第142話 火の甲冑

僕の横をスーッと、通り抜けた物。

それは‥‥赤い甲冑の腕? いや‥‥これは!

僕は横を振り向くとそこには‥‥‥

クラウドが居た。右腕に赤い甲冑の腕を纏(まと)ったクラウドが。


「乙川 光‥‥お前に手を貸す!」


僕は「クラウド!」名を呼ぶと驚いた。そして「なぜ?」と。


「乙川 光。私も同じだ! このホクトリアを護りたい! ‥‥‥エミリ!」


僕に、ニコリと笑顔を見せるとクラウドはエミリの名を呼ぶ。


「ハイ! クラウド!」


僕は後ろを振り向くと、エミリがクラウドの背中に手を置き、何か念を送っていた。

そう! クラウドの右腕の甲冑はエミリの火の妖精の力で出した物。言わば、火の甲冑!


「この中のプリム宝石には結界が! だが! 」


そうだ!僕は見た! 感じた! クラウドの魂と僕の心が重なった時に。


「この中のプリム宝石は、アウター家の者しか取れない‥‥‥クラウド! 後は頼む!」


僕は右手に拳を作ると、クラウドに言った。


「まかせろ! うおおおお!!!」


クラウドは叫ぶ。

そしてクラウドは、右腕を、真っ赤になり半分溶けかかったクリスタルの山に突き刺す!

しかし幾ら火の甲冑でも、この高熱のましてやクリスタルとプリム宝石が、半分融合した状態では、中々取れない!


「クゥッ! 熱い! エミリ!」


「クラウド!」


叫ぶクラウド、呼ぶエミリ。

エミリは今以上にクラウドに念を送ると、エミリの額に汗がにじみ出て苦しくなる。

同時にクラウドの右腕の甲冑が、更に赤くなる。そして‥‥‥


「これ‥かああ! うわあああ!!!」


まるでドロドロの溶岩から物を取り出したかの様に‥‥‥


「と、取れたああああ!」


クラウドの手には半分クリスタルと融合したプリム宝石が握られていた。

それを見たチーは


「光! 直ぐにリペアを! 元に戻すんだ!」


「えっ? あっ! うんわかった! マー!僕の右腕に【クール】を最大でかけてくれ!」


「光! わかった」


すると今度は僕の腕に氷の甲冑の腕が。

そして僕は、融合したプリム宝石に触れるとそこから白い煙が出る。


「クゥッ! アツ! リペアアア!」


【リペア】をかけた。


プリム宝石が眩しく光る。その光は七色に光る。



そして‥‥‥



クリスタルと融合したプリム宝石は‥‥‥



クリスタルと分離し‥‥‥



クラウドの手には元の丸い綺麗なプリム宝石だけが残った。





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