第89話 4WD車奪取(80話目の続きです)

目の前にあるイレイ達専用の4WD車を見て、

イレイ達四人は、自分達の父親に向かい、


「「「「私達をガルバディ帝国に、行かせて下さい」」」」


と。


タイル王、アレク王、イグム伯爵三人は、やはり、とした顔をし、お互いを見て頷きます。そして、タイル王が、


「それは、できぬ!」


と。その言葉にイレイ達四人は、愕然とします。それもそうですよ。可愛い娘を、まだ友好国どころか、まだ、敵味方状態の国に行かせると、どうなるかわかりませんから。


「そもそも、この4WD車は‥‥‥光がお前達を護る為に用意したものだ!」


アレク王が言います。


そうなんですよ。僕は‥‥彼女達を‥‥少しでも危険な脅威から護る為に、彼女達の専用の4WD車を準備したんです。


「それにだ!もしお前達がガルバディに行って何かあれば、悲しむのは私達だけではないんだぞ!1番悲しむのは‥‥お前達が愛している光だ!」


イグム伯爵が、イレイ達四人を睨みつけて、キツイ言葉で言います。

それだけ、彼女達を心配しているんですよ。


「けど‥‥‥お父様‥‥‥」


メイルがタイル王に向かい、


「分かってくれ!メイル!」


タイル王はメイルの前に立つと、メイルの肩を掴むと真剣な表情で言います。その言葉は今までのタイル王いや‥‥メイルの父親としての娘への心配だと思う、言葉の重みをメイルは感じていた。


そんな二人を見ていた、イレイ、ミレン、エレムは、自分達の父親に何も言えないでいた。


「とにかく今は‥‥お前達は城に戻りなさい!あと、この場所は兵の監視をつける」


アレク王はそう言うと、

イレイ達四人は仕方なく、城へと戻って行った。



◇◇◇◇



既に日はとっぷりと暮れ、辺りは闇につつまれます。


そんな中‥‥‥イレイの部屋では、イレイ、メイル、ミレン、エレムの四人が居た。


しかし、皆表情は暗かった。


それもそのはず。僕が彼女達に用意した4WD車をタイル王達によって、封印 されたので。


まあ、しょうがないですけどね。

4WD車を彼女達に渡したら、いきなり、

“ガルバディに行かせて下さい”ですから。


アレム大国とガルバディ帝国は、この時点ではまだ敵対者どうしですからね。

そのような国に可愛い我が娘を行かせる親がいるだろうか!


しかし‥‥‥彼女達、特にメイルとエレムは諦めてませんよ。


「お父様達は、本当に、もう!私達はもう子供ではないですのに」


メイルはソファに座りながらプンスカとしてます。


「ですわよね、メイル様。私も早くダーリンのとこに行きたいですわ」


エレムはソファの後ろで立って、地団駄を踏んでますよ。


「けど‥‥‥お父様達の気持ちもわからないわけでも‥‥‥」


イレイが下を向きながら言うと、ミレンも


「そう‥‥‥ですわね‥‥‥」


と何か歯切れの悪い様な言い方をします。


「じゃあ!イレイはこのままでいいと言うのですか!」


諦めの悪いメイルは、イレイに八つ当たり?する様な言い方をして、余計プンスカとします。


「メイル様の言う通りですわよ、お姉さま」


エレムもメイルにつられて、プンスカします。


「メイルさんも、エレムも、少しは落ちついて、ねえ」


ミレンが二人を宥めますが‥‥‥なかなかどうして、メイル、エレムは二人は似た者同士なのか、落ち着こうとしませんよ。


「イ、イレイさん‥‥‥」


イレイに助けを求めるミレンだが‥‥‥。


「‥‥‥光‥‥‥なんなんだろう、何かこの辺りが‥‥‥胸の辺りが、騒めく‥‥‥」


「イレイ?」


「お姉様?」


「イレイさん?」


三人はイレイの様子がおかしいのに気がつくとメイルが、


「イレイ‥‥‥大丈夫?」


「‥‥‥えっ? は、はい! 大丈夫ですわ」


なんだか無理やり元気に言っているのがわかる様なイレイに、


「イレイ、正直になりましょう。貴女も光様の所にいきたいでしょ?」


「けど‥‥‥お父様が‥‥‥」


そう言うイレイにメイルが一つ溜息をすると


「イレイ! お父様は関係ありません! 今は貴女の気持ちがどうか、と言うことですわ!」


怒りながら言うメイルに、エレムも頷いてます。ミレンはどうしたものかと、右往左往してます。


「私の気持ちは‥‥‥光に会いたい! この胸騒ぎがなんなのかわかりたい!」


漸くわかったかな? とした顔をするメイルは


「では、明朝4WD車を奪取しましょう」


エレムは直ぐに頷きますが‥‥‥イレイとミレンは何か戸惑いがあるのか、暫くして頷きます。


「作戦名は『光様に会いにいきますわ』ですわ」


と、メイル。

まあね、この時僕が居たら、単刀直入ですね、“メイルさんその作戦名はないですよ”てツッコミをいれてましたよ。




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