第125話 エミリの膝枕
暫く薔薇の庭の前に座る二人‥‥‥そしてクラウドはエミリを見て、
「エミリ‥‥‥戻ろう、母さんの所に」
「もう、大丈夫なの? クラウド‥‥‥」
「最後ぐらい‥最後ぐらい‥笑顔で‥笑顔で‥‥‥」
クラウドはエミリに笑顔を見せた。けど、その目は今にも涙が溢れんばかりに潤んでいた。そんなクラウドを見たエミリは、クラウドの頭を優しく抱きしめると、自分の胸元に引き寄せると、
「クラウド、無理しなくてもいいのよ‥‥」
「けど‥‥僕は男‥‥‥」
エミリは首をゆっくりと横に振る
「そんなの関係ないわ。だって好きな人、愛する人が亡くなったんだから」
その言葉で、クラウドは何か心の中糸が緩んだのか、エミリを抱きしめると、
「エミリ‥‥エミリ‥‥母さん‥わあああああああ!」
クラウドはエミリの胸元に顔を埋めながら泣いた。涙が枯れるまで泣いた。そして、エミリはそんなクラウドの頭を優しく撫でた。
『エミリア、約束するわ! 私がクラウドを護ると! だから安心して‥‥‥』
そう誓うエミリ。そしてクラウドの頭に自分の頬を優しく重ねた‥‥‥。
そのまま暫く、その場にいた二人。
すると後ろから、数人のメイド達が
「「「クラウド様ああ!、何処ですかああ! クラウド様ああ!」」」
クラウド達を探しにメイド達が叫びながら来た。クラウドはいつのまにか泣き寝入りして、エミリに膝枕をして貰っていた。
「あっ! クラウド様! ここに居たのですか‥‥‥」
「「「えっ!!! ‥‥‥嘘!」」」
クラウドに膝枕をしていた美女を見て、メイド達は驚いて、自分の目を疑います。
「「「エミリア様!!!」」」
そんなメイド達の驚く声に眼を覚ますクラウド。
「ふわあ〜、なんだよ騒々しいな」
「ク、クラウド様! 何故エミリア様が!」
「えっ? あっ、ああ。こいつ、エミリだよ」
「「「えっ⁈ エミリ‥‥‥様ですか?」」」
「そうだよ。なあ、エミ‥‥リ!」
クラウドは今の自分の状態に気づくと、顔を赤らめて、上半身を起こそうとするがエミリに、
「クラウド、まだ落ち着いてないのね」
そう言うと、クラウドを両手で押さえつけます。で、クラウドは、
「エミリ! 落ち着いてる! 落ち着いてるよ!」
ジタバタジタバタとするクラウドに、まだ落ち着いてないと勘違いしてるエミリは、まだ膝枕から解放してくれないのかクラウドを押さえ続けます。
「エミリ! みんな見てる! みんな見てるから!」
「ダメですよ! クラウド!」
そんな光景を見ていたメイド達は、クスクスと笑ってます。
「もう大丈夫だよ! エミリ!」
「ダメです! 私がしたいの!」
「あ〜、恥ずかしい///」
恥ずかしさの余り、顔を両手で覆い隠すクラウドであった。
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