第78話 目覚めたアイ

そう!五百年前にあいつが居たじゃないのかよ。あいつが‥‥‥4WD車のAIナビのアイが。


僕は直ぐに4WD車の所に行くと、室内を見る。


「周りは苔やボディの錆が酷いが‥‥‥車内は‥‥‥大丈夫そうだ」


そう、もしこいつが今の僕が乗っている4WD車と同じ物なら、あいつが、アイが備えつけてあるはず。


そして僕は後部座席の後ろを覗くと‥‥‥


「あった!‥‥‥アイ」


僕は記憶メディアの入ったボックスに手を添えると軽くなでた。


「アイ‥‥‥」


そして、僕は記憶メディアのボックスを開こうと‥‥開こうと‥‥‥開こう‥‥‥


「あっーーーーーー!」


皆んながなんだなんだと、覗きこむと、僕は、


「こ、壊れちゃった‥‥‥」


と、ボックスの蓋を持っていいます。


「「「「「光いいい!!!」」」」」


「す、すみません、すみません、すみません!!!」


て、記憶メディアのディスクは無事なんですけど。


だけどですね、やはり五百年もの間、こいつはここにずっーと居たんですから、あっちこっちがボロボロなんですよ。


「光、もう少しだな‥‥慎重に扱わないと」


とアルベルが言うと、横にいるチィーユも、頷いてますよ。


「そうだぞ!光‥‥‥もう少しだな‥‥」


ブレイク王まで言うので、


「あ〜〜、今からスキル使いますので離れてくださいね〜〜ぇ」


全員からお叱りのツッコミが来そうだったので、僕は4WD車に両手を着けて、スキル【リペア】を使用しました。


青白く輝き出す4WD車。


「ピッカー!」と一瞬、物凄い光に包まれる


「「「「まあ、眩しいぃぃ!!」」」」


今まで魔法石火とスマホの明かりだけが照らされていた洞窟内に、かなりの光が走り出した。


「‥‥‥蘇ってくれ‥‥‥アイ!」


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥光の閃光が治ると、また辺りには暗闇の静寂が戻って来た。


そして、徐々に元の明るさに目が慣れ始めると、僕らの目の前には‥‥‥


あの4WD車が‥‥新車の様な輝きを取り戻し、ボディは魔法石火の灯りを照り返していた。


「‥‥‥戻った‥‥‥アイ‥‥‥」


取れていた、運転席側のドアも、元どおりに直っており、

僕は直ぐに運転席のドアを開け、シートに座ると周りを確認した。


「直っている‥‥‥よな」


僕は車のキーを取り出すとエンジンキーに差し込む。


『頼む、キーは同じであってくれ‥‥』


「カチャ」と音と共に差し込むことが出来た。そして‥‥イグニッションキーをON側にひねるとパネルの警告ランプなどが点灯。


「ここまでは‥‥‥」


そして、僕はイグニッションキーをSTART側にひねる。


「キュル、キュルキュルキュル‥‥‥‥‥‥

ガルルルルルゥゥ」


「な!なんだ!何事だ!」


狭い洞窟内に響くエンジン音に、ブレイク王達は驚いて4WD車から離れる。


「アイ‥‥‥アイ‥‥‥目覚めて‥‥‥目覚めてくれ‥」


僕が見守る肩には球体の悪亜が、


「お願い‥‥‥目覚めて」


と。


そして‥‥‥‥‥


「キュイ‥‥‥キュイ、キュイ、キュイ」


ダッシュボードの上の球体が周りを確認するかの様に動き出した。


「!!‥‥アイ‥‥‥アイ!」


「キュイ‥キュイ‥ソノコエハ、ヒカリ‥」


「ああ‥‥ああ‥そうだよ、アイ」


僕は蘇ったアイに少し涙が出ましたよ。

にしてもアイに反応するって事は、AIナビもアイで登録してあるのか。そして僕自身も五百年前の僕とは声の認証も変わらないのか。


「アイ!私よ‥‥分かる?悪亜よ」


「ハイ、アクア、オヒサシブリデス」


それを聞いた悪亜は、僕にしがみつく様に泣き出した。(球体だから寄り添う感じですか)


「何が、“お久しぶり”だよ。お前、五百年も寝ていたんだぞ!」


「ゴヒャクネン‥‥イッテイルコトガワカリマセン」


「まあ、そうだろうなあ!お前にとっては、つい昨日の様な物だかな」


「イミフメイデス」


「あはははは。分からないでいいよ」


ダッシュボード上の球体は「どうして?」な感じで左右に動いてます。


で、僕は車のドアを開けると、


「大丈夫です!此方に来てください!アイも復活しました!」


「おっ、‥‥おお!!そうか!」


まだ少し警戒しているのか、ブレイク王達はゆっくりと4WD車の所に戻ってきました。


「アクア!アクアハイマスカ?」


「‥‥‥な、グスン、なあにアイ?」

まだ泣いている悪亜はアイに返事をすると、


「アナタニメッセージガアリマス」


「えっ?‥‥‥誰から?」


「ヒカリカラデス」


えっ?悪亜に五百年前の僕からだって?

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