シーオウル
(エリア5078・湾)
沖合から見るエリア5078には、白く切り立った崖が長々と続く海岸線が左右に広がり、ちょっと見には上陸地点を探すことさえ難しそうな気配を漂わせていた。
設定コースをかなり沖合側にとっていたこともあり、いざ海岸線が見えてから上陸地点に近ずくまではかなり時間があったので、エミリンはその間、ゆっくりと白い海岸線を観察していた。
一年前なら、あの白亜の断崖をすれすれに飛ぶ海鳥たちや、崖の上に鬱蒼と茂る森林に潜む動物たちを思い描いて、浮き足立っていたことだろう。
もちろんいまでもそういうものを見たい気持ちは山ほどあるのだが、同時に、エミリンの目は合流するはずの第九十七支局の船を探すとともに、万が一にも陸からの攻撃を受けるとしたら、どの地点からだろうかということを考えていた。
若いということは、飲み込みが早いということでもある。
奥深い湾と小高い岬、そして内陸に向かって広がる森林のコントラストが静かな佇まいを見せるエリア5114を離れてセルに向かう帰路で、スレイプニルはかすかなビーコンを受信した。
もちろん、遠距離間での電磁波通信が実質的には不可能というか禁止されていることは資源探査局といえど変わりはないので、一度外に出た探査船は、ホームや他の支局と連絡を取り合うことはない。
ただし、セル内のコミュニケーションシステムや探査船と上陸チームの間で使っている程度の、弱い出力のものは別だ。
遠征している支局の船が、仮に近隣にいるかもしれない他支局の船と連絡を取りたい場合、微弱な電波によるビーコンを発信する。
通信内容そのものを送るのではなく、「連絡したいことがある」という信号だけなら弱い電波でもそれなりの距離に届けられるから、誰かにキャッチして貰える可能性は高まる。
もちろん、それは『可能性が高まる』という話であって、誰かと確実に連絡が取り合えるというシステムではないから、ダメなときも多い。
もしキャッチして接触して貰えれば、その後の自分たちの行動に選択肢が広がるという程度の位置づけだ。
スレイプニルがキャッチしたのはそういうビーコンで、発信者は第九十七支局。
ジャンヌにとっては『昔からの友人』という心理的関係の支局チームで、発信地が、いま目の前にあるエリア5078の湾内だった。
ジャンヌはエリア5078に近づいてから通信回路を開き、第九十七支局に連絡を試みた。そして、一度、合流することに決めたのだった。
「メイルを発見して交戦したけれど、結局ロストしちゃったみたいよ。探索範囲を拡げたいからウチにも応援して欲しいって。行ってドローンを飛ばしてあげましょう。九十七支局の船は小さいし、ドローンやレイバーの搭載数も少ないはずよ。必要ならウチのマシンで上陸調査も手伝った方がいいかもしれないわ」
第九十七支局の船は、スレイプニルのようなヴァルハラ級クルーザーと較べると小さめの「エテルナ級」と呼ばれている沿岸探査船で、低コストで動かしやすいから配備数は多い。
その代わり搭載しているドローンやレイバーマシン類もスレイプニルの装備を基準に考えると、まるまる一世代は旧式と言える。
ヴァルハラ級は単艦で遠隔地に乗り込んで探査を行う、『ロングレンジボウラー』と呼ばれる特殊な種類の探査船だから、その気になれば何ヶ月でも港に戻らず行動できるが、エテルナ級の船単独では普通そこまで遠くに進出しない。
エミリン達がいたエリア5114よりは遙かにセル密集エリア側に近いとはいえ、むしろエリア5078まで進出してきていることの方が驚きだった。
地質的に、よほど有望な資源の存在でも推測したのだろうか?
航法コンピュータのディスプレイには、この位置からはちょうど影になっている湾内に停泊中の第九十七支局所属のエテルナ級探査船「シーオウル」の位置が間違いなく表示されている。
特に海流によって浮遊物が集まってくるポイントや、岩礁地帯などの危険なゾーンを通過する必要もなさそうだ。
なにより、海上にメイルはいない。
それでもエミリンは念のために沿岸から少し離れて航行する航路を選び、沖合いからエリア5078へ垂直に侵入するようなコース取りを設定した。
これまで、単に沖合を航行中の船に向かって突然メイルが攻撃を仕掛けてきた事例は、ただの一つとして報告されていない。
それでも、エミリンはその「もしも」のことを考えずにはいられなかった。
怖いからではない。不思議だったからだ。
上陸して調査を行っていた局員が、なんらかの理由でメイルの接近を探知できずに突然遭遇し、悲しい結末を迎えた事例も割合からいうと決して少なくはないし、搭載したドローンを使ってメイルと交戦中の船が陸地に近づきすぎていて、船ごとメイルからの攻撃を受けたというケースも存在する。
スレイプニルのような探査船が、強力な武装を搭載している理由はそういうことだ。
だが、単に沖合を通過する船を攻撃してきたメイルは知られている限り一つもない。
むしろエミリンにはそれが不思議だった。
陸に上がった人間には積極的に攻撃を仕掛けてくるのに、なぜ船には積極的に攻撃してこないのか?
