第108話 消えた‥‥‥

僕が持つ現在のスキルは三つ。

【リペア】、【コピー】、【ヒーリング】


そして、この三つは僕に妖精が付いた事による加護によって備わった物だ。


けど‥‥‥今回のは違う。新しい妖精が付いてないのに、新たなスキルを僕自身が感じとったのだ。‥‥‥ただ、何のスキルかはまだ分からない。


それに、何故新たなスキルが僕に備わったかと感じたのかも分からない。


わかってるのは、あの時の気持ちは、


「イレイを早く助けたい!」


ただ‥‥‥ただ‥‥‥それだけだった。




◇◇◇◇




イレイが落ちたクレバスの現場に辿り着いた僕ら。


「ハアッ! ハアッ! ハアッ!‥‥‥さ、流石訓練‥‥‥されているから‥‥‥」


運動不足は認めますけどね〜、


流石、クリエラさん達ですよ。もう息を整えてますから。


「大丈夫ですか? 光様」


「えっ? あっ、だ大丈夫、大丈夫‥‥‥」


クリエラさんが心配そうに僕を見つめますよで、僕は息を整えながら答えます


‥‥‥で、なんとか‥‥‥息を整えると辺りを見渡します。

地面には確かにクレバスがあった様なひび割れが東西に何十キロかあるか、かなりの長さで続いている。

多分、先程の地震でクレバスが活断層に押されて閉じたのでは‥‥‥


『この下にイレイが‥‥‥』


僕は地面には手をやると、イレイの安否を気にした。


「イレイ、無事でいてくれ‥‥‥必ず、助けるから‥‥‥」



『助ける?‥‥‥どうやって?』



僕は右手に拳を作り、その拳を地面には叩きつけ、自分の力の無さに腹が立っていた。


情けない、情けない‥‥‥この下にイレイが居るのに‥‥‥どうすることもできないのか!


「自分が情けない!」


僕は拳を地面に何度も叩きつけた。血が滲みでるほどに‥‥‥


それを見たクリエラさんは、直ぐに僕の腕を取りやめさせると、


「光様! やめてください!」


クリエラさんは地面に叩きつけた血だらけになった僕の拳を、クリエラさんは自分の胸元に持ってきて


「光様、落ち着いてください! こんな事‥‥‥こんな事しても、何も変わりません」


そう言うと、クリエラさんは傷ついた僕の右手を両手で優しく包み込んでくれた。


「クリエラさん‥‥‥御免なさい‥‥‥」


僕は自分のした事に気づくと、クリエラさんに謝った。

クリエラさんはニコリと優しく笑顔を見せると、その後は何も言わず、僕の右手を治療してくれた。


『‥‥‥僕は‥‥‥何をしているんだ!‥‥‥馬鹿だ!僕は馬鹿だ!‥‥‥』


クリエラさんに治療してくれた右手を見て、僕は心の中で叫んだ。


そして、



『僕に力があれば‥‥‥力があれば‥‥‥イレイ‥‥‥イレイ‥‥‥イレイ‥‥‥イレイ、イレイ、イレイ‥‥‥』



僕は‥‥‥「イレイ!」‥‥‥叫んだ。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

‥‥‥‥‥‥‥‥‥

‥‥‥‥‥‥‥

‥‥‥‥‥

‥‥‥



「光様?‥‥‥?」


僕は‥‥‥クリエラさんの前から‥‥‥






消えた‥‥‥。






そして、僕は‥‥‥暗闇の中に立っていた。


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