第115話 ラスボス?
「本当に、溶岩の池なのか? 何か赤い水溜まりではないのか?」
僕は足元辺りにある石ころを一つ掴むと、下の池に落とします。
池に石ころが近づくに連れて赤くなり、池の落ちる手前で、「ボッオ!」と音を立て、一瞬で燃え尽きた。
「ほ、本当に本物の溶岩の池だ!」
チーとマーも目を丸くして見てます。
てか、ぬいぐるみだから燃えちゃうんじゃないの、と思います? 実は僕に【クール】の魔法を使った時に、チーとマーは自分自身にもかけてましたよ。
で、この先一本道を見ると‥‥‥
やはり定番ですかねー、道幅は人一人がやっと通れるだけの道が五百メートルぐらい、真っ直ぐに伸びてます。その先にまたトンネルが。
「光! あのトンネルの先に‥‥‥直ぐそこにあるよ。プリム宝石が!」
チーが叫ぶと、マーも先のトンネルの方を見ます。が‥‥‥僕は、
「チー、何故プリム宝石があの先にあるのがわかるの」
と。
チーは、しまった!てな顔をしますよ。
けどね、僕は薄々感づいてました。
何故チーは、僕になんの妖精か話さなかったのを。
だから僕はチーに改めて聞きます。
「何故プリム宝石があるのがわかるの」
と。
チーは最初は驚いていたが、上を見上げ、一つ溜息をすると‥‥‥僕の顔を、目を見ます。
「‥‥‥光が‥‥‥うん、そう思っているとおりだよ」
そうチーが言うと、何かが吹っ切れたのかニコリとします。
「じゃあ、やっぱりチーは、プリム宝石の妖精‥‥‥」
「‥‥‥うん」
僕はその返事に思います。
この異世界、グリーングリーンワールドに来る時、通ってきたあのトンネル内で降っていた光る雪はプリム宝石のカケラではと‥‥‥。
『だから僕が初めてイレイやアレク王に会った時、その名を聞いて驚いたのか』
僕は心の中で呟くと、一つ軽い溜息をします。こう言う時は、重い溜息をするんだろうけど‥‥‥、僕はチーの気持ちが分かっていたからだと思います。
だって、あの時、僕は少し微笑みながら溜息をしたのだから。だから‥‥‥
「そうか‥‥‥ありがとう」
それ以上僕はチーに何も追求はしなかった。
何故、追求しなかったかは、前に書いた通り気持ちが分かっていた‥‥‥だけではなかったんですよね。
「こう言った定番の場所ではやはり‥‥‥」
僕達が進むこの溶岩の池の中の一本道のトンネルの入り口の前に人が立っています。
「人が立っている?‥‥‥あれは‥‥‥まさか!」
僕は目を凝らしてよく見ます。
「‥‥‥女性?」
そう。そこに立っているのは女性だった。地面に着きそうなぐらいの長い美しい白銀の髪。白い‥‥‥純白のドレス?、いや、ウェディングドレスか。しかもスカートが膝までしかない。
顔は‥‥‥この距離ではハッキリとわからない。
そして‥‥‥この女性は定番のセリフを言います。
「この先には行かせない」
と。
この女性が定番の場所の定番の‥‥‥
ラスボス?‥‥‥。
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