第141話 崩落する結界
人は起きるべき事が起きる時、どうするのか?
諦めてしまうのか? それとも、諦めずに踏ん張るのか?
僕は‥‥‥諦めたくない! 絶対に!
プリム宝石が埋もれたクリスタルの山が、まるでアイスクリームが解けるようにクリスタルが溶け出した。それを見たチーは、まるで見てきたかの様に、
「クリスタルがすべて溶けて、プリム宝石をクリスタルが包んだら終わりだ!」
「なあっ!」
僕はクリスタルの山に右手を伸ばそうとするが、熱さと熱風で先程以上に近寄れなくなっていた。
それどころか、右手にかなり強い電撃が走った。
「プリム宝石が臨界に近いから、結界まで強くなったのか!? ん‥‥な、なんだあ!」
僕がそう考えていると、今度は地面を突き上げる様な揺れが、
「地震か!」
僕は強張るが、光の粒の妖精が
「お前達は直ぐにここから立ち去れ」
と言うと、僕らは妖精を見るが、それ以降妖精は言葉を発しなかった。それどころか、妖精は消えかかろうとしていた。
その様子に何かを感じたマーは、
「もしかしたら、この妖精がここの結界を張っていたかも‥‥だとしたらやばいかも!」
「やばい?」
マーが言うには、この妖精がここの結界を張っている。もし妖精が消えたら結界も消える。そうなればこの場所も保てなくなる。
マー達が結界で入れなかったのに、この場所に来れたのは、結界が弱まったせいだと。
だから、あの妖精がここの結界を張っていたと。そしてマーが
「光、この下は溶岩だよ! 結界がなくなれば溶岩がこの場所を覆い尽くすよ!」
つまり、この場所は結界によって護られていた場所。それが無くなれば溶岩が押し寄せる。プリム宝石と溶岩‥‥二つも同時になんて出来ない‥‥‥。
「チー! まだ少し時間はあるかい!」
「光‥‥‥たぶん」
「まずは‥‥‥人命救助だ!」
「えっ?」
驚くチーを尻目に僕はエミリの隣に行くと、クリスタルに右手を着くと、
「クラウドを助ける!」
「光‥‥‥」
僕は考えた。僅かな時間で考えた。もしミリアの時と同じなら、同じなら!
「リペアアアア!」
叫ぶ僕の目の前のクリスタルが、クラウドを覆っていたクリスタルが全て
「ザザザアアアー」
と砂に変わって流れ出た。
クラウドはクリスタルがなくなると、エミリに向かって倒れてきた。それを受け止めるエミリは、
「クラウド! クラウド! クラウド!わあああん!」
抱きしめて泣いた。僕は直ぐにクラウドに【ヒーリング】を掛けた。するとクラウドは意識が戻ったのか、「‥‥うっ」と言うとエミリは涙をまた流し、無言でクラウドを抱きしめた。
ホッとする僕は、直ぐに気持ちを切り替えた。
そして、
「後はこいつだけだ!」
僕はクリスタルの山に近づく‥‥が、プリム宝石の結界と、臨界の熱で、三メートル手前までしか近づけなかった
「このままじゃあ! このままじゃあ!」
焦る僕。すると僕の横をスーッと何かが通って行った。
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