しかも船への攻撃事例がゼロでもない以上、なにか海上への攻撃をまったくできない理由があるわけでもなさそうだし、あの手記を発見したニューダーカーで向かってきたメイルのように、まっすぐ船に向かってきたものもいる。
むしろ、人間を敵だと認識しているのなら、片っ端から船に向かって攻撃してきても良さそうなものだが、そうでもないというのも一つの謎だ。
そんなことを考えていると、ジャンヌが操舵室に入ってきた。
「エミリン、シーオウルの位置は分かっているでしょう?」
「うん、湾の入り口が狭くてここから目視では見えないけど、向こうは動いていないから大丈夫。仮に接舷するとして...ETA(到着予定時刻)はたぶん1420ぐらいかな」
「装備を移すわけじゃないからシーオウルに接舷する必要はないわ。そんなに広くない湾だからドローンの接触率が高まっても困るし。
湾内に入ったら内陸が見える場所で、一旦九十度回頭してから投錨して頂戴。
進入コースと停泊位置は任せます。もしものためにシーオウルの退避コースは空けておいてね」
「アイマム」
そう答えてエミリンは手動での操舵に戻り、視界に湾の入り口が見えてくるのを待った。
ジャンヌは後ろで作戦テーブルを覗き込んでいる。
おそらく、どういう風に第九十七支局の活動をサポートするか、エリア5078での探査計画を再確認しているのだろうと思った。
作戦はジャンヌが立てる。そしてエミリンはそれを正確に遂行する。
いつも通りの役割分担だ。
ただ、九十度回頭という意味は、陸地に向けて横腹を見せた状態で停泊するということだ。
港に接岸する時ならそれで普通だけど、上陸するためのMAVやATVを艦尾のウェルドックから発進させる際に横波を被る危険があるし、もしも緊急脱出するには船自体も発進しながらまた九十度回頭する必要がある。
ひょっとしたら、ジャンヌは舷側に装備された艦載兵器を動かす可能性を考えているのかもしれないとも思った。
スレイプニルは自衛用にレーザー砲ターレットと飛翔体迎撃用の高速散弾ターレットを左右の舷側にそれぞれ前後二門づつ内蔵している。
陸に船首や艦尾を向けたままだとそれらの射撃範囲が狭いが、横を向けていれば、前後のターレットから一気にクロスファイア(十字砲火)を浴びせることも可能だ。
「でも、まさかね?」 と、エミリンは自分でその考えを否定する。
エミリンも実際にそれらを撃ったことがあるのは、ダーゥインシティで受けた実弾射撃研修の時だけだ。
トレーニング船で沖合に出て実射したのだけど、そのときの感想は『うわー...』っていうのがすべて。照準や操作は覚えたものの、以降、スレイプニル上でそれを使う羽目になったことはまだ一度もない。
ワイルドネーションの陸地に接近するときには、自衛システムとそれらのスイッチをオンにするけれど、一度も動かすことなく、出るときにはまたオフに戻す。
いままではその繰り返しだったし、そもそも敵のいない洋上ではシステムをオンにすらしない。
十分ほど走ると、湾の奥にいるシーオウルが肉眼でも見えてきた。
船尾を陸地に向けて停泊している。
エミリンは進路を変えずに真っ直ぐ近づき、湾の入り口が近づいてきたところで少し舵を修正してからスロットルを戻した。
スレイプニルは、そのまま惰性で湾内に滑り込んで行く。
当て舵を効かせているままだから、その航跡は緩やかなカーブを描いて湾の入り口に近づいていった。
やがて、ゴツゴツした岩場が見えてきたところで、エミリンは船にブレーキをかけた。
「機関反転、速度落とします...進路誤差修正範囲内、減速率想定内。停泊予定位置まで約600ヤード」
エミリンは航法コンピュータがディスプレイに映し出すマップで、大まかな停泊位置に目星をつけてはいたが、最終的には目視による確認で位置を決めた。
シーオウルに近づきすぎず、陸地ができるだけ見通せて、仮にシーオウルがいまの位置から全速で離脱したとしても邪魔にならなそうな位置。
アクティブソナーが伝えてくる湾の水深は全体に深い。
「目標位置近づく...フル制動開始...」
全力で逆回転しはじめた推力装置の生み出す応力に、スレイプニルが巨体を震わせながらも急速にスピードを落としていく。
「間もなく停止します...五.四.三.二.一.停船。現在、速度ゼロ。
