第144話 光を助けにいくのよ
僕らが地上へと飛ぶ1時間前、僕の居る場所から20キロ離れた平地に悪亜の黒い4WD車が止まっていた。
「光様は、この先に居るのに何故先には進まないのですか?」
ミリアが悪亜に問います。すると悪亜は、
「アイが勝手に止まったのよ‥‥」
運転席からミリア達の方を向いて、不思議そうに話す悪亜。
そんな悪亜を見てイレイが、
「私達の車と同じ光がした細工が‥‥‥」
「いえ、それはないわ」
悪亜は首を横に振ります。そして外の方を見ると、
「ただね、私にもわかるのよ。この先には行かない方がいいと」
一つため息をする悪亜。その顔は悪亜にしかわからない元悪魔の感? その様な感じ方をする悪亜。
「けど‥、光様は無事なのかしら?」
メイルが心配そうに後部座席に座りながら外を見て言います。
この時の僕らはまだ地下に、しかも結界の中に居たので、スマホで連絡が取れない。あと地震で起きた磁場の影響で、僕の4WD車のアイとのコンタクトも取れない状態。
しかもこの先にはクレバスが、いや渓谷と言ってもおかしくない、幅が800メートル以上はあるかのクレバスが待ち構えている。
とても車では行けない。そう、悪亜の4WD車のアイが悪亜達に言った。
「私達はここで待つしかないの? ねぇ、悪亜! ねぇ、メイル! ねぇ、ミリア!。ねぇ、お願い‥‥‥誰か答えて!」
イレイはそう言うと、両手で顔を覆うとうつむき泣いた。そんなイレイを悪亜達は黙って見るほかはなかった。
が‥‥‥
『悪亜‥‥悪亜‥‥』
4WD車のスピーカーから流れ出る男の声に、イレイとメイルは驚き、悪亜とミリアはスピーカーの方を見る。
そして悪亜は「光? ‥‥どうして、また、光の声が!」
その悪亜の言葉にイレイとメイルはまた驚きます。そんなイレイとメイルを見たミリアは、イレイとメイルに説明します。
「この声が、500年前の光の声‥‥‥」
イレイがスピーカーの声に耳を傾けます。すると悪亜が‥‥
「みんな! ここから移動するわよ!」
突然のこのセリフにイレイ達は驚きを隠せません。で、メイルが、
「どこに移動し、何をするんですの?」
「光を助けに行くのよ!」
悪亜が力強く言います。
けど、どうして? 的な顔を三人がするので、悪亜が説明をします。
「私の光が言ったの!」
この悪亜のセリフに三人は顔を一瞬、ピックッ!とさせる。事情を詳しく知っているミリアでさえも、顔をヒクつかせます。
そんな三人を見た悪亜は、ちょっとやばいかな、と思ったらしく、
「今の光じゃないわよ! 500年前の光よ! 500年前の!」
「で! どうして移動をするのですか!」
鼻息を荒くし、少し機嫌を悪くしたメイルが言ってきました。
「だから! 光を助けにいくのよ!」
負けじと強気でメイルに言ってくる悪亜に、イレイとミリアは互いの顔を見ると「クスッ」と笑い出した。
「どうして、笑うのよ!」
「イレイ! ミリア! 何がおかしいのよ!」
で、ミリアが、
「だって、怒った二人の顔がおかしいんですもの」
ミリアはクスクスと笑ってます。
「で、悪亜。光をどうやって助けるの?(笑)」
二人の笑う姿を見た悪亜とメイルは顔の頬を膨らませてます。で、悪亜が、
「本当に!もう! 二人共笑すぎ!」
「ご、ごめんなさい。けど‥クスクス」
イレイがまた笑い出します。で、悪亜は機嫌を損ね怒るかと思ったら
「まったく! 緊張の糸が途切れたわよ! けど‥‥ありがとう。イレイ、メイル、ミリア」
悪亜がニコリとすると、三人もにこりと笑い出した。
「じゃあ、行くわよ! 光を助けに!」
「「「ええ!」」」
そして悪亜の4WD車はある場所へと移動をした。
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