45 生存

「わざわざアメリカからやって来たんだ。送迎くらい頼まれてくれたっていいだろう。」

「そうよ、だからここから一番近くて、それなりに高いホテルを用意したのよ。上にも気を遣ってもらってわざわざね。」

「当然さ、私は妻にも会えないんだからな。」

「ねえ、お願い。仕事なんだから協力してよ。」

「協力してるだろう、ただ私は、せめて娘との時間を共にしたいだけだ。」

「それが、送迎とご飯を一緒にすること?おまけに一緒に宿泊してって勘弁してよ。」

この日から土山の父、當次郎の捜査協力が始まる。

その旨を伝えると、彼から娘に送迎を頼みたいと提案をだしてきた。

「俺の一存では決められないからな、本人を連れて行くよ。」

そうして、彼女を連れて當次郎を迎えにいった。

後部座席で親子喧嘩がはじまってしまった。

「ダンさんなら何でも聞いてくれるって思わないでよ。こうやって迷惑かけるのもだめ。」

「なあ、また百歩譲ってだな、飯と送迎は空いてる時間があれば良しとしてやれ。トージもこっちで会える人間は限られてる。ただ成人した娘と同じホテル暮らしするのはアウトだな。」

「ほらね。」

「わかった、食事は一緒にだ。わかったな。」

「わかったわよ。」

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