両舷サイドスラスター始動、ゼロ位置でカウンタークロックワイズ、九十度回頭します」
艦首と艦尾に埋め込まれているスラスターが真横に向けた推力を生み出し、スレイプニルが向きを変える。
艦首のバウスラスターと艦尾のスターンスラスターを逆方向に作動させれば、その場で船をくるりとスピンターンさせることが可能だ。
あらゆる微調整やバランス取りは船の航法コンピュータが自動的にやってくれるから、エミリンは自分がどこでどうしたいかを船に指示するだけでいい。
「スラスター作動、回頭中」
スレイプニルがゆっくりと船首を振っていく。
やがて船が進入してきた方向からぴたりと真横を向き、陸地に向けて右舷を向けた状態になった。
「回頭完了、右舷アンカー投入。スラスター、左舷へ平行微速」
右舷のアンカーが投入され、鎖がジャラジャラと音を立てて水中になだれ込んでいく。
エミリンはそのまま右舷のスラスターを弱く作動させ、船を真横にずらしていった。
「左舷アンカー投入。スラスター、右舷へ平行微速」
ある程度の距離を横に進んだら左舷のアンカーを投入し、今度はそこから逆方向に船を滑らせる。
そうすると当然、最初に下ろした方のアンカーチェーンは弛むから、適切に巻き上げ直す必要がある。
「右舷アンカー巻き上げ、両舷アンカー張力調整....」
これで船体は、左右の少し離れた位置に落としたアンカーからロープで引っ張られているような双錨停泊という状態になり、波に揺られて停泊位置がずれることを少し防止できる。
「センターバランス中...ラダー中央で停止位置固定。サイドスラスター停止」
スラスターの作動が止まり、激しく泡立っていた海面がいきなり静かになる。
さきほどまでの機動でまだ揺れてはいるが、ここで船の動きは完全に停止した。
「スレイプニル停泊、ムーリングシークエンス完了。動力路システムの接続を解除します」
「オーケー、エミリン。ご苦労様」
船は港に停泊する時、普通は必ず左舷(ポート)側を接岸する。
だが、今回エミリンが右舷(スターボード)を陸に向けたのは、先に陣取っていたシーオウルが湾の左端にいるからだ。
援護するにも離脱するにも、この向きの方が具合がいい。
実際は自律航行システムを作動させていれば、たとえ操舵室を無人で放置していたところで、スレイプニルは決して岩場に乗り上げたりはしないし、通信リンクがジャミングされていなければ、陸地からリモートで指示を出すだけで無人のスレイプニルを沖合に退避させたり、近くに呼び戻して迎えのボートを出させることだって自由自在だ。
それでも、この1年で、ジャンヌはスレイプニルの操作のほとんどをエミリンに任せきりにできるようになった。
いまも、ジャンヌは一言も指示を出さずに見守っていただけだが、エミリンは自分の判断で双錨停泊を行い、九十度回頭して停泊という指示から推測される、適切な位置にピタリと泊めて見せた。
「いろいろと良い判断よ、エミリン」
そう誉めると、エミリンは素直にパッと顔を輝かせ、嬉しそうに「アイマム!」 と答える。
この素直さがエミリンの持ち味で、ずっとこのままでいてくれたらいい、とジャンヌは思う。
さて....これまでの状況は第九十七支局のシーオウルから報告を受けている。
問題はメイルだ。
ジャンヌはテーブル型のディスプレイに映し出している戦術マップを眺める。
そのマップにはシーオウルから発進したドローンが最初にメイルを発見した位置と、最後にロストした位置が示されている。
メイルは定石通りにドローンを攻撃してきたのだが、折からの急激な天候悪化もあってドローンからの反撃が上手くいかなかったようだ。
誘導弾を放ったドローン自体も同時に撃墜されてしまったらしい。
それにメイルは丈夫なマシンであり、急所に誘導弾の直撃でも当てないと一撃で倒すのは難しい。
一般に知られているところでは一体のメイルの行動半径はそんなに広くないので、シーオウルが散々探した上で見つけられないというのは、かなり不思議なことだった。
あのメイルは、本来はもっと奥地にいたものが、なんらかの理由でたまたま沿岸部に出てきたときにシーオウルと遭遇したのか、それとも、実はシーオウルの攻撃で損傷を負っていて自ら撤退したのか...
