第145話 スキル‥‥マナの限界

地上に戻れた僕ら。五年ぶりの地上に喜ぶクラウドとエミリ。しかもホクトリアの悲劇を阻止したのだから、かなり喜ぶ所だが、僕だけが喜べないでいた‥‥‥。


「結局‥‥‥助けることが出来なかった‥‥‥」


僕はうつむき、そう呟くと、チーとマーは、僕に寄り添って来た。


「光‥‥‥」


僕のことを心配そうに見つめながら名を呼ぶマー。


「‥‥僕ら妖精は‥‥あの状態ではもう‥‥何しても‥‥」


チーは自分が言いたくない言葉を、自ら僕にわかってくれと言わんばかりの気持ちで言う。


そう言われても、僕はそんなに物分かりの良い人ではない。今の自分は悔しい気持ちでいっぱいだった。


「チー‥‥僕は‥‥」


「ゴゴゴゴゴオオオオ!」


自分の気持ちを言おうとした時、地震と地割れが起きた。僕は再度【瞬間移動】で飛ぶため、僕に捕まるように指示。が、



「‥‥‥飛べない」


「えっ!?」


僕は身体中の神経を集中させるが‥‥‥



「飛べない! どうして⁈」


僕の体に異変が? いや、確かに今は左腕がない状態だが、リペアで傷口は塞がっている。

それ以外は問題ない。

僕は切り離された左腕を持ち、元の左腕の所に持っていき、【リペア】を使用した。


が‥‥‥


「【リペア】も使えない‥‥‥どうなって‥‥‥どうなっているんだよ!」


すると、チーが不安がる僕に、


「光、もしかしたらスキルが使える程のマナが無いかも」


「マナが無い? ‥‥‥つまり、僕は今はスキルは使えないのか」


深刻そうに言う僕に、チーは頷きます。

けど‥‥今スキルが使えないとみんなここで‥‥‥それたけは、それだけは絶対にダメだ!

なんとしてでもイレイ達の元に帰るんだ!

約束したんだ! 必ず帰ると!

僕は心の中で叫んだ。しかし‥‥


「どうすれば‥‥‥」


その時、僕のポケットにしまってあったスマホが振動した。僕はスマホを取ると、画面を見て歓喜した。そして、


「みんな! 帰れるぞ!」


「「「「?」」」」


僕の叫びにみんなはどうかしたか?の様な顔をすると、僕は叫びます。


「来るんだよ! 直ぐそこにいるんだよ! アイツ無事だったんだ!」


僕は涙ぐみながら小型のインカムを右耳に取り付けると、


「アイ!」


「‥‥‥ザアッ‥ザアッ‥‥光‥」


「アイ!!!」


雑音の中で僕の名を呼ぶアイ。

そして、僕らの正面から、砂煙をあげながら近寄ってくる4WD車が見えた。


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