第30話 ポチッと

エレムを助けてからあれから2週間がすぎました。

けどですね、何故エレムは危険を犯してまでガイアの花を取りに行ったのか?

それはイレイがあのゲイルの嫁になるのを阻止しようとガイアの花に願ったんだとか‥‥‥‥


で、ですね、あのエレムの


「私とも婚約して下さい」


の件でイレイが口を聞いてくれませんでしたよ。

(イレイて、結構焼き餅焼きさんかな?)

で、僕のあの言葉でイレイの機嫌が良く?なったかはわかりませんけど今はいつもどうりに付き合ってますよ。


で、僕がエレムに言った言葉とは


「保留でお願いします」です。


何故?"保留でお願いします"になったかと言うとアレク王とマキエ妃の鶴の一声なんですよね、これが。

最初僕はエレムに


「イレイの他に婚約者が二人いるから。エレムの気持ちはうれしいのだけど」


と、言ったのですが中々どうしてエレムも引き下がりません。

しまいには


「光様と既成事実を作って認めてもらうしか‥‥‥」


と言った時には流石にイレイもびっくりしていましたけど。


てか、12歳の少女の言うセリフですか?と僕は思ったんですが後々聞くとこの世界では13歳で成人するんだとか。で、12歳で婚約はそう珍しい事ではないそうなんです。


まあ、確かに身長こそイレイより低いけど‥

エレムは12歳なのに女性として出ているところは出て引っ込んでるトコは引っ込んでいますからね。

(このあとイレイに僕は頭をど突かれました)


「と、とにかく落ち着いて話そう、エレム」


「いやです!光様が私を婚約者としてくださるまでは絶対にいやです!」


本当にこの気が強い性格は誰に似たんですかね。まあ、イレイも気が強い性格?みたいだけど、それに輪を掛けた様な性格みたいですからねエレムさんは。


で、で仕方ないのでアレク王に相談したんですが、


「わしは構わんぞ。寧ろ大歓迎だ」


「ええ、私もですわ」とアレク王の横にいるマキエ妃にまで言われましたよ。


「け、けどですね、僕はイレイと結婚するんですよ。エレムとは流石に‥‥‥」


「そうか?わしはイレイとエレム、両方を光の嫁にしたいのだがね」


「へえ?」


いやいや何を言いだすんですか、このオッサン王は。

で、しまいには、


「わしはこのプリムを光についでもらいたいのだよ。イレイとエレムの両方と結婚すれば否応がなしにプリムを継がなければならないしな」


つまりあれですかあ!エレムまで嫁にした場合、僕には拒否権はなくなるんですかあ?


「へえ?僕がプリムを継ぐ‥‥‥いやいや、無理、無理、無理、無理、無理‥‥‥絶対に無理です!」


「そうかしら?ねえ、あなた」


「ああ、タイル王から聞いたぞ。メイル姫やミレン嬢を助けた時の光の敏速な判断。王にはそう言った事が必要だからな」


「買い被りすぎです!僕は昔からそう言った性格なだけですし、それだけでは人はついてきてはくれませんよ」


本当にアレク王にしろアレム大国のタイル王にしろ僕を高く評価しすぎですよ。

僕はそんなに出来た人間ではないんですから。


「あら、私も光様を高く評価してますわよ」


とマキエ妃はニコリと笑顔で言うと


「この国の貴族の男性の性格は光様もご存知ですわよね」


「ええ、女性を物みたいに考えている貴族連中がほとんどだとか」


僕も知っている。あのアレム大国での貴族連中の事を。

メイルが僕の事を心配してるからお礼を言って頭を下げたらあいつら女性に頭を下げるのかよ、と鼻で笑った。

今思い返しても腹が立つ。


「ですから、光様みたいに女性いえ誰にでも分け隔たりなく優しく真剣に接する人はこの国には必要なのです」


僕が悩んだ顔でう〜んと腕を組んで唸っていると、

マキエ妃は僕にニコリと微笑む。そして、


「ではエレムの件はこうしましょう、"保留"て事で。ねえ、あなた」


「そうだな。光も悩んでいるみたいだし」


いやいや悩んでいるみたい、ではなく真剣に悩んでいるんですけどね。


「まあ、プリムを継ぐのは決定しているがな」


と高笑いをするアレク王。


僕には拒否権てはないんですか!拒否権てのは!




◇◇◇◇




で、エレムの件をイレイに話すと"お父様達が言うなら"て事で落ち着きましたけど。

その後イレイのご機嫌取りでドライブに誘いましたよ。まあ、実際はこの辺りのナビのデータを取るためなんですがね。


で、で現在に至るです。

あれからエレムはどうなったかて?

居ますよ。毎日のように僕の所に来ては4WD車や僕の持ち物(元いた世界)のことを聞いてくるんですよ。

まあ、ね。見慣れない物ですからしょうがないと言えないですが‥‥


けどですね、来る度に僕の背中に抱きついてくるのは‥‥‥。

だってですね、抱きついて来る度にエレムの大きな胸の感触が背中にあたるんですよ。

これは明らかに僕を誘っている感じなんですよね。


で、イレイは?

僕の横にいつも居ますよ。ハイ。

メイルとミレンに頼まれた僕の監視を継続中です。(僕が浮気をするかのですけど、僕しませんよ。ハイ)

けどですね、僕としてはイレイと二人っきりになりたいんですよね。


で、この前ようやく二人きりになるチャンスがあったんですよ。


エレムがマキエ妃とプリムの町に用事があったらしくお出かけ。アレク王は公務で。

で、で城の見晴らしいい出窓みたいな所があるんですが、そこで二人きりになり僕は意を決して


「イ、イレイ///」


とイレイを抱き寄せたんですよ///。

で、イレイも待っていたらしく、


「///光‥‥‥///」


僕に抱きついて来ます。

お互いの顔がまるで磁石のように引き寄せられると唇が重なりあいます。


と、いい雰囲気になりこのまま進展‥‥‥


するわけないんですよねえええええ(泣き)

アレク王がいつのまにか僕とイレイのキスした所をスマホで撮っているではないですか。


「うむ、いいのが撮れた。今すぐあいつに送ってやるか」


無論あいつとはアレム大国のタイル王。


「ア、アレク王うううう」


「ポチッと」


送信ボタンを押したアレク王。

後日タイル王からメールで

「次はメイルとだな!」

とメイルの写真付きで送ってきましたよ。

で。しまいにはイグム伯爵からも

「その次はミレンだな、光!」


あーもーーーお!僕にはプライベートはないんですかああああああああ!

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