メイルの行動パターンからいうと、前者の理由も思いつかないが、後者はもっとありえなさそうなことだ。
とは言え、シーオウルの最初の交戦から数えると、スレイプニルがエリア5078に到着するまでに約十日かかっているので、すでにメイルが移動してしまった可能性は否定できない。
普通は、一箇所に同時に複数のメイルがいることはない。
おそらくメイルにはテリトリー的なものがあり、時々発見される、破壊されたメイルの残骸は、そういう『縄張り争い』の結果なのではないかと推測されている。
最初ジャンヌはシーオウルからドローンの作動記録をもらって原因を解析しようかと思っていたのだが、やめた。
ひょっとしたら、そういう行いはシーオウルのコマンダーの判断ミスやオペレーターの操作ミスをあぶり出してしまう可能性もあると思ったからだ。
ドローンを何機か失い、メイルをロストした時点でシーオウルが近隣支局に援助を求めてきたということは、シーオウルのコマンダーも、自分たちの現況についてはちゃんと理解しているということだ。
それに、ヴァルハラ級に比べれば圧倒的に装備の貧弱なエテルナ級の船で、こんな遠くまで来て頑張っているのだから、そこは評価したい。
ジャンヌは、自分も勝手放題にしている代わりに、他人の判断や意思もとても尊重している。
人の失敗を明るみに出して、いわばジャンヌにとってはチームメイトとも言える他支局のメンバーの気持ちを傷つける可能性を考えたら、メイルを見つけ出すことくらい、こっちが力技で頑張ればいいことだと思った。
「エミリン、ここの探査を始めましょう。一緒に探査プランを確認したいからこっちに来て」
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(エリア5078・上陸地点)
異変が起きたのは四日目の午後だった。
スレイプニルの到着から三日経ってもメイルを見つけられず、もうあきらめムードが漂い始めていた。
メイルと交戦してから約二週間たって、なんの兆候もないとなれば、第九十七支局のメンバーたちも早く陸地の調査に取り掛かりたいのが本音だったろう。
古いエテルナ級でこんな遠くまで来ていれば、いろいろと余裕がなくても当然ではある。
いまはシーオウルのキャプテン兼コマンダーを務めるヘレナ自身も上陸しているようだ。
昨夜の食事会で聞いた話では、かなり昔の探査記録でこの辺りの地磁気異常がひときわ強かったので、なにか有望な鉱脈があるのではないかと思ったのだそうだ。
これだけの長期間、隅々まで探してもいないとなれば、理由こそわからないものの、この地域からメイルはいなくなったと考える方が妥当だ。
レイバーマシンはすでに上陸させてあるので差し迫った危険はないと判断し、十分に用心しながらも、ヘレナたち自身も上陸して調査を開始してみることにしたそうだ。
念には念を入れて、スレイプニルのドローンは航続距離ギリギリまで探査範囲を広げているし、仮にこの距離でメイルの接近を探知したのなら、MAVどころか徒歩と平泳ぎでシーオウルまで戻っても余裕で逃げ切れるだろう。
本来の予定でも、今日あたりには第九十七支局の他の船、「シーワブラー」と「シージェイ」も合流してくる予定だ。
この三隻でお互いをバックアップし合いながら、尺取り虫方式で探査エリアを広げてくるのが、ここまでのヘレナの作戦だった。
これでドローンの保有数にも余裕が出るし、上陸したスタッフにとっても安全な哨戒活動ができるだろう。
そこで、ジャンヌはヘレナと相談した上で、今日いっぱいで第一〇七支局は撤収することにした。
昨夜は、シーオウルの乗組員であるヘレナたち一行をスレイプニルに招いて、ご馳走をふるまった。
スレイプニルのギャレー設備は豪勢なので、ジャンヌが本気で腕をふるうと、ダーゥインシティのレストラン並みの料理をテーブルに並べることができる。
エミリンもお茶くらいなら上手に入れることができる。
ヘレナたちも、メイル探索のことはちょっと忘れて大いに楽しんでくれたらしい。
夜遅くまで賑やかな笑い声と嬌声が船内に響いた。
エミリンにとってもジャンヌ以外の人とおしゃべりするのはずいぶん久しぶりだったので、かなりはしゃいでしまった気がする。
午前中は一応ドローンを探索に出していたエミリンは、警戒中のドローン群にスレイプニルへの帰還を指示し、撤収の準備にかかった。
