第143話 ありがとう
「やったのか? ‥‥‥やったんだ! やったんだあ!」
僕は再度、クラウドの手のひらにあるプリム宝石を見ると、
「やったんだあああ!!! ホクトリアを護ったんだあああ!!!」
歓喜する僕に、チーとマーは僕に飛びつきます。
「やったんだね、光!」
「ああ! やったんだよ! チー」
チーは自分の小さな顔を僕の頬に、擦り合わせながらよろこんでますよ。
「光‥‥これで‥これで(泣)」
「うん、これで終わりだよ」
マーは泣きながら僕の顔にピタッとくっつきます。
「マ、マー、くっつき過ぎ。息、息ができないよお〜」
あまりの喜びでマーは更にくっついてきますから、本当に息ができないんですよ。
そんな僕らを見ていた、クラウドとエミリはクスクスと笑ってますよ。
そして‥僕らは、クラウドが持っているプリム宝石を、先程拾った宝石箱に入れた。
「この宝石箱はプリム宝石に着いた結界の魔法を封じる事が出来るのか」
僕はエミリが持ったプリム宝石が入った宝石箱を見ていると、クラウドは軽く頷きます。
そして、エミリが宝石箱の蓋を閉めた時、
「ゴゴゴゴゴオオオオ!」
また地面がつき上がるような地震が、更に強く起きた。
「この場は危険だ! 早く避難しよう!」
僕が言い、入って来た洞窟の穴の方を見ると、奥の方から、何かがゆっくりと迫ってきた。
「なんだ?」
僕らはジーとそれを見ると、
「あれは‥‥‥溶岩!」
そう! 先程の突き上げるような地震は、溶岩がせり上がってくる揺れだった。
その溶岩が出入り口の洞穴を埋めてしまった。が、溶岩が僕らの所まで流れてくるかと思っていたが、途中で、まるで何かにせき止められているような感じで止まっていた。
それを見た僕は、
「まさか! 」
僕は光の粒の妖精の方を見た。
「お前‥‥‥なのか?‥‥」
妖精の光は点滅し、今にも消えそうな感じだった。僕は、
「お前が結界を‥‥だったらお前もたすけ‥」
右手を出そうとした時、
「ダメだ! 光!」
チーが叫ぶ。
「どうして!」
僕はチーに振り向くと、チーを睨む。
「光‥‥あいつには‥‥もう‥‥スキルは効かない」
悲しい顔をするチーに僕は、
「やってもみないで!そんな事言うな!」
僕は怒鳴ると、
「わかるんだよ! ‥‥同じ妖精だから‥‥」
僕はマーとエミリを見るが、二人とも首を横に振ります。
なんなんだよ! なんの為のスキルなんだよ!【リペア】なんだよ! 人は助けても妖精はたすけられないのかよ!
僕は右手に拳を作ると、
「ちくしょおおお!!!」
地面に叩きつけた。
そして僕は、
「みんな、僕に掴まれ。地上へ飛ぶ」
みんなは僕に捕まる。それを確認すると僕は妖精に、
「ありがとう、僕らのために。‥‥お前、次に新しく、生まれて来たら必ず、必ず幸せになれ! 困っていたら‥‥僕らの所に来い!僕らはお前の力になってやる!だから‥だから‥」
僕はうつむきながら涙を堪えて言う。そして【瞬間移動】で飛ぶ瞬間、
『私の為に泣いてくれて‥‥ありがとう』
僕の心に聞こえた。
‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥
そして‥‥‥僕らは地上へと飛んだ。
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