第133話 何故? がわかった!

火の妖精が僕を主人と間違えて見てるのは、


「僕のせいですかあああ?」


らしいんです。チーとマーが言うには。

で、理由は?


「今は、わからないよ」


わからないのお? やっぱりいい! て、ここまで伸ばしておいて、それはないでしょう!


「けどね、これだけははっきりと言えるよ。光にあの妖精の主人の魂が付いていることは‥‥‥」


と、言うことは僕は妖精付きならぬ、霊体付きになるのかい?

とか思っている僕。で、僕に抱きついている火の妖精は、


「クラウド! クラウド! 私を覚えてないの‥‥‥私、エミリを‥‥‥」


うん? エミリ?‥‥‥そうかあ! こいつ、火の妖精は、エミリて、言うのか。

で主人はクラウドなのか‥‥‥

けど何故、僕のせいなのか?

だいたい僕は、現世に居た時から霊とかに取り憑かれたり、見た事なんてありませんからね。(霊自体は信じてますけど)

それに今思っているのは、こいつ、火の妖精を助けたいと思って‥‥‥いる‥‥‥


「そうかあ! 僕のせい‥‥‥そう言う事かあ!」


いきなり叫ぶ僕に、チーとマーが驚き、僕を見ます。で、エミリはまだ嬉しいのか、僕が叫んでも驚きはしません。


「なあ、何?」と、マー。


「どうしたんだよ? いきなり」と、チー。


「わかったよ! わかったんだよ! 何故?があ!」


「「はあ? 何故がかい?」」


そうなんです! 何故? 火の妖精エミリに僕が、主人クラウドに見えるのか、が。

それは『助けたい気持ち』だったんです。

つまりは、この空間に五年前からクラウドの魂が居たんだけど、エミリには姿も言葉も気持ちも伝わらない。どうしたものかと。

で、僕がここに来た。そして、エミリを助けたいと思った。その僕の気持ちとクラウドの気持ちがシンクロして、エミリにだけ、僕がクラウドに見えたのでは、と。


「あっ! 成る程ね!」


ポンと手を叩くチー。マーも「へえ〜」と感心した様な返事を返しますよ。で、僕はですね、これだけはわからないとチーとマーに言ったんです。


「クラウドは何故、クラウド自身の気持ちも僕に取り憑かなかったんだろうか?」


と。


霊とかに取り憑かれたら霊の意識に支配されてしまう。けど、姿は取り憑かれた者のままが普通だと僕は思っていたから。けど、今回は逆。中身はそのまま、姿は特定の人にしか見えない。そんな事ってあるのか?


「「「う〜〜〜ん???」」」


僕、チー、マーが悩んでいると、エミリが


「クラウド? どうしたの? 急に力が抜けた様に感じたけど?」


「えっ?」


僕は原因がわかってきたので、嬉しさのあまり、いつのまにかエミリをギュッと抱いていたんですねぇ〜。いやあ〜、本当にイレイ達に見られないで良かったですよお。


「うん? 今、エミリて、なんて言った?‥‥‥『急に力が抜けた様に』て‥‥‥あっ! そうか! 」


僕がまたまた叫ぶので、チーとマーが、また、て顔を見せてきますよ。


「あっ! ごめん、ごめん。ところで、チー」


僕はチーとマーを近くまど呼んで、今考えた事をチーに話すと


「うん! ありえるよ! けど‥‥‥」


「そう。時間がない!」


と。



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