第88話 絶望

ホクトリアの悲劇‥‥‥それがまた起きる。

それを止める事が出来るのが‥‥‥‥‥‥‥


「僕ですか?て、どうやって?と言うか、無理ですよ、そんなの!無理!無理!無理!ですよお!」


僕が右手を勢いよく左右に振ります。

けどですね、五百年前の僕が、そう言ったもんだから、皆さん、僕に注目しますよ。

で、アルベルとチィーユは、特に注目しますよ。


で、


「光‥‥‥お前がホクトリアを救ってくれるのか?」


アルベルが僕に近づくと、僕の顔を見ていいますよ。


「えっ‥‥‥あ‥‥あのう‥‥」


僕がおどおどとしてると、今度はチィーユが、


「光!お願い!アルベルの故郷を‥‥‥私達の大地を救って!」


と、僕に言ってきますよ。

僕にとっては 場の空気が重いですよ。

息が重いですよ。

そんなに期待されても、僕にはどうすることも出来ないですよ。


「そんなことないよ!」


マーが突然、僕の右肩に乗るり、スクっと立ち上がると言います。そして、


「君は、イレイ達を助けてきたじゃないか!今回も出来るよ!光なら必ず!」


と、言いますよマーが。

けど‥‥‥僕は‥‥‥


“「光は何故、このグリーングリーンワールドに来たんだい?」”


五百年前の僕が言いますけどね‥‥。


「この世界に呼ばれたから」


“「じゃあ、何故、呼ばれたんだい?」”


何故?考えたこともなかった。

いきなり、この世界に来て、色々な事に巻き込まれ、僕なりに一生懸命に人助けをして、そして‥‥イレイ達と結ばれた。

だから‥‥‥そんな事考える暇も無かった。


「答えは簡単じゃないの」


悪亜が言います。


「えっ?」


「来た世界が違くても、同じ光なら‥‥‥あの人なら‥‥こう言っていたわ『僕はこの世界を助けるために呼ばれたんだ』と」


僕の顔にまた近く球体の悪亜。しかし今度はフワフワではなく、ピタッと静止し、そう言いました。


けど‥‥‥けど‥‥‥僕にそんな力は‥‥


そして、五百年前の僕が言います。恐ろしい事実を‥‥‥。


“「もし、これが‥‥‥ホクトリアの悲劇が阻止出来なければ‥‥‥ガルバディの半分はホクトリアと同じ運命を辿る」”



「「「「「「えっ?‥‥‥!!!!!!」」」」」」



ブレイク王が僕の方を見ますよ。そして、


「光‥‥‥何とかならないのか?」と。


ミリアも


「光様、この国が本当に‥‥‥ホクトリアの様になるのですか?」


僕の左腕を掴むと“どうにかして下さい”と言う様な顔をして、僕を見ます。


僕は‥‥‥僕は‥‥‥どうすれば‥‥‥


“「僕、いや光!今から話す事は‥‥‥君は衝撃を受けるだろう。けど‥‥‥これが、ホクトリアを‥‥‥ガルバディを救う事に繋がるんだ!」”


4WD車のスピーカーから、五百年前の僕の老けた声が聞こえると、


「衝撃を受ける? だって!」


僕は、スピーカーからの老けた僕の声を聞き入れます。


“「今回の『ホクトリアの悲劇』の原因は、確かに『自由の翼』が原因だ!そして、光、君がよく知っている国のある物が‥‥‥それは‥‥‥プリムで取れる、プリム宝石が原因の一つになっているんだ!」”


なあ! プリム宝石だってえ! けど、なんでプリム宝石が原因なんだ?


“「プリム宝石とガルバディのクリスタル。この2つが合わさった時‥‥‥とてつもない威力の爆弾ができるんだ!」”


「「「「「!‥‥‥爆弾‥‥‥」」」」」


それを聞いた時アルベルは体を震わせ、


「で、でわ!五十年前のホクトリアで起きた異常気象は‥‥‥」


アルベルは4WD車のスピーカーの所まで来て


「いったい誰が! 誰がそんな事をしたんだ!」


右手の拳を4WD車のドアにバァン! と当てて怒りをあらわにする。


“「『ホクトリアの悲劇』は、何処で製造方法を知ったかはわからない。けど、最初の爆発でそいつらは全員亡くなっている。そして、今回の『ホクトリアの悲劇』は『自由の翼』がある場所に仕掛けたんだよ」”


僕は‥‥‥いや、その場に居た全員は驚き、そして怒ります。


「じゃあ、『自由の翼』の奴らを捕まえればいいじゃないか!」


デーブルが怒りながら言うと、隣のノウスも頷きます。


“「無理だ!『自由の翼』の仕掛けた奴らは全員亡くなっている」”


と、五百年前の僕。


「じゃあ、打つ手はないのかよ!」


アルベルは怒り、チィーユはそんなアルベルをなだめます。


“「だから‥‥‥僕‥‥‥光の助けがいるんだ!」”


そう言いますがね、僕にそんな力はないですよ!

確かに僕も怒りが治りませんよ!

けど‥‥‥ですね‥‥‥。


そして五百年前の僕は、


“「僕の4WD車、光!君の4WD車、そして君がコピーで出した4WD車が、この危機を救うんだよ!」


と、希望の言葉を言います。


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