第154話 カイト

ホクトリアの悲劇を防ぎ、イレイ達の元に戻れた僕は、一路ガルバディ帝国の首都、ベルガーのベルガー城目指して4WD車をアイの自動運転で移動中‥‥‥です。(汗)

何故僕が汗をかいているか?‥‥‥それは、


後部座席に乗っているからです。何故それぐらいで?いえねぇ、僕の右手にはメイル、左手にはミリアが乗っているんですよ。で、普通は両手に花的な感じになるんですがね、

あのイレイのキス騒動で、今は護送車の囚人の気分ですよ。だってですね、2人の顔をみると笑顔で返してきますけど、手は2人に握られているんですよね。で、僕が2人の顔を見る度に笑顔を返してきますが、握られた手がギュギュギュッと力強く握られるんですよ。もうね、痛いとか言えない雰囲気ですよ。因みに僕のスキルが少し回復したので、出発前に【リペア】で、僕の左腕と4WD車を治しましたよ。で、で、

イレイは運転席にチーとマーは助手席に乗ってます。けどですね、イレイの気分はご機嫌が良いんですよ。僕とキスしたせい? 僕に抱きついたせい? 僕には結局分からないんですがね。

で、で、で、今回の一番の功労者の悪亜は、最初は「光と2人で4WD車でもどるのお!」

と駄々をこねていたんですが、しかたないので、帰ったら、悪亜と町をデートすると言う事でその場は収まりましたけど。


「ホクトリアの悲劇を止めた事より、帰ってからのが地獄が待っているよな〜気があ〜」


そして僕らは首都ベルガーの外れの城門まで来ていた。やはりと言うか、首都の城門は高くて、頑丈そうだ。門兵が4WD車を見るなり城壁の門を「ガガガガガッ!」と開けた。

門が開くと4WD車はゆっくりと城壁の門をくぐると、中の街はいつもと変わらない‥‥‥て、あれ? 人がいない?と、僕らはとりあえずベルガー城に進む。そしてベルガー城の近くのカーブを曲がると‥‥‥



「「「「ワアアアーーーーッ!!!」」」



凄い歓声が飛び込んできた。これには4WD車の中の僕らはビックリですよ。


「いったいどうゆうことなの?」


ミリアが父親のブレイク王にスマホで連絡すると。


「ホクトリアの悲劇の件、国民に教えた」


でえ〜ッ!だからですかあ! この人達は!

そうなんです。国民にブレイク王が教え、本日僕らが戻ってくるとの事で、一目その英雄を拝みたいと集まったみたいです。

で、4WD車を始めて見る人達はやはり最初は驚きますよ。


「馬がいない馬車が何故動く?」とかね。


ただですねえー


「英雄が乗る馬車だから馬がいなくても動くんだよ」


と、納得しちゃってますよ。ほんと、英雄になるとなんでもありなんですかね。だから僕は英雄でも何でもないから、てか、この手の事に免疫がないから‥‥‥


「恥ずかしいよお〜」


下を向いちゃいましたよ。それはまるでテレビで見る殺人犯なんかが護送されるシーン。

まあ、姫さま3人は国民に笑顔で手を振ってますよ。で、無理やりメイルとミリアに下を向いたまま両手を挙げさせられているから、側から見るとまるで、なにかに磔獄門にあった様な姿勢になってますよ。


「光様! 顔を上げて下さい! 笑顔ですわよ!笑顔!」とメイル。


「そうですわよ! 光様はホクトリアを、いえ、この国を救った英雄ですわよ!」とミリア。


「イ、イレイィィ〜(泣)」


「光、国民には答えないとね」とウインクをするイレイ。


もうですね、僕は引き攣った顔で笑顔をつくりましたよ。


で、漸くしてベルガー城に到着し、城内に入ると


「「「パアン!パアン!」」」


「「「ワアアアーーッ!!! 光様ああ!!」」」


と今度は空砲でお出迎えですよ。城内の兵や使用人達が僕らをお出迎えで。けどですね、僕はこの時点で死にましたよ。恥ずかしさと、笑顔で。

で、で、で、で、ですね、4WD車を城の前に止め、ブレイク王が待つ王の間に行きますけどね、その間も通路の両サイドに人が兵が並んでますよ。よくテレビでパレードなんか流してますがまさにあんな感じ。目立ちたい人にはいいんですがね、僕はこの辺は小心者なんですよ。


で、やっと王の間につきましたよ。


「やっと、やっと、やっと、やっと着いた‥‥‥ガクッ」


いやですね、なんとか王の間に着いた僕は安心からか力が一気に抜けましたよ。

そしてサッカーグラウンドの半分ほどの王の間に入ると、玉座にブレイク王が王の座椅子に腰掛けていた。で、その横には見慣れない綺麗な女性が。


「お母様!」


ミリアが叫びます。

へえ?お母様?‥‥‥うん?


「エエエーーッ! ミリアのお母さん!」


だそうです。でも何故今頃に?

なんでもアルベルが「自由の翼」の奴らから妃を守る為に、首都ベルガーから離れた田舎に身を隠させたんだって。と、アルベルの妖精付きのチィーユが教えてくれた。


で、僕がその話を聞いていると右手を誰かが下から引っ張るんですよね。で、で、引っ張る方を向くと‥‥‥可愛らしいおかっぱの髪型をしたピンクのドレスを着た女の子?がいました。


「うん? どうしたの?」


「あの〜う/// あの〜う///‥‥」


なんか照れて可愛いなと思って、その子の視線まで腰を落とすと‥‥‥


「お兄様あああ!」


いきなり僕に抱きついてきましたよ。


「へえ? お、お兄様?」


いきなりの事でみんなは、僕の方を見ますよ。で、で、で、ミリアが、


「カイト! いつ戻ってきたの」


「あっ! お姉様。 うん、今朝だよ」


カイト?お姉様? ‥‥う〜ん‥‥あっ!ミリアの姉妹だね。


「光様、違いますわよ。カイトはこう見えても私の弟ですわ」


へえ〜弟なんだあ! へえ?弟?


「「「「「えっーーッ!!!」」」」


ミリア以外、全員驚いてますよ。

そりゃあね、容姿から見たら美少女に見えますよ。顔も女の子ポイし。

けど‥‥ですねー、何故にピンクのドレス?


「ああ/// それは‥‥お母様の趣味ですわ///」


母の力は偉大、ではなく、完璧にカイトをオモチャにしているでしょ!まあ、気持ちはわからないでもないですがね。こんなに可愛い子なんですから。


「けど、何故に僕にお兄様と?」


「えっ? だってお姉様と御婚約するんですよね。だったら僕のお兄様になるのでわ?しかも英雄が僕のお兄様に//////(照れ)」


いやいやいや、気が早いですよ。気が!


それよりなんでみんな先に行くのかな?


「うん、弟なら大丈夫ね」メイル。


「「「そうですわね」」」

いつのまにか合流していた、エレム、ミレン、クリエラが頷いてますよ。


「本当に可愛い弟ね」悪亜


「光、よかったわね。弟が出来て」

イレイが笑顔を見せて言ってきましたよ。


スタスタと皆さん先にいちゃいましたよ。


「光様、弟共々私をよろしくお願いしますわね♡」


ミリアがウインクして僕に言ってきますよ。

で、跪く僕の背中にカイトが


「お兄様♡」


と、抱きついてきましたよ。この先どうなるんですかね?僕は‥(泣き)



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