47 地下室

やあ、と声がした方へ向くと土山恵の父、當次郎がいた。

彼はニューヨークで医者をしていて、今回の規模の捜査に協力要請し参加する事になったとは加賀美は聞いていた。

「どうも。なぜここへ?」

ここは、庁内でも知れていないある地下の一室。

「君に野暮用があってね。パリに密偵していたのは君かい?実はその件、我々も噛んでた案件だったんだ。」

「親父さん、医者だろ?関係ないはずだ」

これを見れば分かるかい、そう言って當次郎は腰についたFBIバッジを見せた。

「あんた、その筋だったのか…。土山は何にも言ってなかったぜ。」

「ああ、娘も今日さっき知ったからね。ま、何年も離れてると秘密っていうもんは増えるのさ。君はよく知ってるだろう?公安の加賀美くん。」

「まさか今回の事件も噛んでるのか。」

「かみはしないが、遅かれ早かれ国際テロ犯罪であることには変わりないからな。日本警察だけじゃ手に負えなくなる。国際警察がこぞってむらがるぞ。しかも今攻撃を受けているのは日本だ。我々FBIと、多国籍グループとなると他の連中もこぞってくるだろうな。その忠告さ。」

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