第109話 暗闇の先に‥‥‥
暗闇の中で立つ僕。
何故暗闇だとわかるのか?
それは自分の目を開けているから‥‥‥
けど、本当に目を開けているのか?
実は、無意識に目を閉じているだけでは‥‥‥
で、僕は目をパチパチとしてみた。
「やっぱり‥‥‥暗闇だ‥‥‥」
僕はズボンのポケットからスマホを取り出し、ライトを点けた。
ライトを点けた先は、
「うん‥‥‥岩?‥‥‥岩肌?」
僕はゆっくりとライトを照らしながら、自分を中心に回って辺りを見ると、
「洞窟? ‥‥‥」
確かにライトを照らした先は一箇所を除いて、岩肌だった。
「洞窟にしては?‥‥‥洞穴って言った方があっているぽい様な‥‥‥」
で、
「‥‥‥う‥‥‥ううう‥‥‥誰か‥‥‥いるの」
僕は急に呻き声と話し声が聞こえたので、ビックリしたが‥‥‥
この声‥‥‥聞き覚えがある‥‥‥!‥‥‥まさか!
「‥‥‥イレイ‥‥‥」
僕は声のする方にライトを照らすと‥‥‥そこには、僕のすぐ下に岩にもたれながら横になったイレイが居た。
「イレイ! イレイ!」
僕は直ぐにしゃがむとイレイに声を掛けますが‥‥‥
「‥‥‥ひ‥‥‥光‥‥光‥‥‥なの?」
イレイは僕に話し掛けますが、何か様子が変だ。まるで、今にも気を失うみたいな喋り方で言ってきます。
僕はイレイがクレバスに落ちた事を思い出し、イレイが怪我をしてないか確認‥‥‥僕はイレイの両足を見て体が震えた。
イレイの両足は‥‥‥あり得ない方に足が向いていたのだ。
「うっ‥‥‥こ、骨折してるのか」
僕は直ぐにイレイにスキル【リペア】を使った。
「クッ!」
イレイの両足の痛みが僕の両足に一瞬、倍以上襲いかかるが、【ヒーリング】で直ぐにおさまった。
そして僕はイレイに【ヒーリング】を掛けた。
見る見る顔色が良くなってくるイレイ。
そして‥‥‥
「あ‥‥‥光‥‥‥光! 光!」
動ける事に安心したのか?僕を見て安心したのか? 僕に抱きついてきました。
僕もそんなイレイにギュッと抱きしめ返しました。
「イレイ‥‥‥よかった!‥‥‥」
「光‥‥‥」
僕とイレイはお互いに顔を見つめ合います。
そしてお互いの顔が徐々に近づくと‥‥‥
「イレイ‥‥‥」
「光‥‥‥」
近づくと‥‥‥
「てえぃ!」
「いたぁ!」
僕はイレイの頭に右手で軽く、コツンとチョップをしました。
されたイレイは両手を頭に乗せて、僕を見つめて瞳をウルウルさせてますよ。
「イレイ! 何故あんな無茶をしたの!」
「光‥‥‥ごめんなさい‥‥‥(少し落ち込む)」
「僕が間に合ったからよかったけど、もし‥‥‥もしも‥‥‥間に合わなかったら」
少しきつい言い方をして、僕は下を向いてしまいます。
そんな僕を見たイレイは、気落ちして、反省したのか、また僕に
「光‥‥‥ごめんなさい(涙目)」
謝るとシュンと気落ちしていますよ。
本来なら、ここはもう一声、ガツンと言った方が良かったんですが‥‥‥
僕ですからねぇ〜
下を向いたままイレイをギュッと抱きしめます。
「えっ‥‥‥光‥‥‥」
「よかった‥‥‥本当によかった‥‥‥(涙声)」
今度はイレイが僕を抱きしめ返してきました。
そして‥‥‥僕は改めて思いましたよ。
イレイを‥‥‥いや、僕の婚約者達を‥‥‥
いや、このグリーングリーンワールドを救ってみせると。
そしてこの時の気持ちが僕にある決断をさせます。
「ところで光?」
「うん? どうしたのイレイ」
「どうやってここに?」
「へぇ? どうやって‥‥‥僕にもわからない」
「えっ? わからないのですか?」
「うん‥‥‥けど‥‥‥」
「けど‥‥‥?」
「うん、たぶん僕に新しいスキルが備わったんだと思うよ」
「新しいスキル!」
イレイは驚いてますよ。
そりゃあねぇ〜、今度で僕に四つ目のスキルが備わるんですからねぇ、普通は驚きますよ。
まあ、地上に戻ったら、チーかマーに聞けばどんなスキルが備わったかがわかりますから‥‥‥
とにかく今は、ここから出る方法を‥‥‥
イレイを抱きしめながら‥‥‥考えていた‥‥‥思っていた。
強く‥‥‥とても強く。
そして‥‥‥
今度は‥‥‥イレイと二人
消えました。
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