第19話 御者がいない!
教会を出た僕らは4WD車に戻ると、僕はタイル王に聞いた。
「何故あそこ(教会)がタイル王とイメイラ妃の秘密の場所なんですか?あと何故僕をあの場所に?」
そうなんです。何故あの朽ち果てそうな教会が‥‥‥。
まあ、だいたい 予想がつきますがね。
「あそこはタイル王とイメイラ妃が二人だけで最初にあ、あ、あ、愛を‥‥ち、誓い合った場所(このセリフ恥ずかしい)で、僕とメイルに同じ場所で誓い合って欲しい‥‥‥と」
僕が言うとタイル王が
「おおおお、光!さすがだ!わしの気持ちがわかるとは!」
と、僕の背中をバンバン叩くタイル王。
いや、背中を叩くのは構いませんがタイル王。けど‥‥‥た、た、た、叩きすぎ 、叩きすぎですタイル王!
まあ、まあこれがお約束なら、と、僕が呟くと
「お約束?」とメイル。
えっ?なんでもないですよ。メイル。
今は早く帰ってイレイ達とプリム小国にもどらないと。
でもその前にメイルにしてもらいたいことがあったので、
「メイル、アイのオーナー登録をしない?」
「オーナー登録?なんですかそれは光様」
つまりですね、僕に万が一何かがあったらこの4WD車は誰も動かすことができないんです。なにせアイと言う優れたAIナビが備わってますので。アイは登録されたマップデータ内ならアイだけで自動運転できます。
そこでオーナー登録です。オーナー登録には声紋、指紋、網膜認証の三つを登録すれは完了です。
で、僕はタブレットをダッシュボードから出すとフロントモニター下の接続口にケーブルに挿します。そしてメイルの三つの認証を登録しましたよ。けどねその際、指紋、声紋、網膜認証てなに?て聞かれ僕はアタフタしながら約10分掛けて説明しました。慣れた人なら1分足らずで説明できるんですが、すみません、僕、説明するの苦手なんです。
で、で、早速アイに命令をします。まずはエンジンのスタート、ストップです。
「エンジンスタート」とメイルが叫ぶます。
「エンジンヲスタートシマス」のアイの音声でエンジンが掛かります。
「ガルルルルル!!!」
そして今度は「エンジンストップ」のメイルの掛け声で、
「エンジンヲストップサセマス」
するとエンジンが止まりました。
この一連の流れにメイルは目を輝かせていましたよ。なにせ自分の声だけで車が動いたり止まったりするんですから。
けど‥‥‥ですね、タイル王も
「光、わしも登録したい」と言ってきましたよ。で、僕が
「すみません、これは最初からメイルだけって決めてましたから」
そう言うとタイル王は目をうるうるさせてきましたよ。おっさんのその目はやめてくださいタイル王。
で、で、で、しかたないので、
「では、サブオーナー登録しますね」
「サブオーナー登録?」
サブオーナー登録とは車のエンジンが掛かった状態ならアイに命令を出す事ができるんです。
「それでも構わない」とタイル王。
で、だったらイメイラ妃も登録しましたよ。
ですので今アイに命令をだせるのは僕とメイル、タイル王とイメイラ妃だけです。
『帰ったらイレイとアレク王の登録をしないと』
で、で、で、で、早速タイル王がアイにアレムの城までと命令すると
「リョウカイ、アレムノシロニモクテキチヲセッテイシマシタ」
アイが言うと車が走り出しました。(その行動に感動してますよ。この人は)
いちよアイの自動運転時は安全速度(40〜60キロ)で走ります。これを解除するには僕かメイルの命令が必要です。(と言っても馬車よりは遥かに速いですから)
で、教会からアレムの城まて自動運転して10分ぐらい走行した時、
「コウホウカラキュウソクニチカズクモノガアリマス」
とアイが警告をだした。
「急速に近づく物?何かわかる?」
「マダコノキョリデハワカリマセン」
「アイ、後方の状態をモニターに」
「リョウカイ」
フロントモニターには後方の状態が映し出された。
「この距離だと‥‥‥アイ、最大ズーム」
「リョウカイ」
するとタイル王とイメイラ妃が身を乗り出して見に来るので
「あ、危ないですよ」
「わしにも見させなさい」
で、仕方なく、
「アイ、後部座席モニターを」
「リョウカイ」
すると天井から10インチのモニターが出てきて、
「光、これは?」
あー、もーおー、以下略、以下略でおねがいします。
ズームされたモニターを見ると確かに砂煙をたてながらこちらに向かってくる物体が。
これがもし物盗りや盗賊ならヤバイかも。
こちらには兵もいなけれは武器もない。
「アイ、自動運転をいつでもオフにできるように」
「リョウカイ」
僕はハンドルを握りいつでも逃げれる体制をしましたよ。
で、アイが
「ヒカリ、コレハバシャデス」
「馬車?なんで馬車があんなスピードで」
そう、確かにこちらは40キロぐらいで走っているがこちらに追いつくという事はそれ以上出ている事になる。
そしてモニターを見ると確かに馬車だった。
しかし様子がおかしく、タイル王が後部座席モニターを見て
「御者がいないではないか!」と。
つまり車で言うところのドライバーがいない状態で馬車が暴走している状態だ。
「アイ、自動運転オフ」
「リョウカイ、ジドウウンテンオフ」
僕は直ぐにブレーキを踏み馬車から距離を取った。そして馬車が4WD車と並走して走った時イメイラ妃が
「あの中にいる人はイグム家の人では!」
「イグム家だと!」タイル王が叫ぶ
イグム家は代々王族にしたがえる貴族で平民からの信頼もあり数少ない善良な貴族。
「光様、なんとかなりませんか」
メイルが僕に問う。
「光」「光様」タイル王とイメイラ妃まで。
あ、あのですね、僕はスーパーマンじゃないんです。こればかりは‥‥‥。
「光!」「光様」
後ろの二人、僕は‥‥‥
「光様、なんとかなりませんか」
メイル‥‥‥その、その顔はやめて。その、頼りにしてます、的な顔は‥‥‥。
「はあ〜っ、わ、わかりました。わかりましたよおおお(少し泣)」
で、イグム家救出が行われるのでありました。(全部僕がする事になるんですよね、ね、ねええええ〜つ!)
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