それにスレイプニル搭載のレイバーマシンも上陸させてあるので、それらも回収しないといけない。
MAVを出して乗って帰ってこさせればいいだけだが、今日はMAVを自律動作で走らせずに、ヘレナへの挨拶がてらにジャンヌが自分で操縦してマシンを拾いに行っている。
ともかく、ドローンやマシンたちが戻ってきたら、外洋に出て揺れる前にチェックを済ませておきたいし、一昨日の雨で地面もぬかるんでいるだろうから、MAVやレイバーマシンは泥だらけで戻って来るはずだ。
エミリンはマシンの洗浄を考えるとちょっと憂鬱になった。
農場の野菜の収穫と同じで、程度問題ではあるけれど、マシンの行う作業には往々にして見落としがある。
どんなに綺麗に洗わせておいても、あとで隅の方を覗き込むと必ずこびりついた泥の塊や絡みついた海藻の束を発見したりするものだ。
もちろん実用上は『気にしなければ済む』ことで、各マシンはちゃんと役目を果たしてはいるのだが、そういうことが気になるエミリンとしては、どうにも放置しておけない。
そんなことをつらつらとエミリンが考えていると、操舵室の戦術ディスプレイに、アンノウンを検知したことを示すアラートが表示された。
「アンノウン探知・四時の方向・距離1.2マイル・電磁ノイズ・移動体の検知・熱反応」
どれもごくわずかで検出誤差ギリギリだ。
アラートの表示サイズ自体も控えめで、いまのところ戦術コンピュータは、これを特に危険物に分類していないことがわかる。
周辺は上陸作業の中心にあたる地点なので海岸から非常に近い。
スレイプニルのドローンは主に外縁の探査を受け持っていたので、このあたりをスキャンするのは初めてだ。
当然の判断として海岸付近はシーオウルのドローンが舐めるように探査していたし、そこを上塗りするようにこっちが探したりするのは失礼だと思って、ジャンヌは上陸地点の近隣を探査コースから外していた。
いまのスキャンは、エミリンがドローンに帰還指示を出したタイミングで、たまたまドローンがいた位置からスレイプニルまでの直線コース上を通り抜けた結果にすぎない。
エミリンは、ディスプレイに表示された警告を一瞥すると、特に脅威ではないことを確認した上でジャンヌに報告した。
「ジャンヌ、内陸部1,300ヤード付近にわずかなアンノウンの反応があるわ。電磁ノイズ、移動体の検知、熱反応、どれも微弱だけど、一応反復スキャンしてみる?」
「金属集積反応はあるの?」
「この辺りは地磁気異常が激しすぎるからなんとも言えない感じ。土壌自体の金属含有量も異常に高いし、地下に都市遺跡時代の工場跡でもあるんじゃないかしら?」
「あっても不思議じゃない地形ではあるわね...まぁいいわ、一応ドローンを戻して反復スキャンしてちょうだい。
座標はいまMAVのディスプレイでも確認したけど、近くにヘレナたちがいるし、もし何か在るようだったら私が直接見に行ってみてもいいわ。
ま、この戦術コンピュータからのデータを見る限りは気にすることもなさそうだけど」
「アイマム、すぐに再スキャンするわ」
エミリンはそう言って、すでにスレイプニルの直上まできていたドローン群の着艦シークエンスを直前でキャンセルし、いま通り過ぎた場所へ向かわせた。
第二編成のBチームも飛ばしてあるから、Aチームは収容して、そちらに見に行かせてもいいのだが、彼らはいま外縁部からの帰還中だ。
十五分も待つのは気が向かないし、その時間があれば上陸したレイバーマシンかジャンヌ自身が歩いてでも見にいける距離だ。
着艦のキャンセルがギリギリで間に合ったのはラッキーだった。
ドローンの制御を手動に切り替えて、さっきの場所へ戻す。
近づかせても特に反応は出ない。
ゼロ。
周囲には第九十七支局のメンバーとマシンの出すビーコンが複数。
何かのエラーで付近のレイバーマシンを誤検知したんだろうか?
滅多になさそうなことだが、ありえないとも言えない。
アンノウンを検知した場所の真上を通り過ぎて、大きくUターン。
もう一回通過させて反応がなければ船に帰そうと考えた瞬間、CICに警告音が鳴り響き、同時に戦術ディスプレイには大きく警告が表示された。
エミリンは真っ青になった。
今度は戦術コンピュータは対象をアンノウンじゃなくてエネミー(敵)だと判定している!
