43 親

政府関係者、警察関係者など国にとって重要な職につく者はあらゆる情報が調査される。

それは、たとえ家系がそういう仕事についていたとしても厳重に調べらあげられる。


「母親の旧姓だったから最初誰だかわからなかった。だいたい、誰も両親の名字を名乗っていない事の方がどうかと思うがね。」

「身バレしちゃいけない仕事なんだろうな、といのは小さい頃なんとなく感じてました。お父さんはたまにしか帰って来ないのに、お母さんは何にも言わないし。なんだったら、お姉ちゃんも寮制の高校に上がってから雰囲気がお父さんに似てきて…きっと同じ仕事をする為に覚悟ができたんだなって思って。」

「そうか、お前ら離れて暮らしてたのか。」

「今でこそ同じ巣の中だけど、昔はすごく仲よかったわけじゃないんです。お父さんはいなかったから、お母さんが一人で頑張ってて、お姉ちゃんは家にいないし…だから、反動なのかな。昔するはずだった家族を、今なら、みんな大人になって、知らなかった事も分かって、理解できて、受け止められる準備ができたから、3人で迎えにいこうって。ちゃんと、お父さんとお母さんを探し出して連れ戻して、それでやっと家族になろうって。」

ハル子は京都にきていた。

「そんな昔話、聞かせる為にわざわざこんな西の都まできたんじゃないだろうよ。」

「はい、だから、いつかの恩を返してもらう為にきました。力を貸していただけませんか、橋本さん。」

「なあ、嬢ちゃん。俺はあの時言ったはずだ。“このご恩は一生忘れない。あんたが望む事はいつどこでもなんべんでも、なんでもやるよ。”ってな。だからな、お安い御用だってやつだ。」

京都にあるとある組織の幹部が、鈴木ハル子の協力者となった。

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