第74話 訳わからないわよ!
人は信じられない物を見た時、どんな反応をするんだろうか?
まさか!と思い遠巻きで見るのか?
本当に?と触ったりするのだろうか?
それとも誰かに聞くのだろうか?
はたまた、自分なりに調べるのだろうか?
考えがまとまらない‥‥‥
この僕の目の前にある物は、ここに居る人物では、僕とマーだけのはずだ‥‥‥
けど‥‥‥けど‥‥‥
「ここが私の休眠していた場所です」
「これはなんだね?」
ブレイク王が尋ねます。
「これは‥‥」
「‥‥‥ブレイク王‥‥これは‥4WD車です‥‥車です‥‥」
「「「「くるま?だと?」」」」
悪亜が言いかけた時に僕は、思わず呟いてしまった。なぜ、これがこれがここにあるのかと言う気持ちと、悪亜の今までのセリフが頭の中で交錯した複雑な思いの状態のままで。
「光様‥‥大丈夫ですか?声が‥‥震えてますわ」
ミリアは僕の左腕にしがみつきながら、僕の事を心配しながら見つめて言います。
「‥‥‥ありがとう‥‥ミリア‥‥大丈夫だから」
僕はこの状況で出来る最大の笑顔で答えたが‥‥‥
「光様‥‥やはり大丈夫ではないのでは?目から‥‥‥目から涙が‥‥‥」
「えっ?涙?」
僕は徐ろに右手を自分の顔の頬にやると‥‥確かに‥‥‥泣いていた。
「あれ?何故?」
何故だか分からないが‥‥けど‥‥何だろう?胸が締め付けられる様な気分になる。
僕は、自然とある部分に手を出し、こびり付いた苔を取る‥‥‥
「‥‥‥僕が乗っていた車だ‥‥」
「光‥‥本当に‥‥?」とマー。
「‥‥うん‥‥ナンバープレートの塗装が錆び、剥げて分からないけど‥浮き出てる字や数字が
確かに同じだ」
僕は‥‥悪亜の言葉を半信半疑で信じていた‥‥が‥‥このナンバープレートを見ると
「信じるしかない‥‥」
「光‥‥これで信じてくれる?」
僕の顔の前をクルクルと回る、光の球体の悪亜。
「けど‥‥悪亜‥‥こちらもこれだけは信じて欲しい。僕は五百年前には行ってないて事を‥‥」
「‥‥じゃあ‥‥じゃあ‥‥あの光は誰なの?‥‥光ではないとしたら誰なの?」
「‥‥悪亜‥‥僕かもしれない‥‥けど‥僕じゃないんだ」
「訳わからないわよ!」
悪亜が怒鳴った時、いきなり車の運転席のドアが
「‥‥ギィ‥ギィ‥ギィギィギィ‥ギィィィ‥‥バタアーン!!」
ドアが取れ地面に落ちた。
「「「「「わあっ!!!」」」」」
その場にいた全員が驚くと、地面に落ちたドアで辺りに埃が舞う。
「「「「「ゴホッ、ゴホッ‥」」」」」
暫くすると埃が収まり、僕は運転席のシートにある物に気づいた。
「あれは‥‥‥スマホ?‥‥」
僕はスマホに手を伸ばし取ると、スマホのカバーがボロボロと崩れ、本体だけになってしまった。
しかし本体は苔が少しついていたが‥‥思いの他綺麗だった。
多分、車の室内にあったせいだろう。
「悪亜‥‥もしかしてこの中に‥‥」
「ええ、私達の思い出が詰まってます」
「そうか‥‥‥」
僕は一言そう言うと、リペアを使った。
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