第104話 クレバス

グリーングリーンワールドはその名の通り、緑溢れる世界‥‥‥


しかし僕らが今いるガルバディ帝国のホクトリアは緑溢れるとは微塵も感じられませ。


あのHP爆弾が爆発する前、つまり五十年前のここホクトリアも緑溢れる土地だと聞いてます。


そして何故?あの爆発以降ホクトリアで植物が育たなくなったのかは、ガルバディのクリスタルが原因だと五百年前の僕が言っていた‥‥‥


そんなホクトリアでまたあのHP爆弾が爆発しようとしていますよ。

それを仕掛けたのが、ガルバディ帝国の反政府団体の『自由の翼』。


だが‥‥‥それを仕掛けた『自由の翼』の奴らは、全員死亡した為に何処にHP爆弾を仕掛けたかがわからない。


そこで、僕らが乗る4WD車です。

4WD車に積まれている、熱感知レーダーで何とか見つける事が出来るかも‥‥‥と。


本来ならどの辺りを絞り探索するかをすれば、直ぐに見つかるはずなのだが‥‥‥どこを絞り探せば良いかがわからない状態。


そんな中、イレイが乗る4WD車の熱感知に反応が‥‥‥


責任感の強いイレイは先走り、レーダーに反応がある方えと移動します。


「イレイ‥‥‥僕が着くまで無茶だけはしないでくれ」


僕の願いとは裏腹に、イレイは先へと進みます。


そして‥‥‥僕にとっては最悪の事態が‥‥‥



◇◇◇◇



イレイが今いる場所は50年前に起きた爆心地からおよそ十五キロ程か。小高い丘がいくつもあり、草が点々と生えているが‥‥‥

殆んどが見るも無残な、何も無い砂山だ。

そして、その数十メートル先には地面に巨大なクレバスが顔を覗かせています。

その距離約100キロ、深さは2、30キロぐらいか。




イレイ達は現在、4WD車から降りてアイの指示で歩いて探索をしています。


「姫様、本当にこの様な場所に爆弾があるのでしょうか‥‥‥」


1人の女性兵が信じられない様な顔をして、イレイに聞いてきますよ。


「ええ多分。アイに聞いた所、熱感知の反応は拡大してきているみたいですし」


イレイが女性兵2人に言うと、先程と違う女性兵が


「けど、姫様。深追いは‥‥‥光様にも言われてますし‥‥‥」


「ええ、分かってます。場所だけ確認出来れば‥‥‥光が直ぐに動けますし」


イレイはアイにインカムで確認を取ると


「ソノサキオヨソ200メートルサキ二ハンノウガアリマス」


その先にイレイ達は近づきますが‥‥‥その途中には、最大幅が50メートル程のクレパスがあります。


「姫様! これ以上は危険です! 一旦引きましょう!」


「ええ、そうね」


あまりの巨大な幅の、そしてまるで底がない様なクレバスを見たイレイは足元が震え、立ち止まってしまい、


「姫様! 大丈夫ですか!」


「ええ‥‥‥ありがとう、大丈夫ですわ‥‥‥えっ?」


突然イレイの足元の地面が少し揺れると、地面が崩れ落ち、イレイも瓦礫と一緒に落ちて行く。


「きゃああああああぁぁぁぁぁぁ!」


「「姫様あああ!」」


女性兵2人は手を差し伸べるが間に合わず、イレイは、奈落の底えと落ちていった。



◇◇◇◇



僕が運転する4WD車は、イレイ達の所まであと残り5キロの所に来ていた。


「イレイ‥‥‥無茶はするなよ‥‥‥けど、何なんだ?この胸騒ぎは‥‥‥」


僕は不安が過ぎる思いで運転をしている時、


「ヒカリ、イレイノ4WDシャカラレンラクガ」


「何?」


「イレイノインカムノハンノウガトギレタソウデス」


「なあ! 何だって!」


僕はその時はまだイレイが大変な状態になっているとは思わないでいた。


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