第118話 火の妖精

僕は一歩、また一歩と、目の前に居る白銀の美女の妖精に近寄る。

しかし妖精は動こうとはしない。寧ろ僕が一歩近づく事に、妖精の目が釣り上がっていくように見える。

そして、妖精の二百メートル手前まで来た時に‥‥‥妖精が動いた。

両手を広げ、まるで下から何かを招いているように、両手を動かし‥‥‥いきなり僕に両手の手の平を向けた、次の瞬間


「ゴオオオォォォ!!!」


凄まじい音と共に、炎の塊が僕目掛けて、襲いかかってきた。それはまるで、『炎の龍』のようだ。

僕は頭を下げて両腕を頭をかばうように前に出す。


「ゴオオオ!!! バチバチバチ!!!」


僕の体全体を炎が包み込む。

声を出そうにも熱くて、声がでない。

目を開けようにも開けれない。開けようものなら、目が焼け溶けてしまうように感じる熱さだ。

『炎の龍』みたいなのが、僕を通り過ぎると熱さは和らいだが、まだ体は燃えているかの様に熱かった。

そんな僕を見た、白銀の美女の妖精は、少し驚くが、直ぐに目を鋭くして、僕を睨み返す。


「まだ。身体中が熱いや。 に、しても【クール】の魔法をかけてなかったら、すでに死んでいたな‥‥‥」


僕は身体中を見るように、あっちこっちを触ったりしてるとチーが、


「あの妖精、火の妖精だ‥‥‥」


「だね、だとすると場が悪すぎるね」


マーは腕を組んできつそうな目で、僕に言います。


「場が悪い?」


僕はまだ熱いので、腕をはたきながらマーに聴き直します。


「光、この下は溶岩の池だよ! で、あいつは火の妖精‥‥‥」


「あっ!」


そう言われて、やっと気づく僕。熱さで、頭の思考回路まで、おかしくなったか?と一瞬思いましたよ。

すると、また、白銀の美女の妖精は、先程と同じ構えで‥‥‥そして『炎の龍』を僕に襲いかけます。


「クッ! ‥‥‥アツ!」


またも喰らった僕。しかも二回目。体に今度は火傷をしそうになるぐらいの熱さが襲いかかる。

まだ、【クール】の魔法は効いているが、こんな攻撃は、何回も防げれない。


『何とかして、あの妖精の懐に潜り込まなければ‥‥‥そうだ! 』


僕は閃くと、足元にある手の平に乗る小石を一つ拾うと、チーに話し掛けます。


「チー‥‥‥ゴニョゴニョ‥‥‥」


「うん、うん、‥‥‥わかったよ光!」


チーは小さな手の親指を立てると、早速始めます。

そんな僕らの様子を、首を傾げて見ている、白銀の美女の妖精。


で、


「できたあ!」


「これなら‥‥‥」チーが頷くと、マーも


「うん、これならうまくいくかも」


「おーい! 白銀の妖精さん! 」


僕が叫ぶと、白銀の美女の妖精はこちらをまた睨みつけます。

と、同時に僕は、相手に向かってぶん投げます。そしてチーが、親指を「パチン!」と鳴らすと同時に、僕は思いっきり走った。

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