すなわちメイル。
ジャンヌが危険だ。
「戻ってジャンヌ! あれはメイルよ!」 エミリンが叫んだ。
「待ってエミリン、どういうこと?」
ジャンヌもそう言いつつ、MAVのディスプレイで戦術コンピュータからの情報を確認する。確かにメイルだ。
「わからないけど、どうにかして隠れてたのよ! 危険よ、戻ってジャンヌ!」
「だめよ、あのあたりにはヘレナたちがいるのよ! なんとかしなきゃ!」
シーオウルはMAVを装備していないから、ヘレナたちは小型の上陸用舟艇で陸に上がっている。
レイバーマシンを積むスペースを優先してATVを積まなかったのだろう、海岸からは数人が徒歩で移動しているようだ。
「ドローンでやる!」
エミリンは答えながらドローンを攻撃モードに移行させた。
「スレイプニル! RHIBを出す準備をして!」
同時に迎えのボートもスレイプニルに準備させ始めておく。
「RHIB出艇準備開始・ラウンチ可能時刻は十二分後の予定」
スレイプニルが淡々と告げる。
いますぐにヘレナたちが海岸に向かったとして、十二分は微妙な数字だ。
一瞬、スレイプニル自身を揚陸させてMAVを回収することも考えたが、双錨停泊中のスレイプニルをいまから動かし始めて間に合うはずがないし、艦砲射撃の可能性を考えたら、下手に船体を動かさない方がいい。
ドローンの誘導弾とレーザーガンの安全装置を解除し、シーカーをオープンしようとしたときに気付いた。
ジャンヌがMAVをそちらに全力で向かわせている。
ヘレナたちを助けるつもりだ。
いま迂闊にシーカーをアクティベートしたら、最悪は誘導弾をMAVに向かって飛ばしかねない。
味方識別装置のビーコンがあっても、激しく機動する戦闘の最中には何が起こっても不思議じゃないのだ。
エミリンはとにかくエネミーと示された対象にドローンを近づけてレーザーを向けた。
ドローンが送ってくるカメラの映像には、確かにメイルらしきものが動いている。
らしき、というのは輪郭がはっきりしないからだ。
その時分かった。
メイルは涸れた運河のような窪地の非常に深い溝の中でボディ全体に分厚い泥の山を被っていた。
汚れとか言うレベルじゃなく、本当に泥の山が動いているかのような状態だ。
シーオウルのドローンが、このメイルをロストしていた理由はこれだった。
窪地の溝に収まってじっと動かないメイルと、積み重なった泥の山。
考えてみれば、戦闘後に敵を見失うということ自体が異常なのに、それをシーオウルのクルー達はドローンを失った後の空隙の時間に、メイルがどこかへ逃げたのだと思い込んでいたのだ。
このメイルが意図的にこういう状態を作って待ち伏せていたのか、それともシーオウルのドローンが撃った誘導弾がぬかるみの泥を跳ね上げてこのメイルを埋めてしまっていたのかはわからないが、これまでの探索で見つけられなかった理由はこれしかない。
おそらく、旧式なシーオウルのドローンではなくて、はるかにスキャン能力の高いスレイプニルのドローンをこの辺りに飛ばしていれば、もっと早く発見できていたのだろう。
エミリンがレーザーを撃つが、湿った泥に当たって有効打にならない。
まるで泥の鎧だ。
動いたことで頭や足が泥から出て見えているが、頭にもまだたくさん泥をかぶっている。
ただ、そのせいでメイルのスキャン能力が落ちているのか、向こうのレーザー射撃もひどい精度なのが救いだ。
背中の砲弾のハッチを開かないのも、泥にふさがれているせいかもしれない。
だがドローンのエネルギーが残り少ない。
航続距離最大値での哨戒を終わって着艦する寸前だったのだ。
すぐにBチームを最大戦速で戻しているが、それでも到着まであと十分はかかるし、仮にCチームを飛行準備に入らせても、いまから誘導弾を装着していて起動が間に合うはずもない。
なにしろ撤収寸前だったのだから。
やっぱり、このまま第一編成でやるしかない。
そう決めてエミリンはMAVの状況を確認した。
戦術ディスプレイにはジャンヌのMAVの位置が映っている。
すでにヘレナたちには警告が届いて逃げ始めているが、徒歩ではたいした距離を稼げていない。
このままジャンヌが彼女たちと出会える位置までMAVで突っ込んでいったら、メイルがほんの少し移動しただけでも標的にされるだろう。
「アルファ、シーカーオープン!」
エミリンは覚悟を決めて誘導弾のシーカーをオープンした。
だが、メイルにロックしない。
きっと頭部のレーザーポートの外縁にも濡れた泥がこびりついていて、熱を散らしているのだ。
まずい、ジャンヌのMAVが近づいている。
地形の見通しもよすぎる。
このままメイルが溝から上がったら、ヘレナたちと一緒にMAVも間違いなくメイルの餌食だ。
戦術を練っている時間は無かった。
「いっけぇーっ!」
エミリンは思わず叫ぶと、シーカーがロックするのを待つことなく、誘導弾の安全装置を解除したまま、ドローンの一番機をメイルに向かってダイブさせた。
誘導弾をドローンごと爆弾のようにメイルに落とす作戦だ。
メイルがレーザーを放つ。
直前まで近寄っていたドローンがボディの縁をレーザーに焼かれ、ぐらりと安定を崩した。
斜めに滑るように落ちてメイルのすぐ脇に着弾する。
大きな爆発が起きるが、結果を見なくてもメイルを仕留められていないことは分かっている。
だが時間稼ぎにはなった。
