第25話 妹が‥‥‥
あれがプリム小国。
本当に山々に囲まれた僅かな平地に建物が立ち並んでる。
これ、どこかで見たことがある景色‥‥‥
そう!テレビで見たスイスの街並みに似ているんだ!僕はそう思った。
しかし残念なのは、山の日暮れは早い為薄暗い街並みしか見れない事。もし日が差し込んだ街並みが見れたならさぞ綺麗な街並みが拝めたんではないか、と。
で、街並みから少し離れた所にやたら目立つお城が‥‥‥、
「あれがプリム城です」とイレイが指差します。見た感じが‥‥‥う〜ん、あっ!
あれはディ○ニーラン○のシンデレラ城にそっくりだよ。
「シンデレラ城?」
「えっ!あ、あ、え〜と、おとぎ話に出てくるようなお城かなって」
「そうですか?」
「う、うん」
不思議そうな顔をするイレイに僕は少し焦ったけど‥‥‥ここがイレイの生まれ育った場所だと思うと何だかワクワクしますよ。
「ここからプリム城まではまだかかるのですか?」
「そうだな、まだ暫くは‥‥‥」
アレク王がそう言う。
そして、山の日暮れは早いと言いましたが、本当に早いです。少し山を下れば辺りは薄暗くなります。
なので
「アイ、フロントライトオン」
「リョウカイ」
フロントライトをつけて走る4WD車。
流石にLEDライトを使っている為かなり明るいです。イレイやアレク王はこんなに明るいのは初めてと言ってましたよ。
まあ、確かに夜道は魔法石火だけなので暗いですよね。
「こんなに明るいのだったら夜道でも大丈夫ですわね」
イレイは驚いてライトに照らされた前方を見てますよ。それに頷くアレク王。
けどですね、まだフォグランプは使用してないんですよ。これを使用するとまたかなり明るいですよね。
で、小一時間ぐらい走らせて漸くするとプリム小国の入口にたどり着きましたよ。けどプリム小国に入る門は閉じられてます。当たり前です。だいたいこんな夜にプリム小国に訪れる来訪者はいません。
それにこの4WD車のライトに驚いて警戒しているのでは。
で、少しゆっくりと行き門の前に車を止めると、アレク王とイレイが車から降ります。
「誰かいないかあ!」
アレク王が叫びますと門の上の見張り台から2人の門兵が顔を出します。
やはり警戒されていたみたいですが‥‥‥少し様子がおかしいのか、
「お前達2人だけか!」
とアレク王。
「えっ?あ、あなた様はアレク王とイレイ姫!」
そして直ぐに門兵は扉を開けますとアレク王が
「ここにいるのはお前達二人だけか?他のものはどうした?」
僕はイレイに聞くといつもなら5、6人の門兵がいるそうなんです。しかし今は二人だけしかいません。何かあったのか!とアレク王が門兵に聞くと
「そ、それは本当なのか!」
血相を変えて僕らの所に来ます。
「光!直ぐに城に向かってくれ」
「何かあったんですか?」
「とにかく城に向かってくれ」
僕とイレイはお互い顔を見合わせると首をかしげます。確かに何かあったらしいのですがまだアレク王は話そうとしません。多分、確信が持てないからだとその時僕は思いました。
そして漸く走ると城に到着するなり直ぐにアレク王は車から降り城の中へ。
「今帰った!マキエはいるか!マキエ!」
と外にいる僕らにまで聞こえるぐらいの声で叫びます。
で、イレイの所にメイドらしき人が3人きました。
「イレイ姫様」
「この騒ぎはなんですの?」
「それは‥‥‥」
とイレイに耳打ちをするメイドにイレイは
「本当なのですか!」と驚くと直ぐにアレク王の後を追うように城の中へと入っていきます。
で、取り残されましたよ僕とチーは。
周りにいる兵やメイド達は僕を怪しい目でみます。
まあ、とりあえずアレム大国から貰った土産を降ろします。
「あなたは誰なんですか?あとこれは何ですか?」と4WD車に指を指します。
「これは車です」
「くるま?」
「あと僕は乙川 光です」
「オトカワヒカリ?」
「ハイ」
「で、姫様とはどういった関係で‥‥‥」
そこえイレイが
「光!急いで中へ!」
僕が城に入ろうとすると
「姫様、そのものは」
「この者は私の婚約者です」
イレイの言葉にみんな立ち止まって驚いてますよ。そりゃあ驚きますよね。帰ってくるなり婚約者を連れて帰ってくるんですから。
で、僕はイレイに聞きます。
「いったい何があったの?」
「エレムが‥‥‥私の妹がもどらないんです」
「妹がもどらない?」
「ハイ」
「うん?妹お!」
僕はその場で叫び、驚きましたですよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます