかも詳しく応答してくれるようになりました。

しかも、しかもですよ、簡単な医療機器も備えてあったみたいなんです。(薬とかワクチンなんかも車体の下にありました)

そう言えば、お袋の知り合いに女医さんがいた記憶が‥‥‥多分、その人の医療に関する記憶がアイの中にあるのでは。

で、アイに聞いたんです。何故このような物があるのかと。


「シゼンサイガイニソナエテ、ト、ヒカリノリョウシンガツケマシタ」


と。つまりは僕が自然災害に巻き込まれた事を考えて両親がこの4WD車に最初から備えたと。


『ありがとう、オヤジ、お袋!今すごーく役に立ってますよ!』


そして、助手席のシートを倒してサラ姉さんをそこに寝かせると、耳たぶから少し血を取り、荷室の右横に少し飛び出た所があり、そこの小さな扉を開くと顕微鏡の様な物があるが、覗く所が無い。つまりこれは超小型の電子顕微鏡か?そして一部分が光っている所に血を一滴、ポトリと落とすと小さな扉が閉じたと思っていたら、車内の天井の10インチのモニターが降りて来た。

そしてモニターには、『検査中』の文字が。

で、待つ事10分ぐらいだろうか、

『検査終了』


僕は検査の結果をモニターで確認する、


「‥‥‥やはりか」


「ハイ、コレハ‥‥‥」


この世界、グリーングリーンワールドにはなかった物。突如としてこのアマリリス村に現れた物。それは‥‥‥


「インフルエンザウイルス」


最悪だ!この世界に、このウイルスが出現するとは。

そもそもこの世界にはインフルエンザのワクチンなんて存在しない。ましてやタミフルなんて薬はない。

で、僕は聞いたんです。他にサラ姉さんのような症状がある人がいるか、と。


「この先の子供が昨日熱を出して寝込んだとか」


最悪の最悪だ!ウイルスは既に村全体に感染している可能性も‥‥‥まてよ!アメリア王妃がウイルスに感染している可能性も。

僕は直ぐにブレイク王に連絡、インフルエンザウイルスの事を説明して、アメリア王妃の様子がどうか聞いた。


「アメリアなら、少し体がだるいと言って、今も寝ているぞ」


「直ぐにアメリア王妃を隔離してください! 後、アメリア王妃に近づいた人達も。無論ブレイク王もです!」


スマホからはブレイク王の驚く声が聞こえた。そして僕はもう一度、『インフルエンザウイルス』の説明するとブレイク王はわかったらしく


「光が戻るまでは、アメリアに近づいた者は外に出ないようにしておく。無論私もだ!、後、城の外にいる者には、城には近づかせないようにする」


「ありがとうございます、ブレイク王。こちらの方も早く片付けて、そちらに出来るだけ早く戻ります」


「うむ、待っているぞ!」


僕はスマホの通話を切ると考えた。

けど‥何故このアマリリス村でインフルエンザの発症者が出たんだ? 誰かが持ち込んだとしか思えない。

僕はミサさんに聞いた。サラ姉さんの様な症状の人が以前いたかどうかと。


「‥‥‥そういえば、以前旅の人がこの村に来て倒れて亡くなったんです」


「その人の亡骸は!?」


「ええ、確か、火葬されて村はずれの墓地に埋葬されました」


「火葬?」


「ええ、この村では火で死者を葬るのが習わしで、火葬してから灰を土にかえすんです」


僕はそれを聞いて、不謹慎ですが、思わず小さくガッツポーズをとっちゃいましたよ。

それを見た、エレム達から


「ダーリン!」

「旦那様!」

「お兄様!」


「「「不謹慎です!(怒)」」」


怒られました。けど‥事情を説明すると、


「火葬がウイルスを死滅させた?」


「そう! だからこの村から人が出ない限りは、インフルエンザは広まらない」


そう言うと、みんなはホッとした顔になる。

けど、カイトだけは、


「じゃあ、お母様は」


「「「「えっ!」」」」


ここにいるみんながまた驚きます。確かにアメリア王妃も二日前まで、この村にいましたから。


「大丈夫! もう手は打ってあるよ!ブレイク王に城には誰も近づけさせないように言ってある。それよりも‥‥‥」


僕は4WD車の助手席に寝ているサラ姉さんに【リペア】をかけた。

ただ、サラ姉さんにウイルスを取り除いても、体に抗体菌が出来てない以上、またインフルエンザにかかる。けど、今はこの苦しみから解放させる方が先。


「う、ううううん‥」


顔の汗も止まり、顔色が良くなっていくサラ姉さんに、ミルとミサさんは、


「サラ! サラ!」

「サラねえー、サラ姐!」


気がつくサラ姉さんに、母ミサとミルはサラを見て不安が取り除かれたのか泣き出します。


「‥‥‥あたし‥いったい‥」


「サラ、カイト王子があなたを助けてくれたのよ」


「‥えっ!カイト王子が!」


サラ姉さんは上半身を起こすと、みんなの方を向き、カイトを見つけると、


「カ、カイト王子‥ありがとうございます(涙)」


カイトに涙を流して礼を言うサラ姉さん。


「いえ、礼ならお兄様に言って下さい」


僕の腕を掴み、サラ姉さんの前に僕を押し出します。


「貴方が私を?」


「えっ、あっ、ハイ!」


改めて見ると、サラ姉さんは美人ですよ。体は少し痩せてはいますが、痩せている分、胸がかなり大きく見えます。(本当に15歳の胸?)

で。やはり慣れませんねぇ、女性のしかも美人の前に立つのは。


「あの〜、お名前は」


「えっ! な、名乗るほどでも‥‥‥」


「僕のお兄様の乙川 光です」


「カイト王子のお兄様?」


カイト、カイト君、僕の事はいいから、次の行動に移ろうねー、と、サラ姉さんに背を向けてカイトに向き合い歩き出そうとした時、足を滑らせ‥‥‥あっ!


「トン!」


両手で、何とかサラ姉さんにぶつかるのは避けたんですが、顔は豊かな胸の谷間に‥‥‥挟まりましたよ。

しかもです、「大胆な人、ポッ//////」て、サラ姉さん顔を赤くして、両腕を僕の顔に絡めて、顔を胸に押し付けますよおお〜。


「ダーリン!(怒)」

「旦那様!(怒)」

「お兄様!(怒)」


僕の背後で3人が怒ってますよ。てか、カイトまでなんで怒るのかな?

それよりもこの状態をなんとかしてえー。

顔は気持ちいいんですが、息がー。

て、このパターンもう二、三回してる気が。


「乙川 光様‥ポッ//////」


ポッじゃないですよお〜!ポッじゃサラ姉さん!

あ〜、この後3人にお説教ですかねぇ〜、て、カイト君、君までなんで、お説教に参加するのかな?するのかな?



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