第158話 カイトの寝室

カイトが4WD車に直ぐに乗りたいと言ったので、これから直ぐにドライブ、てことになりましたが‥‥‥、


「カイト、まずは着替えてこないとなあ」


「うん」


で、まずはカイトの寝室まで行きます。

そして、カイトの寝室の前で僕は待とうとすると、


「お兄様、廊下は寒いですから、部屋の中でお待ちください」


カイトがドアのところで手招きをしてますよ。手招きを!

その姿はまるで、まるで、まるで、

美少女が自分の部屋に手招きをしているかの如し‥‥‥でなくて、カイトは男の子!うん、男の子!


「お兄様? 何をドアの前で座りながら頭を抱えているのですか?」


「えっ? あっ!うん! なんでもないよ!」


だあーつ!これではまるで挙動不審者だよ!僕わあ!


「早く入ってください」


そんな僕の手を取り無理やり部屋の中に引っ張られましたよ。カイト君に。

このまま僕はいけない橋を渡ってしまうのか!いやいや、理性のが勝ちます!うん!理性!理性!

で、カイトの寝室に入るとそこは‥‥‥


「広いなあー、暖かい、そして綺麗だ‥‥」


まだ、日が昇る前だから室内は魔法石火で照らされているが、僕が居た寝室の二倍はある広さか?ドアの真正面にはまた無駄にでかい窓が二つ、両サイドにはクローゼットらしき扉がいくつも、で、壁には美しい絵画の絵が掲げたり、壁に直接書いてある。そして部屋の真ん中にまた無駄にでかいベッドがどん!と置いてありますよ。


「本当に綺麗な部屋だなあー」


「そうですか?けど‥僕としてはあの村で暮らしていた狭い部屋の方が‥‥‥」


カイトはもの寂しそうな表情で僕に言うと、部屋のクローゼットの一つの所まで歩いていきます。


『そうだ‥カイトはまだ10歳だったはず。こんな広い部屋で一人で寝ていると、寂しく、人を恋しくなる』


僕はカイトを見た。その小さな小さな背中には、何かもの寂しいような、そんな感じが伝わってきた。

だから僕の寝室に来たのか? あんな行動をとったのか?確かに僕でもこんな広い部屋で一人でなんか寝れない。しかしカイトはそれをしていた。

王の子供だと親に甘えて悠々自適な生活が待っていると思っていたが‥‥‥


「間違っていた‥‥」


「えっ?」


僕はいつのまにかカイトを背中から抱きしめていた。そんな僕の行動にカイトは嫌がるかと思っていたが、


「お、お兄様?どうかしました?」


「えっ?あっ!」


僕は慌ててカイトから離れます。そんなカイトはキョトンとした顔で僕を見てます。


「あ〜〜っ、あっ!そうだカイト!僕がここにいる間、僕の寝室に寝泊まりに来てもいいぞ」


ちょっと慌てふためく僕は、ニコリと笑顔をカイトに見せると、カイトは急に明るい表情になり、


「えっ!本当ですか!本当にいいんですか!?」


「ああ、いいよ」


「やったあー!これで毎日お兄様と寝ることが出来る!」


両手を上げ喜ぶカイトは、僕に飛びついてきます。


「こうして抱き合いながら寝ることも!」


「へえ?抱き合い‥‥ながらああああ!」


「そうですよ、お兄様♡」


カイト君、大胆ですよ!大胆! てか、抱き合いながら‥‥‥いかん。想像してしまう。カイトは男の子。美少女に見えるが男の子!うん、このままではいかん。本当に別の道に僕は突き進んでしまう!


「あ、あのね、カイト。抱き合いながらは‥ちょっと‥ね」


「えっー、いいじゃないですか♡僕、お兄様のこと♡」


「あーカイト君、それ以上そのセリフは言わないでね、ね、ね」


「う〜っ、お兄様♡」


あーっ!そんな瞳で僕を見ないでー。理性が!僕の理性があああ!

あっ!そうだった。


「お兄様♡」


「カイト!服、うん、服を着替えにきたんだった」


僕はそう言うと、クローゼットの扉を片っ端から開け‥‥‥


「何じゃあこりゃあああ!!!」


いやあ〜、見事に全部女性物のドレスや下着ですよ。


「お、男物が一着もない!アメリア王妃、グッジョブ! じゃなあああああい!」


「お兄様♡」


僕を心配した?カイトがしゃがみこみ頭を抱える僕の背中に抱きついてきましたよ。

あー、この部屋を見た時の僕の、僕の感情を返してえぇ!



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