24元夫婦

東京都文京区

東京都監察医務院の近くの駐車場に一台の車の中。

ダンが運転席に座り、医の元妻、橘弥生がお弁当を共にしていた。

「炭化するまで焼くにも、限度があるよなぁ。」

焼き過ぎな卵焼きを箸に取りながらダンは言った。

「何体かのうち、一番身元が確実に割れる可能性大なのが焼死体。組織状態が固定れるからだけれど、骨おるわよ。」

死体は息を吸わない。焼かれる前に死んだのか、解剖後すぐ判明する。が、身元となれば話は別。

「仕方ねぇさ、長丁場な上にデカすぎるヤマだ。俺達の世代じゃ今回が最後かもなって話だ。」

「何それ、引退でもするの?」

「違うよ、それだけながーい試合になるって事だ。悪いな。」

言い終えるとお弁当をかきこむように食べた。

「あいつには話通したか?」

「自分で頼んで来なさいってよ。でも向こうも忙しいみたいだから、一応データは送ったけど。場所分かる?」

「ああ。助ける。これから行ってくるよ。」

「私は、余計な事言うつもりはないけれど…あんまり危ない言はしないでちょうだいね。また、何かあったら」

箸を止めた弥生を、ダンはペットボトルの水を差し出した。

「分かってるよ、大丈夫とは言えねぇが、俺の心配はするな。迷惑かけるが、すまねぇな。」

夫婦の間には、二人の息子がいた。

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