第128話 父への憎しみ

エミリアの葬儀が終わると、クラウディはその日の内に、軍に戻る為に、戻る準備をしていた。

軍に戻る直前に、クラウディはクラウドに、一言あると、クラウドを呼んだ。

最初はクラウドは、拒んでいたが、エミリの押しに負け、仕方なく、父、クラウディの前に立った。


「クラウド、お前は私が憎いか?」


クラウドはこの言葉を聞くと、クラウディを睨みつけ、


「ああ! あんたは母さんの葬儀の時も涙を見せなかったからな!」


まるで、目の前に憎き相手が居るかの様な言葉と態度を取るクラウドに、クラウディは、


「そうか‥‥‥ただ、クラウド、私はエミリアを、母さんを誰よりも愛していた」


真剣な表情をして、クラウドを見るが、クラウドは


「クッ!‥‥‥嘘つきが!」


クラウドは、そう怒りながら呟くと、クラウディは、それでも息子を想う父親の表情は変えずに、


「クラウド、いつかはお前にもわかる日が来るはずだ。貴族は‥‥‥いや、人の上に立つ身の者は、民の幸せを一番に考えねばならない事を」


「民の幸せだって! だったら母さんの幸せはどうなるんだ!」


怒鳴る様にクラウドはクラウディを睨みつけて言います。


「エミリアは‥‥‥あいつは、それを承知の上で私と一緒になった」


「それでも、それでも! 母さんは、幸せだったのか!」


やはりクラウドは納得がいかない。母の死を目の当たりにして、本当に母は幸せだったかと思ってしまう。だから父が憎い、死が迫っていた母の側に居なかった父が憎かった。


「僕は貴方の様にはならない。愛する者が苦しんだ時には、側にいる! 決して一人、寂しい想いはさせない!」


クラウドは、父、クラウディに背を向けると、その場を立ち去ろうと歩き出す。そんなクラウドを見て、エミリは、


「クラウド、待って! 貴方のお父様は‥‥‥」


クラウドを引き止めようと叫ぶが、エミリの言葉はクラウドには届かなかった。そんなエミリの肩をポンと叩くクラウディは、


「もう、いいんだ。あいつの気持ちもわからないでもないのだから」


首を左右にゆっくりと振ると、寂しそうな表情で呟く、父、クラウディに、エミリも悲しい表情を見せ、クラウディに軽く会釈をすると、クラウドを追いかけた。


「クラウド‥‥‥後のことは頼んだ、エミリ」


そう言うと、屋敷を後にしてクラウディは、軍に戻って行った‥‥‥






そして‥‥‥




それから‥‥‥




二年後‥‥‥




クラウディ=デ=アウターは、還らぬ人となった。

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