第132話 クラウド?の魂
張り詰めた洞窟内。
僕は、白銀の美女の火の妖精に抱きつかれていた。
「クラウド! クラウド! 戻って来たんだね、クラウド!」
僕にそう言う火の妖精を見て、チーとマーは首を傾げながら僕に、
「光、本当に知らないの?」
「チー! 本当にしらないんだって!」
「光、本当に、本当に、知らないの?」
「マー、本当に、本当に、知らないんだって!」
もう、ですねぇ〜、知らない者は知らないんですよ。
てか、一体、誰と見間違えているのか? クラウドとは誰なんだ? 僕には分からないことだらけですよ。しかも、ホクトルアの悲劇が、刻一刻と近づいているのに‥‥‥。
美女の火の妖精に抱きつかれて、右往左往している僕に、チーとマーは、先程とは違う、何か違和感みたいなのを感じたのか、
「‥‥‥マー、何か変じゃないかな?」
「チーも、そう思う? 僕も‥‥ね」
「な、何が変なんだよ〜お」
僕が半泣き状態で返事をすると、チーが言います。
「光、こいつの主人は居ないて言ったけど、もしかしたら‥‥‥」
チーがですねぇ〜、小さな可愛い腕を組むと、再び、首を傾げてますよ。で、僕はですねー、
「だから、なんなんだよー。早く言ってくれぇ〜」
女性?に抱きつかれるのは、悪い気分じゃないですよ。うん。しかも美女、て、イレイ達に知れたら、僕はどうなるんだろうか?想像すると‥‥‥こ、怖い! じゃなくて、僕は助けたいんですよね、この火の妖精を。けどですね、逆に抱きつかれているんですよお〜。
で、チーがですね、
「こいつの主人は‥‥‥生きてるよ! 多分」
「えっ? ちょっと待って! 主人が生きてるだって!」
どう言う事か、僕にはさっぱりです。だってですねぇ、チーとマーは、さっきは火の妖精の主人は居ないと言っておいて、今度は、主人は生きている! なんて言うもんだから、僕は「?」ですよ。だいたい、何を根拠に? て、チーとマーに聞いたんですよ。そしたら、
「光を自分の主人と間違えた事!」
へえ?、いやいや、それは僕でも分かるよ、そんなことは。だから、なんで主人と間違えてるの? と、僕が言うと、マーがですね、
「多分だけど、光にあの妖精の主人の何かが付いているのでは?」
「何かって?」
「例えば‥‥‥魂とか」
僕は目を丸くすると、「はあ?」と言っちゃいましたよ。
つまり、マーが言うには、主人の肉体は別の場所にあって、魂だけがここにずう〜と居た、て、ことらしいのですよ。つまりは幽体離脱したのではないか、と。
「幽体離脱ううう! そんなの無理でしょう!マーさん」
僕はマーに、右手を左右に振り、無理無理とジェスチャーをします。だってですねー、5年間も魂がさまよって、肉体をそのままにしていたら、肉体が滅んじゃうよ。
「光の言うことは最もだけど、もしもだよ、何かに肉体が保存されていたら?」
保存だってえ! と、僕は、またも無理無理とジェスチャーをします。どうしてかって?そもそも肉体を保存するには、冷凍保存が鉄則でしょう、と、僕は思ったんです。しかも、この場所は、下は溶岩の池がある。そんな場所で冷凍保存なんて出来るわけない!
「やっぱり、別の魂なのではないの?」
僕はチーとマーに言うと、チーがですねぇ、だったら、別の何かに保存されているのでは?と。で、僕は、「木とか岩とか?」と、。
「まあー、そんなとこかなぁ」
「チー、そんなだと、肉体が死んじゃうよ!」
う〜ん、と悩んじゃいましたよ、チーは。
で、
「けど‥‥‥ねぇ」
歯切れの悪い返事をチーはしますよ。
で、僕はですね、今思った疑問をチーとマーに聞いてみたんです。
「チーとマーは、火の妖精の主人の魂を感じ取ることが出来たみたいだけど、なんでこいつは今更感じ取る事ができたんだ? だいたい、五年前に主人は居なくなったんだろ? だったら、その時に魂を感じ取る事が出来たはず」
「妖精の全部が魂を感じ取る事は出来るとは限らないんだよ。光」
「えっ? だったら、何で?今更‥‥‥」
「う〜ん、多分、光のせいではないかな?」
「はひぃ? 僕!?」
とんでも無いことを言って来ましたよ。
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