第87話 二日以内に‥‥‥

イレイ達四人は、自分達の父親に向かい、いいます。


「「「「私達をガルバディ帝国に、行かせて下さい」」」」


と。

タイル王、アレク王、イグム伯爵三人は、やはり、とした顔をし、お互いを見て頷きます。そして、タイル王が、


「それは、できぬ!」


と。その言葉にイレイ達四人は、愕然とします。それもそうですよ。可愛い娘を、まだ友好国どころか、まだ、敵味方状態の国に行かせると、どうなるかわかりませんから。


「そもそも、この4WD車は‥‥‥光がお前達を護る為に用意したものだ!」


アレク王が言います。

そうなんですよ。僕は‥‥彼女達を‥‥少しでも危険な脅威から護る為に、彼女達の専用の4WD車を準備したんです。


「それにだ!もしお前達がガルバディに行って何かあれば、悲しむのは私達だけではないんだぞ!1番悲しむのは‥‥お前達が愛している光だ!」


イグム伯爵が、イレイ達四人を睨みつけて、キツイ言葉で言います。

それだけ、彼女達を心配しているんですよ。


「けど‥‥‥お父様‥‥‥」


メイルがタイル王に向かい言いますと、


「分かってくれ!メイル!」


タイル王はメイルの前に立つと、メイルの肩を掴むと真剣な表情で言います。その言葉は今までのタイル王いや‥‥メイルの父親としての娘への心配だと思う、言葉の重みをメイルは感じていた。


そんな二人を見ていた、イレイ、ミレン、エレムは、自分達の父親に何も言えないでいた。


「とにかく今は‥‥お前達は城に戻りなさい!あと、この場所は兵の監視をつける」


アレク王はそう言うと、

イレイ達四人は、城へと戻って行った。






◇◇◇◇






時間はまた、元に戻り、ガルバディのベルガー城の地下。


五百年前の僕が衝撃な事を言います。


“「ホクトリアの悲劇が、また起きる」”と。


それに一番反応したのはアルベルとチィーユ。


「ホクトリアでまた起きると言うのか!あの惨劇が!」


あの時まだ自分は生まれてない。しかし‥‥その後のホクトリアは、私は知っている!そして聞いている。あの時、どんな悲惨な状態だったかを。そして、調べて知っている。あの土地がどの様になったかを!


「私達の仲間も数多く、消えた‥‥‥」


思い出したくない惨劇。語りたくない惨劇。

チィーユは小さく顔を横に振ります。


そしてアルベルは今まで抑えて来た理性が限界に達したのか、


「2日以内の、ホクトリアの何処で起きるんだ!」


4WD車のボンネットを、両手で“バァン”と叩くと、怒鳴りながら言った。


そして、五百年前の僕は言う。無責任かもとも言える事を。


“「ホクトリアの何処かはわからない‥‥‥」”


それを聞いたアルベルは、今にも襲い掛かりそうな勢いの言葉で


「何処かはわからないとはどう言うことだ!」


チィーユも今にもキレそうな勢いで、


「何処かはわからないの!何故!何故!肝心なところがわからないのよ!」


そんな二人を見た僕とデーブルとノウスは、二人を宥めようとしますが、


「これが落ち着いていられるか!ホクトリアが!私の生まれたホクトリアが!」


暴れるアルベル。

そして、五百年前の僕は、


“「本当に済まない。何処で起きるかは未来視でも見る事は出来なかったんだ‥‥‥」”


その無情な言葉を聞いて、愕然とするアルベルとチィーユ。そして僕ら。


“「‥‥‥けど‥‥‥希望がないわけではない。それは‥‥‥五百年後の僕、乙川 光!君がこの危機を救うんだよ!」”


うん?‥‥‥‥えええええええ!!!僕ですか?!!!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る