第96話 目の前に‥‥‥

暗い地下通路を走る4WD車。


ここを歩いている時は余りきずかなかったんですが、車が一台通れるスペースがあったんですね。

おまけに、道が急な坂になってるんですが、ほぼフラットのスロープ状態なんです。

ですから、幾ら急な砂利道の坂道でも難なくこなしていきますよ。この4WD車は。


「アイ、サスとギア比の調整とこの道の地形のデーター収集を」


「リョウカイ。サストギアノチョウセイト、チケイノデーターヲシュウシュウシマス」


アイが車体のサスとギア比の調整をすると、4WD車の走りが格段に変わりだした。


砂利道や窪みがある道も車体の揺れが無くなり、ギア比の調整で車がスムーズに走り出した。


「先程とは乗り心地が違う!‥‥‥いったいどんな魔法をつかったんだね?」


後部座席のブレイク王が、僕に聞きます。


で、僕は運転中の為後ろを振り向けず、運転しながら話しますよ。


「魔法とかは使ってませんよ。アイが車のサスペンションとギア比の調整してくれましたんです」


「さす‥‥‥なんだって?」


「えっ〜〜〜と、車の‥‥‥」


いやね、僕はこう言ったメカの説明は難しいんですよ。


で、仕方ないので地上に出たら説明します、て事でひと段落です。


けど‥‥‥まだ、謎がとけてない問題があるんですよね。


まずは、デーブルに何故、悪亜が取り憑いたのか?

で、その際なぜ性格がかわったのか?

で、なぜ、ブレイク王を殺そうとしたのか?

で、五百年前の僕はなぜこのような場所に4WD車を隠したのか?

で、なぜ悪亜はここで休眠をしていたのか?

で、なぜ五百年前の僕は未来視の事をすべて悪亜に話さなかったのか?

で、なぜガルバディのクリスタルが砂になったのか?

で、なぜガルバディのクリスタルとプリム宝石が合わさると爆発するのか?


なんだかわからない事だらけですよ。

そう考えていた時、


「ゼンポウニ、ミチガアリマセン」


「なあ! なんだって!」


アイの警告に僕はブレーキを踏みます。

ザザザザザッ!と音と共に4WD車は止まります。

で、ルーフ上のフォグランプを点灯すると‥‥‥


「本当に道が無い‥‥‥」


周りは暗くどうなっているかは、ライトが当たった部分しか分かりません。

地下の天井も地上に近づいたのか、低くなって来てますよ。

高さは四、五メートルぐらいですか‥‥‥


「いったい‥‥‥どうすればいいんだ?」


するとその時、天井の一部が揺れ出し、天井から砂や小石が降って来た。




◇◇◇◇



その頃地上では、チー、クリエラさん、ライミさんが馬車に偽装した4WD車に乗って僕の帰りを待ってましたよ。


「アイ、光からはまだ連絡はない?」


「ハイ、マダアリマセン」


チーは、今か今かと待ち構えてます

で、クリエラさんは僕が中々帰ってこないので、何度も


「私、光様のとこに行きます!」


「えっ、クリエラ! 待ちなさい!」


ライミさんの制止を振り切ろうとしますが、ライミさんは何とかクリエラさんを止めます。


「クリエラ! 光様との約束を忘れたの!」


ライミさんはクリエラさんの目を見て何とかクリエラさんを説得しようとします。


「ライミ‥‥‥けど、私は光様が心配で‥‥‥」


クリエラさんの目が潤んでいるのを見たライミさんは


「クリエラ、光様なら大丈夫だから、必ず戻って来るから‥‥‥ねぇ」


ライミさんは、クリエラさんの両手を握ると大丈夫よ、と何度もクリエラさんに言います。


と、そこに


「プルルルル、プルルルル」


クリエラさんのスマホが振動します。

クリエラさんは直ぐにスマホを取ると、


「光様だわ!」


「「えっ!」」


チーとライミさんが驚いている横で、クリエラさんは


「光様! 光様! 今どこですか!」


歓喜に震える声で話すクリエラさん。


で、僕は、


「‥‥‥クリエラさん、遅くなってゴメン。今‥‥‥もう直ぐそちらに着くから」


「えっ、光様‥‥‥ここにですか?」


「うん、そうだよ」


僕がそう言うと、クリエラさん達が乗る4WD車の前方五メートル位の先の地面が五メートル×三メートル程が地面下に斜めに沈みます。


「ガガガガガガ!」辺りに振動が伝わりると


「な、何が起きてるの?」

ライミさんが辺りを見渡します。


「ライミ! クリエラ! あれを見て!」

チーが指差す先の地面に穴が開き、その穴にスロープの道が‥‥‥

すると、


「‥‥‥ガガガガガガガルルルルル!」


と、次の瞬間、


スロープを勢いよく出て来た4WD車!


「「「えっ!!!」」」


「ガルルルルル! 」


4WD車はフロントを天に向かって走っていく様な感じで、フロントタイヤを空転させ、

そして、


「ドォン!」


と車体を地面に押しつける様に着地する。


ザザザザザッ!とタイヤが地面を蹴り砂煙をあげると、車は急に止まった。


「「「えっ!」」」


チーとクリエラさん、ライミさんは、その車を見て驚いてますよ。




◇◇◇◇




僕は明るくなった地上の周りを見ます。

(けど、もう夕暮れなんですがね)


ここに出たのか!

僕の目の先には懐かしく感じる、馬車に偽装した4WD車が。


「漸く戻ってこれた‥‥‥」


僕はホッとした‥‥‥は、出来ないんですよね。

今からクリエラさんにミリアの事を話さないと。

で、その後は‥‥‥イレイ達に。



この後、僕はどうなるのでしょうか?

どうなっちゃうんでしょおおおおお!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る