同盟
とりあえず、朝まで修行を続けてみた。
名前:??? ????
存在位:下位霊Lv.1(32/72)
能力:存在可能(固定)
吸収(固定)
移動(固定)
思考(固定)
外部接触(固定)
記憶保持(不完全)
存在力隷従(任意)Lv.3(58/106)
称号:自転車のベルに敗北した 能力無しにも容赦しない 操作を極めた男
見ての通り、存在力操作がLv.11を達成した時点で存在力隷従Lv.1に変わった。スキルツリーはあったんだ!隷従に変わった瞬間に、操っていた腕が突如として自分の体の一部のように(もともと一部なのだが)動かせるようになった。それに、複数の存在力の塊を同時に動かせるようにもなった。代償として下位霊としての経験値は下がったようだが、腕を千切りまくっていたので仕方が無いといえば仕方がないだろう。派生技とか増えないだろうかと思っていたら、急に例の球体(昨夜襲いかかってきたやつ)が震えだした。幽霊同士の意思疎通が可能なのかどうかはわからないが、とりあえず話しかけてみる。
「あ~、おはよう。」
ってなんだこの挨拶。凄い馴れ馴れしくて警戒されるに決ま…
「おはようございます」
声は球体から聞こえた。いや、襲いかかってきたくらいだからもっとこう、「あぁ、なんだテメェ」的な返答を予測してたんだが、以外にもその声は若い女性の者だった。いや、女性というより少女の方が近いかもしれない。声は少し高めのよく通る声だが、少し動揺しているのを感じる。
「あの、昨夜私に襲いかかって来たのを覚えていらっしゃいますか?」
つい、こちらも敬語になってしまう。
「はい、その件に関しては大変申し訳ありませんでした。もちろん、謝った程度で許されるような事ではないことは重々承知しています。」
その少女の霊の声からは悪意を感じ取ることはできなかった。霊は続ける。
「もし、一つ言い逃れをさせていただけるのであれば、先日お会いした神様に他の霊をすぐに襲わないと消滅すると言われたので...あまりの恐怖に理性を失っていました。ふと冷静になった頃には、すでに存在力が減りすぎて動けなくなった状態でした。ただ、記憶は残っているので、しでかしてしまった事ははっきり覚えています。これから私はどうすれば良いでしょうか?」
いや、言い逃れを許可した覚えがないんだが。少女の霊は必死に言い訳をしている。
ともかく、まともな霊で良かった。会話が成立せず襲いかかってくるような霊だったら早速新しい能力の実験台になっていただくところだった。
さて、此奴の処遇をどうするかだが、取り敢えず襲いかかられる事は無い、と信じよう。複数人(霊?)で行動する事にメリットがあるのかどうかだが、隙きは単独行動に比べて少なくなると予想される。しかし、良く言われるのが食料の問題...って死んでるから栄養分の摂取が必要ないんだった。他には行動が制限される等があるが、そこは隙きを襲われる事に比べれば大した事は無いだろう。慣れないので丁寧語で話す他無いだろう。
「悪意が無かったのなら、別に良いです。こちらとしても良い経験になりました。それから今後、攻撃は禁止です。貴女が何をするかを制限するつもりはありませんが、単独行動の欠点を補い、この未解明な事が多すぎる状態を唾棄するため、一緒に行動していただけるとこちらとしては都合が良いです。」
慣れない丁寧語だったが間違いは無かったのだろうかと少し心配になった。霊は特に何も責められなかったことに驚いたようで、途中で「え?」という声が聞こえた。
「あの、特に何もお咎めは無しなんですか?」
「神に騙されていた、というのは信用にかけますが、この状態では他者を襲う事が当たり前ですからね。」
「分かりました。何も考えずに一方的に襲った罪滅ぼしとして、行動させてください。良心の呵責はまだ感じていますから。」
霊は決心したような声(伝わりにくかったが)で答える。意外とあっさりついてくるんだなと思いつつ、ここは少し格好をつけて締めてみることにする。
「それでは、只今を持って貴女は私と対等な関係になりました。互いに危害を加えない事をここに誓います。また、利害関係をともにし、共同で行動することとします。お疲れ様でした。」
うお、何か霊と俺の体が輝いた。「誓います」って言うと契約が完了したりするんだろうか。というか、霊が人型になっていく。かなりの和風美少女だと個人的には思う。本当に共同で行動するなんて誓って良かったんだろうか。不安になってきた...。
「え、人型になった...!?男性だったんだ...。」
追い打ちのような台詞が聞こえたんだが。
「あの~、早速なんですがもっと普通に喋っていただけませんか?」
結構このキャラ気に入ってたのに...。さっき誓ってしまったので何があるかわからないから従うが。何話せば良いんだろう...
あ、名前考えれば良いのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます