33古い記憶

捜査一課の日引が内密に司法解剖を再依頼した情報を耳にし、彼について少し調べる事にした。

元奥さんは監察医。長男は法医学者。次男は刑事。殉職。

なんという家族構成。ハル子自身も言えた事ではなかった。

「そんな古い調書どうしたんだ。気になることでも?」

「日引という刑事が再解剖を依頼したのが身内だったと聞いたので。」

「あの人は今、あんたの姉さんの班員だから心配する事ないよ。それよりこれ、あんたの妹の始めての殺人事件だ。これ、そうでなくても色々あってな、ちょっと有名なんだ。」

佐伯はハル子からファイルを奪い、パラパラとめくる。

そしてあるページを、さした。

組織犯罪対策部 合同捜査本部 という字があった。

「合同捜査…これもですか。」

「まあ、それもそうなんだが…組対にも新人がいてね。それが日引の息子だったんだ。」

そして彼は後に亡くなった。

「事件が、関係しているんですか?」

「そう勘繰る者もいる。何せ、詳細は身内ですら知らされていない上だけの事情だ。姉さんが知ってるか否かは俺には分からない。」

調書には犯人が逮捕されたとは記されていなかった。

記されていないだけなのか、逮捕されていないのかこんな紙切だけでは判断できない。

「それにしても、あの子、接点あったんだ…」

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