ジャンヌのMAVがヘレナの目前で草地から飛び出てきた。
その場で横転しそうな勢いでMAVをターンさせ、ヘレナたちに叫ぶ。
「乗って! ヘレナ!」
ヘレナたちが慌ててMAVに走り寄ってくるが、すでにメイルも土手を上り始めている。
もうドローンのエネルギーも僅かだ。
数分以内に決着をつけなかったら、放っておいてもドローンは落ちる。
「ブラボー、シーカーオープン。もう一回っ!」
エミリンが叫んで二番機をダイブさせる。
メイルが土手を上がる動きを止めて、今度は冷静に迎撃してくる。
エミリンはドローンを揺さぶってかわすが、あと少しで衝突コースに乗せられるというところで撃墜されてしまった。
ヘレナたちがMAVに乗り込み終わったようだ。
MAVが移動し始めたのがわかる。
同時にジャンヌが叫んだ。
「エミリン、やって!」
エミリンは二機目を撃墜されたところで、とっさに作戦を変えていた。
三番機と四番機で直近からレーザーを浴びせてメイルの移動を牽制しながら、すばやく五番機と六番機を大きくターンさせて、逃げるMAVの頭上を逆側から通過させる。
万が一攻撃に失敗してもMAVに向かう流れ弾の危険性をなくすためには、MAVを横目に見る位置で攻撃するのがベストだ。
メイルが土手の上に体を持ち上げた。
まだMAVはメイルの射程から逃げ出ていない。
誘導弾のシーカーがロックするのを待っている暇はなかった。
地面にぶつかりそうなほど低く飛ばした二機のドローンを真っ直ぐメイルに向けて突っ込ませる。
土手を上がりきったメイルが水平に自分に向かってくるドローンに気がついたようだ。
ドローンを迎撃しようと頭をふり向けたメイルの直前で、エミリンは五番機を急上昇させる。
メイルはさっきまでの戦闘でドローンが真上から体当たりしてくることを予期したのか、その動きに合わせて頭を上に向け、五番機を迎撃するためにレーザーを激しく放った。
五番機が空中で火花を散らして爆発する。
だがそれと同時に、五番機の真後ろをピッタリとトレースするように飛んでいた六番機が、そのまま水平にメイルに突っ込んでいった。
五番機に気を取られて真上に頭を向けてしまったメイルはとっさに迎撃ができない。
誘導弾を抱えたドローンがメイルの頭部に激しくレーザーを照射しながら水平に突っ込んでいく。
エミリンの目には、ドローンのカメラが送ってくる映像が、スローモーションのようにメイルの頭部に迫っていくのが見える。
まるで自分自身がメイルに突っ込んでいっているかのような感覚だ。
画面いっぱいにメイルの頭が映り、次の瞬間には映像が消えてノイズに覆われた。
戦術ディスプレイには爆発の状況が映っている。
MAVも無事だ。
もう少しで海岸にたどり着く。
「スレイプニル! ターレット展開、制圧射撃準備!」
「防御システムターレット展開・制圧射撃準備開始・レーザー砲作動正常・高速散弾砲作動正常・戦術情報の敵位置を仮目標に設定・射撃命令待機」
スレイプニルが静かに命令を復唱し、格納してある舷側の兵装ターレットを展開した。
右舷の前後に半ば埋め込まれたドームが開き、高出力のレーザーと高速散弾のバレルが陸地に向けられる。
MAVは陸地と違って水上ではたいしたスピードが出せないのだ。
船に逃げ込む前にメイルに海岸まで追いつかれたら危ない。
海岸線ギリギリまで茂った背の高いブッシュに遮られて陸地の奥は見えないが、いざとなったら戦術ディスプレイの情報を頼りに陸地への面制圧掃射を行うしかない。
レーザーを打ちっぱなしだった三番機と四番機もエネルギー切れで墜落したようだ。
すべての目を失ったいまのエミリンには、現場の様子を空から視覚的に確認する手段がない。
いまのところスレイプニルのセンサーはメイルらしきものの動きを検知していないとはいえ、果たしてメイルを仕留められたかどうかが確実ではない。
いずれにしても、Bチームが戻ってくるよりもMAVが海に出る方が早いだろう。
やがて海岸の木々のあいだからジャンヌのMAVが猛スピードで飛び出してきた。
そのまま真っ直ぐに海へ向かい、入水して浮上走行を始める。
スレイプニルに向かって一生懸命に走ってくるのだが、そのスピードのあまりの遅さがもどかしい。
RHIBなら、あの十倍のスピードで走れるのに...エミリンは、祈るような気持ちでMAVの到着を待った。
メイルが出てくる位置によっては、スレイプニルのターレットから海岸に向けて掃射する射線上にMAVが入ってきてしまう可能性もあるが、ジャンヌならメイルの位置を見て咄嗟にコースを変えてくれるだろう。
射撃システムの水平を保つジンバルと戦術コンピュータの支援が有ると言っても、揺れる船から精密射撃をするのは至難の技だ。
ほんの少し予期せぬ波が船体を揺らしただけで、あらぬ方向に弾丸がばら撒かれるかもしれないし、射撃角度がわずか一度でも上下にずれたら、500ヤード先では26フィートの高低差を生む。
スレイプニルの舷側はそれほど高い位置ではないから、大きな波の一揺れで海岸から水面まで舐めるように掃射してしまう危険性もあった。
一秒一秒を祈るような気持ちで見守るエミリンの前に、徐々にMAVが近づいてくる。
と、その時ジャンヌからの通信が入ってきた。
「エミリン、シーオウルのドローンがメイルの破壊を確認したわ!
