第134話 時間がない!

「時間がない!」なんの?ホクトルアの悲劇? いやいや、それは元から時間がないんですよ。それよりも時間がない事‥‥‥


「僕に取り付いているクラウドの魂の力が弱まっている」


つまりはクラウドは現在、幽体離脱な状態なわけで、クラウドの本体、つまり体が弱まっているのでは、だから魂の力が弱まっている。だから僕を完全に支配はできない。だからエミリだけしか幻影を見せられない。

つまりは最悪クラウドは‥‥‥本当の死を迎えてしまう!


「早く! 本体を探さないと!」


て、エミリに抱かれた状態の僕は、身動き取れないんですけどぉ。

で、マーがですね‥‥‥


「案外近くにあるんじゃないかな」


「えっ! 近くに?」


「ねぇ、チー。さっき僕ら二人は違和感を感じていたよねぇ」


「あっ、うん」


「で、あの火の妖精の主人が生きてるのではと」


「うん‥‥‥あっ! そうか!」


「そう言う事!」


お〜い! 何二人で分かって、盛り上がっているのさあ! 僕にも説明プリーズ!


「光、こいつの主人の本体は、あそこにあるよ多分」


マーが指差す方を見ると、そこは‥‥‥


「プリム宝石がある場所だってえええ⁈」


僕は思わず、叫んじゃいましたよ。




◇◇◇◇




光達が地下に潜っていた時間帯、ベルガー城には、強制的に戻された4WD車が到着していた。


そして‥‥‥


「光様、何故この様な事を‥‥‥」


メイルが青い4WD車を見つめて呟きます。

その横にはミリアが。

メイルはミリアを見て、僕から何か聞いているかと尋ねたが、ミリアは横に首を振り


「‥‥‥いいえ」


と。


そうこうしていると、緑色の4WD車と黄色の4WD車が城内に入って来るのが見えた。そして、メイル達の近くに止まると、ミレン、エレムが車から急いで降りてきて、メイル達の所に駆け寄ります。


「メイルさ〜ん、ミリア姫様あ!」


「メイル様ああ! ミリア姫様!」


ミレンとエレムは、メイル達を見ると、いったいどうなっているの?的な顔をして駆け寄って来ます。


で、ミリアが、


「これは全て、光様がした事なの」


「えっ! 旦那様が!」


「ダーリンがした事なのですか!」


頷くミリアに二人は驚きます。そしてメイルを見ると、


「私は、光様の側に最後の最後まで居たかったのに。どうしてこの様なまねを。う〜っ!光様の‥‥‥バカバカバカバカバカバカ!!」


怒ってますよ、メイルさんは。

そんなメイルの側にミリアが近づき、


「‥‥‥メイル姫」


「‥‥‥あっ、ミリア姫。お見苦しいところを‥‥‥」


「いえ、メイル姫の気持ち、分かりますわ‥‥‥けど‥」


「けど‥‥‥?」


「ええ、けど、光様の気持ちも分かりますの」


ミリアはあの地下で起きた事を、全てメイルに話した。ミリアは穏やかな表情をしていが、心は悲痛な思いで語るミリアにメイルは、


「‥‥‥そんな事が。光様は一言も話してくれないから‥‥‥」


メイルは自分の周りで起きた、あの馬車の件、貴族に女だからと馬鹿にされた件を思い出していた。


「光様は、あの時もあの時も、私を助けてくれた、庇ってくれた」


そう言うメイルにミリアは笑顔を見せると、


「そう言う人なのですわよ。光様は‥」


「‥‥‥そうでしたわね、自分はどうあれ他人をほっては置けない性分でしたわよね、光様は‥‥‥フウ〜ッ‥‥‥」


ミリアを見ながらメイルは少しため息をつきます。そして思います。そんな人を好きになったのは私なのだから、と。







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