第160話 あの村へ

城内から出る僕ら四人、僕、エレム、ミレン、カイトは漸く日が昇り始め日が差し出した庭園に出ました。そこの庭の一部には6台の4WD車が停まってます。

知らない人が見たら、かなり驚きますよね。

現にここの兵やメイド達からは


「なんなんですか⁈これは?」


「変な馬車が停まっている!」


なんてのを聞きましたからね。

因みにまだミリアとクリエラさんの専用車はまだ用意してないんですよね。

それはですねー


「ダーリンのだけ何故違うの⁈」


「旦那様の4WD車が以前とは違いますう!」


そうなんです。あのホクトリアの悲劇の一件以来、【リペア】を使っても、元の形の4WD車には戻らないんです。何処が、て、まずタイヤが明らかに幅が広くなりその分、ボディのサイドのフェンダーが出てます。見た感じが4WD車の横幅が広くなり、スピードを出してもカーブで踏ん張りが効くようになりました。スピードメーターも以前は180(実際は240まで出せる)までしかなかったんですが320迄あります。その分タコメーターも15000まであります。

まあ、この異世界の人から見たら


「なんだ車の幅が広がっただけか」


ですが、まあ、こればかりは乗って見ないとわからないですよね。後は内部の細かいところが変わってます。


で、カイトは初めて4WD車に乗ると言うか、近くで見るのも初めてでして、最初は


「本当にこんなのが動くんですか?」


と、可愛い顔をこちらに向けるんですよ。

ほんと〜に、もうですねぇ〜、その姿は‥‥‥あっ、いかん。これ以上想像すると、今はエレムとミレンが側にいるんでした。

けど‥‥


「可愛い♡可愛い♡」


まるで妹が出来たみたいな扱いをされるカイト。まあ、二人の気持ちはわかりますよね。

エレムにしては下に兄弟はいないし、ミレンは一人っ子ですからね。

で、そのカイトですが‥‥‥


「まるで歳の近いお姉様が出来たみたいですぅ♡」


また可愛らしい顔と仕草で言ってくるもんですから、もうですねぇエレムとミレンはお姉さん気取りですよ。

にしても、何度も言いますが、カイトは男性にも女性にも人気があるんだなあ、とつくづく思いましたよ。

けど‥カイトは男の子なんですよ。男の子。

美少女に見えるが男の子。て、心の中で呟かないと、あぶない橋を渡ってしまいそうで怖いですよ。僕は(冷や汗)。


「所でカイト、行きたいところでもあるのかい?」


僕は何気ない顔で言うと、カイトは一瞬、ピクリと反応をしますと、


「‥‥行きたい所ですぅか?」


ちょっと言葉の語尾がおかしかったんですよ。

で、何故僕がカイトにその様な質問をしたと言うと、カイトの寝室で言ったカイトの


『あの村で暮らした狭い部屋のが‥‥』


のセリフがずっと僕の何かに引っ掛かっていたんです。つまりはカイトはあの村に行きたいが為に僕に必要以上に接して来たのではと思っていたんです。まあ、あの美少女の姿のカイト(カイトは男の子です)に迫られれば、その様な考えや思いは吹っ飛びますがね。で、カイトが僕に好意を抱いていたのは間違いないですが‥‥‥


「カイト‥‥‥もしかしてあの村に行きたいのかい?」


僕が、あの村と言うと、カイトは最初は黙ってましたが、僕がニコリとカイトに微笑むと、カイトは小さくコクリと頷いた。


「ダーリン、いったい何があったんですの?」


「うん?まあね。これは男と男の秘密の話」


と、僕はエレムの唇に、僕の左手の人差し指を立て当てます。つまりは内緒の話ってこと。で、ミレンが、


「旦那様、では後ほど詳しい話をしてくださいね」と。


「あ、ああ、わかったよ。ミレン、エレム」


そして、僕の4WD車でカイトが行きたがっていた村へ、あの、馬車で半日以上はかかる、


「アマリリス村」


へと向かった。



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