繰り返します。メイルの破壊を確認、追加の脅威は認められず。ありがとうエミリン!」
「ジャンヌ...よかった...」
エミリンは一気に体の力が抜けてコンソールに突っ伏し、なんとかそれだけしか言うことができなかった。
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(エリア5078・スレイプニル)
「本当によくやったわエミリン。あなたは私の誇りよ」
ジャンヌが何度も何度も褒めてくれた。
「あなた、あのドローンを全部同時に手動で制御してたのね? 信じられない腕前だわ」
そう言ってヘレナも沢山沢山お礼を言ってくれた。
「あたしのエミリンですもの! 探査局一のパイロットよ」
ジャンヌにそこまで言われると、なんだかこそばゆい。
「さすがはオーバーナインズね。脱帽だわ...それにしても、ジャンヌ、本当にありがとう。あなたたちが来てくれなかったら、私たちは間違いなくあそこで死んでいたわ」
ヘレナは、さっきからずっと似たようなことを言って恐縮している。
スレイプニルに上がってきたときのヘレナの表情は、恐怖で本当に強張っていた。
いまはようやく血の気を取り戻して、笑顔も戻ってきたようだ。
「いいのよヘレナ。お互い様なんだから、困ったらいつでも呼んでね。明後日呼び戻されたって怒らないわよ?」
ジャンヌがそう言うと、ヘレナはころころと可愛い声で笑った。
目元が少し光って見えたのは涙だろうか?
「心強いわジャンヌ。私もそちらの探査の成功を祈ってるわ。
あなたたちも、あのレーザー武装した猛獣には十分に気をつけてね。本当にありがとう」
しばらくしてシーオウルが迎えのボートを寄越し、ヘレナたちは自分の船に戻っていった。
今度こそエミリン達は本当に撤収準備だ。
あの泥をかぶったメイルの経緯も気になるけれど、それはヘレナたちがきちんと調査するだろう。
たぶん何らかの偶然だとは思うけど、もしも、意図的に泥をかぶって十日以上も隠れていたとしたら、それは、これまでのメイルにはとても考えられなかった『戦術』だからだ。
ふとエミリンは、それともメイルも人間のように『強い衝撃で気絶する』ことがあるのだろうかと思った。
ジャンヌもエミリンと同じことを考えていたのだろうか?
ヘレナ達を見送っていたジャンヌはエミリンの方を向き直ると、急に真顔に戻って言った。
「ねえエミリン、ダーゥインシティの休暇を先延ばしにするようで悪いけど、またエリア5114TRに戻りたいわ。やっぱりあの場所は気になるの。なにか変なのよ」
「なにかって、なにも見つからなかったことが変なの?」
「パターンよ。考えてみると、メイルかもしれない兆候の出現パターンが妙だったの」
確かに、エリア5114には、メイルの存在を感じさせる兆候、電子的なノイズや、わずかな熱反応、電磁的な空間の揺らぎなどが少しだけあった。
あったからこそドローンを飛ばして調査を続けていたのだが、結局、本当にそれらしいものはなにも見つけることができず、途中で調査を打ち切って移動してしまった。
ジャンヌのいう『パターン』というのがどんなことなのかはわからないが、あのままもう少し探索を続けていたら、何か発見できていた可能性はあったのかもしれない。
とくに、このエリア5078では危うくメイルを見落としてしまうところだったことを考えると、同じことがもう一度あっても不思議ではない。
「アイ、キャプテン。目標海域エリア、ファイブワンワンフォー・タンゴ・ロメオ。経済ルートで航行プランをセットします」
行きと帰りは海流も季節風も逆方向だ。
エミリンは、ジャンヌの指示を復唱して航法コンピュータに帰り道の諸元を入力しはじめたが、ドローンパイロットの時と、スレイプニルのクォーターマスターである時とで、微妙に言葉遣いが違っていることは、本人も無意識だった。
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