第119話 シンクロする、姿、言葉
人の思いは、届くのだろうか?
あなたを好き? 嫌い?
あなたを愛してる? 愛してない?
あなたを助けたい?助ける?
あなたをそこから、連れ出す? 連れ出さない?
あなたが 憎い? 憎くない?
あなたを抱きしめたい? 抱きしめない?
「僕は‥‥‥助けたい、いや、助けないといけない気がする」
僕はチーとマーに魔法を掛けた小石を、妖精の真上に投げた。と、同時に僕は妖精に向かって走り、チーが親指を鳴らすと、小石が光り出した。その光は太陽にも匹敵する程。
「カァッ!」
辺り一面が、真っ白になるぐらいの閃光が走る。
「まあ、眩しい!」
たじろぐ妖精は目を両手で覆う。
その隙に僕は、
「うわああああああ!!!」
勢いよく、妖精の腰目掛けて飛びついた。
飛びつかれた妖精は「きゃあ!」と、一瞬悲鳴をあげると、僕と共に妖精は後方に、
「ズザザザアアア!!!」
地面を滑る様に飛ばされる。
まだ、目が眩しく視力が戻らない妖精は、僕を振り払おうと、左右横に振ります。
僕も離さないと、力一杯、妖精にしがみつきます。
「離せ! 離せ! 離せ! 離せえええ!!!」
叫ぶ妖精。しかし僕は、離さない。
チーとマーは、僕の肩にしがみついていたが、一旦、地面に避難。
すると、妖精は、
「離せえ! 離せえ! こ、このおおお!!」
目を見開くと、一瞬で僕と妖精は、炎に包まれた。
「「光!!」」
チーとマーは、僕の名を叫ぶが、炎が凄く聞こえない。
「離せえ!」
「嫌だあ!」
「離せえ!」
「嫌だあ!」
すると、炎の熱がまた上がる。チーとマーは余りの熱さに、後方に下がります。
「離せえ!」
「嫌だあ! 僕はお前を助けたいんだあ!」
押し問答をする、僕と妖精。だが、余りの熱で苦しくなり、力が入らなくてなって来た‥‥‥が、ここで離したら、
「離せえ!!! お前に何がわかるかあ!!! あの人が何年も戻らない気持ちがああ!!」
「わからない! けど、お前を助けたい!」
僕は一瞬、自分が何を言っているかわからなくなった。けど‥‥‥助けたい! そう言った気持ちはある。あの、僕らを睨みつけていた妖精が、涙を見せたから‥‥‥。
「クッ! 離せえ!」
「嫌だあ! 」
僕は妖精の目を見た。そして、その目は悲しみが痛いほどわかる様な目をしていた。
僕は、その目を見て思った。この妖精は必ず助けないといけないと。
そして、僕は妖精の目を見ながら、
「僕は! 僕は! ‥‥‥」
『エミリ‥‥‥エミリ‥‥‥』
妖精は僕を見て、急に目の色を変えた。
『エミリ‥‥‥』
「僕は! ‥‥‥」
「クラウド‥‥‥?」
「えっ?」
ふっ、と誰かの名を僕を見ながら呼んだ。
僕は妖精に言う。妖精は僕を誰かとシンクロさせているのか? 態度が変わった。
「‥‥‥クラウド」
「僕は、君を守る!」
『僕は、君を守る!』
シンクロする言葉、シンクロする姿。妖精は僕に大粒の涙を流すと、
「クラウド!(涙)」
そう叫ぶと僕に抱きついた。
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