第75話 アイ マイ ミイ
五百年前の4WD車の中にあったスマホに僕は、リペアを掛けた。
スマホが泡白い光に包まれると、まるで新品の様な輝きを取り戻したスマホ。
僕はリペアしたスマホを取ると、今持っている自分のスマホと見比べた。
「やっぱり‥‥‥同じ‥‥だ‥‥」
「‥‥‥確かに光が持っているのと同じだ」
デーブルが魔法石火のランタンでスマホを照らし、そう言うと皆も、
「「「うん、うん‥‥」」」
と頷く。
「光‥‥‥」と何か不安げな表情で僕に言うマーに、
「ああ‥‥‥問題は‥‥‥起動出来るかだな」
「起動?」
僕の横に居るミリアが言います。
「うん‥‥‥このスマホのホームボタンには指紋認証の機能があって‥‥‥」
で、僕はこの機能の事を五分掛けて説明しました。
ええ、ええ、申し訳ありませんねえ‥‥僕は説明が下手ですから。
で、アルベルが、
「そうすると‥‥‥そのボタン?を押すと光だったかが分かるのか?」
「ええ、同じ指紋の人はほぼいませんからね‥‥‥」
僕はスマホのホームボタンを押すと‥‥‥‥
暗証番号が出た。
そして今使用している番号を入力すると‥‥
「光‥‥‥‥」
「‥‥‥うん‥‥」
「どうなっている?」
ブレイク王が興味深く見てますよ。
それ以上に見ているのは悪亜。
「‥‥‥‥‥うん‥うん‥うん‥やっぱり‥
やっぱり‥‥」
涙声で言う悪亜。
僕は右手に今のスマホ、左手に五百年前のスマホを持ち、目を閉じ天を仰いだ。
「どうなっている?」
今度はアルベルも聞いてきた。
「‥‥‥光様?」
心配そうに僕を見るミリア‥‥‥。
僕は‥‥僕は‥‥僕は‥‥僕は‥‥
「‥‥‥起動‥‥出来ました」
「「「「‥‥!!!」」」」
このスマホも確かに僕のだ‥‥‥けど‥‥僕は‥五百年前なんかには行ってない‥‥そして、
僕はスマホのホーム画面の壁紙を見るとそこには、綺麗なウエーブの青髪をなびかせ、優しそうな笑顔の女性とその前には3人の可愛らしい女の子が笑いながら座っていた画面が現れた。
「‥‥これってもしかして‥‥」
僕が画面を見ながら悪亜に言うと、
「‥‥ええ‥‥ええ‥‥これは‥後ろの女性は私です‥その前の三人は‥‥あなたの‥‥光と私の娘です」
スマホの画面を見ながら泣き声で言う悪亜に、僕らは暫くは何も言えなかった。
「‥‥アイ‥‥マイ‥‥ミイ‥‥」
と悪亜が言います。
で、僕は
「へえ?‥‥今なんて‥‥」
「‥‥えっ?‥‥娘の名前です。アイとマイとミイです‥‥」
「‥‥‥‥アイマイミイですか‥‥‥五百年前の僕は‥‥もう少し子供の名前は凝った名前にしろよおおおお〜〜」
僕は情けなく、涙がちょちょぎれましたよ。
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