第57話 スキルのコンボ技

デーブル、 デーブル=ジ=ゲルバ。

なぜ?あいつがこの様な場所に来たんだ?

アルベルが腕を組んで考えていると


''「あいつも下のブレイク王とミリア姫がどうなったか、心配になって来たんでしょう」''


テレパシーの様なのでアルベルの頭の中に話しかけるチィーユ。

しかしチィーユの言葉は半分怒りに満ちた言葉だ。


''「そう怒るなチィーユ。ただな、もしデーブルがブレイク王が心配で来たのならもう少し慌ててくる筈だが‥‥‥笑いながらここにきたんだあいつは‥‥‥」''


アルベルは考えていた。

もし今回の起きた事があいつの仕業なら‥‥‥やろうとすればデーブルならノウスをつかって可能だと。

しかし‥‥‥証拠がない。


''「ギッシュ、考え過ぎよ。それにあいつもブレイク王を牢獄に閉じ込めた奴よ。そんな奴がわざわざプリム小国の国王代理を地下に落とすかしら?」''


まだ怒りながら話すチィーユ。


''「まあ、普通に考えればそうだな‥‥‥‥

奴が、デーブルがあいつのスキル【ブラックテンション】でブレイク王を操り自ら毒の入った薬を飲ませたんだからな。しかもあいつは、ブレイク王を殺そうとまでしたんだ」''


遠い目をして語るアルベルにチィーユは


''「けど‥‥‥ギッシュ、あなたは王の暗殺を許さなかった。王を牢獄に入れ反省させるだけでよかった‥‥‥だからあなたは王に解毒剤を飲ませた」''


目を閉じ何かを考えているとアルベル。

そしてチィーユは


''「だからギッシュ、あなたは地下に私の力で牢獄を作り結界を張り王を閉じ込めた‥‥反省させる意味と王を暗殺させないように‥‥と」''


ブレイク王に反省させる。

なぜ?

私の故郷『ホクトリア』を助ける為。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


『ホクトリア』、ガルバディ帝国の首都から北に位置する街。

50年前に起きた謎の大爆発により気候も変化し土地も作物が育たなく干からびた土地になった。

市民のほとんどが貧しくなり食べるものもあまりない為に餓死する者もたくさん出た。

そんな悲惨な場所だ。犯罪も腐るほど出た。

若者はそんな街に嫌気がさし、街を出て行く者が後を絶たなかった。


そんな街、『ホクトリア』で私は生まれ育った。




◇◇◇◇




「リペアアアアアアア!!!」

僕はそう叫ぶ。すると牢獄全体が光り出し


「ザッ、ザッ、ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザっと!」

と牢獄が砂に変わり出し崩壊して行く。


僕はうまくいったのを見て安堵のため息をついた。


「やったね!光!」


マーが僕の顔に飛びついてきましたよ。


「とっ!それよりもマー、ミリア姫は?」


僕はミリア姫を見た。

少し砂を被ったのか、掛かった砂をはたいてます。そして周りを見るミリア。


「牢獄が消えた?‥‥‥貴方がしたの?」


僕はウンと頷くと、


「いきなりでビックリしたわ。魔法を使うと一言言ってもらえたら何か被って砂を避けれたけど‥‥‥」


「あっ!ご、ごめんなさい」


僕がそうミリア姫に頭を下げてあやまるとミリア姫は驚いてましたよ。


「あっ、いえ。私の方こそ助けてくれてありがとう。‥‥‥貴方、国王代理ですわよね?」


「えっ?はい、そうですが」


「国王代理だから、私の先程の言葉に反論するんじゅないかと。生意気な奴だと文句を言ってくるんじゃないかと‥‥‥けど貴方は違った。私に謝りましたわよね、頭まで下げ。

そんな殿方、私は見た事ありませんわ」


うん?この流れはもしかして‥‥‥‥‥‥

ミリア姫が何だか僕の方をジィーと見てます。なんとか話をそらさないと‥‥‥


「あっ!それよりもブレイク王は?」


「あっ!お父様!」


なんとか顔を少し動かすブレイク王を見て安心するミリア姫。

僕もブレイク王の近くまで行きます‥‥

ブレイク王は顔も体も瘦せ細り顔色も凄く悪いですよ。

とりあえず、僕はヒーリングでブレイク王の体力を回復させます。


「とりあえずはブレイク王の体力はなんとかなったけど‥‥‥」


そう、僕はリペアをブレイク王にかけようと考えていましたが‥‥それをすると今度は僕が二、三時間動けなくなります。

僕が悩んでいると、マーが、


「だったらリペアを使用後にヒーリングを自分にかけてみれば」


と、言ってきました。

つまり、スキルのコンボ技です。


「うまくいかなかったら僕は二、三時間動けなくなるか‥‥‥」


僕は賭けにでましたよ。スキルのコンボ技に。


そして僕は、ブレイク王にリペアを、同時にヒーリングを自分にかけた。

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