第113話 必ず‥‥‥

何もない大地。あるのは岩肌を剥き出しにしたいくつもの丘。そして‥‥‥

空は青く澄み渡っているのに、このホクトリアの大地には草木が生えてない‥‥‥

代わりに大地にはクレバスが何十キロもの長さで割れ目をさらけ出していたが‥‥‥

今は亀裂しか確認できない。


「改めて見るとかなりの長さだったんだな‥‥‥」


クレバスの割れ目は先程の地震により殆どが閉じていた。


「この下に‥‥‥あるのか‥‥‥」


チーとマーは頷き、僕はアイにインカムで再確認すると、HP爆弾は地下約400メートルにあると。


「じゃあ!、行きますか?‥‥‥ブウウウ! ブウウウ! ブウウウ!」


僕が言いかけた時に、ズボンのポケットにしまってあったスマホが振動します。

相手は‥‥‥アルベル。


「アルベルか‥‥‥そちらの状態は?」


僕は出るといきなりアルベルの状態を聞いてきたので、アルベルは初め「うっ!」とたじろいだが、


「あ‥‥‥ああ、こちらは大丈夫だ。先程の地震で国民は素直に避難してくれた。光、お前の方はどうなんだ?」


アルベルはなにか心配そうに言ってきました。だから僕は、


「うん、今からだ! とりあえずこちらは間に合いそうだから‥‥‥安心してくれ」


僕はアルベルに言うと、アルベルも安心したのか、張り詰めた気持ちが緩んだのか、「そうか」と言うと、安堵のため息をついた。


確かに爆弾の撤去には間に合うだろう‥‥‥

しかし‥‥‥

僕はアルベルに言った。


「今、イレイ達をベルガー城の方に避難させている‥‥‥だから‥‥‥」


この時の僕の喋り方にアルベルは、何かを感じ取ったのか、


「光、なに声を震わせている?」


「えっ? そ、そうか?」


「‥‥‥光‥‥‥何か隠してないか?」


やはりアルベルは何かを感じ取っているのか、僕にしつこく聞いてきます。

で、根負けした僕はアルベルに言います。

明るくハキハキとした言葉で。


「お前‥‥‥光、戻る時間が‥‥‥」


「大丈夫だって! それは最悪の状態の時の事だって、だから、イレイ達の事‥‥‥」


僕はスマホ越しに笑いながら(心の中は不安)喋ると、いきなり怒り出した声で


「断る!」


スマホを耳元にした僕は、一瞬、ビクッとしますよ


「えっ!」


「お前が‥‥‥光が必ず戻って、お前がしろ!」


怒鳴りながら言うアルベルに、僕は気づきます。

何故アルベルは怒鳴ったかを‥‥‥


「アルベル‥‥‥うん。ごめん。そうだよな!僕がしないとな! 」


「そうだ! お前がしろ! だから、必ず戻ってこい! 」


スマホの向こう側でアルベルは、力強い口調で言い返してきます。そして思います、こいつはもう、ぼくの親友なんだと。僕は親友まで泣かすとこだったと。

だから、 僕も吊られて言い返します。


「アルベル、イレイ達に伝えといてくれ! 必ず帰ると! 」


この僕のセリフにアルベルの笑顔が分かるぐらいの言葉が返ってきます。


「ああ、待っているぞ!」


と。


僕は通話を切ったスマホを見て思います。

最初は信用できない奴でも、話せば、分かり合えばそんな事なかった。親友になれた‥‥‥。


だからこそ、イレイ達を‥‥‥この世界を守らないといけないんだ‥‥‥と。

チーとマーも同調して頷きます。

僕は右手で力強く拳を作ると、それを見ながら、誓います、言葉でいいます。


「行こう! 止めに行こう! そして必ずみんなの元に帰ろう! 」


そして僕らは【瞬間移動】で地下へと‥‥‥

イレイを助けたあの場所へと飛んだ。

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