38 堤下

現代のとある一室にて。

「まだ見つかんないって?」

「ああ、公安があの手この手で探し回ってんだがな。」

「張ってたんじゃないの?」

「巻かれてなきゃ訳無いさ。もしくは…」

ぷちり、とピンクのストラップの紐が切れ床に落ちた。

「お陀仏って事、あるかもな。」

「それどっちでよ。」

お揃いで買ったストラップは、もうボロボロになっていた。

次はいつ、3人であのテーマパークに行けるのか。新しいお揃いのストラップが欲しい。見せかけでも繋いでくれるなら、安心する。

切れた紐を結び直すフユ子をみて、「怨念だな。」佐伯は言った。

「あんた、自分の部下の管理くらいしっかりしなさいよ。」

そう言って、ビデオ電話を切った。

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