41 大平
「一丁前に、大平なんて名乗っちゃって。誰かと思ったじゃん。」
「仕方ないでしょう。年齢詐称してるんだから、バレたら元も子もないの。」
「警察官が堂々と何言ってるの。」
「何言ってんだ、公安なんて真っ黒だぞ。なぁ、マキさん。」
「私に振るな。」
ごそっと出てきたクローン実験についてのデータをセキュリティが独立しているオフラインのPCで確認している。
「初期の資料もあるから、もともとアメリカにいたメンバーがアジアで独自の研究を進めた流れのようね。ヨーロッパでも一時期話題になったけど、あれとは違うラインみたい。」
「なるほど、当時のメンバーは散り散りになってるというわけか。」
「今回のテロとどう繋がるのか、さっぱりだな。」
「堤下、全部洗わせるわ。韓国で潜ってる人と連絡とれる?」
「ああ、お望みとあればな。だが、政府関係は少しハードルが高いな…。」
「彼なら出来るだろう。パリにいた、」
「また、加賀美ですか。彼、大丈夫?」
「木ノ下さんがフォローしてくれてるよ。彼なら任せられる。」
佐伯はハル子に身体を向けた。
「普通なら潜入捜査官が誰なのか、というのは上官1人しか分からない。リスクが高いからな。だが、そりゃ普通の案件の話だ。マキさんも姉さんも、国家公安の幹部。」
「公安の幹部…。」
「そう。さっき言ってた"上"ってのは、政府関係者になる。だから念入りに裏ドリする必要がある。わかるな?」
「もう国際問題は避けて通れないって話だから、上も慎重になってるの。」
「…わかった。集中する。そらに当たってなんだけど、アシスタント、雇っていい?腕のいい知り合いがいるの。」
「信用問題ね。」
「お姉ちゃんも知ってる人。」
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