46 アメリカの医者
庁内に着き、ダンは土山とその父、當次郎とチームのいるフロアに向かった。
廊下でちょうど部下の和田虎之助に会った。
「ダンさん、さっきアメリカの警察からダンさんあてに電話があったそうなんですが、ここら辺りありますか?」
「ああ、それはきっと私だね。」
この方が、土山さんの、と和田が言った。
「今回、日本の警察から正式な捜査協力を求められてはるばる東京へ。その日本のパイプが彼ってわけだ。」
「折り返しかけなおそう。悪いな。」
「パパ、でもなんで警察なの?職場は病院の研究施設でしょ?」
「なんだ、知らないのか。その施設の管轄下がFBIなんだ。FBIの施設長ドクターだよ。」
「パパ、FBIだったの?」
「FBIって言っても、どんぱちするような真似事はしないさ。捜査協力という名目だ。」
「ずっと黙ってたの?ママは知ってるの?」
「仕方ないだろう。敵は少ないに越したことはない。いいな、黙っておくんだぞ。」
まったく、と言って恵はさきをいってしまった。
「まあ、気持ちは分からなくはないが仕方ないな。」
「そうだろう、今回はいいタイミングだった。礼を言うよ。」
「公安配属されました、なんて口が裂けても言えないからなぁ。」
「私はFBIで、木ノ下が潜ったと聞き、君はならCIAにでも行くのかとひやひやしたよ。」
「俺はお前たちみたいに頭がさえてないからなぁ。泥臭いのでちょうどいい。」
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