23パリの彼へ
Wait for report of mission end.
「っと…送信。」
パリにいる、部下にメッセージを送る。
佐伯は加賀美の素性を知ったうえで、刑事課から公安部に引き抜いた。
一体誰が何の機会にそうなったか分かっていないだろう。
顔も本名も知らされていない相手から毎日連絡がくるなんとも言えない緊張感を、彼は何日も続けている。
仕事以外は自由とはいえ、公務員で仕事出張にプライベートはほぼない。
そういったストレスにも耐性がある彼が選抜されたのだ。させた。
「耐えてくれるね、まったく。これが落ち着けば一時帰国だ。」
小笠原諸島に広がる海。
そのはるか向こうに彼はいる。
木ノ下のおっさんが久しぶりに良い奴見つけたんだ、と相当気に入って資料待ってきたのを思い出す。
相当な気の入りようだったので、洗い出したら適任者ときた。上に報告をしたらすