第172話 超空間ハイウェイ
デューク達は超空間へのダイブして、エーテルの道筋をたどりながら進んでいました。
「第三艦隊への緊急移動かぁ。突然の命令変更だったけど……何かあったのかな?」
補給を終えたデューク達は、共生宇宙軍軍令部の命令により、目的地を大きく変更しています。
「私達の補給が終わる前に、先に飛び立ったフネがいたわね。彼らも同じ命令を受けていたみたいだわ」
ナワリンは補給所でご飯や推進剤をもぐもぐごくごくとしていた時に、共生宇宙軍の別のフネ達が慌てて飛び立っていた光景を思い出しました。
「フリゲートとか駆逐艦とかだね~~僕より足が早いフネだよ~~」
補給所から先に飛び立ったのは、軽艦艇――カラダは小さいものの、速度に優れた艦艇達です。デューク達は満腹になるまでご飯を食べていたので、彼らに遅れて補給所を出発していました。
「まぁ遅れたと言っても、この航路にあるものを使えば目的地まで余裕を持って到着できるから、問題ないけれどね……えっと、こっちの方だよなぁ」
「補給所で貰った航路図だとそうなってるわね」
「あ~~! あそこに見えるのがそうじゃない~~?」
デューク達が重力スラスタを更かして、曲がりくねったエーテルの流れをたどって小一時間ほどもすると、空間が歪んでいるような場所にたどり着きました。
「超空間が歪んで……穴みたいに成っているね」
「この中に入るのかしら」
「行ってみよぉ~~!」
デューク達が空間の歪み――大きな穴ぼこのような所に入ります。すると――
「物凄く大きなエーテルの流れがあるぞ!」
――目の前にひときわ大きなエーテル流が見えてきました。彼らが目にしたエーテル流は、これまでのものとは比較に成らないほど太いものでした。
「でも、エーテルの揺らめきがまったくないじゃない。なにか変だわ」
「分光計のデータはエーテルだって言ってるけれど……なんだこれ……固体のエーテルなのかな?」
大きなエーテル流に近寄ると、これまでのエーテルとは違って、液体と言うより固体に見えるのです。
「よく見ると、なにかが折り重なっているみたいだわ」
「板に見えるよ~~」
視覚素子の感度を上げると、巨大なエーテル流は、先の見えない板状のエーテルが何枚も折り重なってできているのがわかります。
「なんだか人工物のように見えるねぇ。これって人工的なエーテル流なのかな?」
「そうかもしれないわね」
デュークらはそのように話しながら、いつもどおりソロソロと重力スラスタを更かしながら、エーテル流に近づきました。
「おやぁ? いつもなら引き込まれる感触があるのに、それがまったくないね」
「むしろ近寄るほど安定するわ……カラダがエーテル流に浮かんでいる感じ。これならスラスタの出力を全部前進に回せるわね」
「それにエーテルがカラダを後押しをするみたいだ~~!」
いつものエーテル流とは違って、それに近づくと、カラダを安定させ前に進ませようとする謎の力を感じるのです。
「全く抵抗がないなぁ……おお、凄いぞ――――どんどん速度が上がる!」
「だからこれは”超空間ハイウェイ”って呼ばれているんだね~~!」
「超空間航路は上代人の遺跡だって話があったけれど、ほんとかもしれないわね」
デューク達が見つけたのは、超空間ハイウェイ――超空間を流れるエーテル流の中でも航行に適した特殊なものです。それは、フネが高速移動する為に進むことを前提とした自然のものとは思えないものでした。
「感覚的には10倍以上の速度を感じるなぁ……このハイウエェイを使えば、第三艦隊まではひとっ飛びだね」
「あら? 前方に別のエーテル流が見えるわ」
「空間が歪んでいるよぉ~~?」
デュークらがスルスルと航路を進んでいると、全く別の方角から一筋のエーテルが、ハイウェイに流れ込むのがわかります。
「別の航路が合流しているんだな」
「こちらが本流で、あちらが支流って感じね」
「あ、識別符号を受信した~~共生宇宙軍の艦艇が乗ってるよ~~!」
エーテルの支流には、共生宇宙軍の艦艇が乗っていました。
「あ、あそこにも居るわね……航路が合流するたびに、増えてゆくわ」
「龍骨の民もたくさんいるよぉ~~みんな同じ方向に向かってるよ~~」
「あれは第四艦隊所属だなぁ。第一艦隊所属のシグナルも聞こえるぞ。呼び出しを食らったのは僕たちだけじゃないんだなぁ」
先に進むと、フネの数がさらに多くなってきます。
「すっごいたくさんのフネが集まってる~~!」
「あらら、航路が渋滞しはじめたわ」
超空間航路は、駆逐艦、巡洋艦、戦艦などの宇宙軍艦艇で溢れ始め、航路は大変なことになり始めます。
「航路情報~~~~うわぁ、出口は大渋滞みたい~~! 管制官が統制を始めているよぉ~~!」
「あらら、出口は順番待ちね。相当な数の艦艇が集まっているんだわ」
「宇宙軍所属の軍艦がこれだけ集結しているってことは…………」
超空間航路に溢れる軍艦を眺めたデュークは、なにか大きな出来事が起きつつあるのを感じたのです。
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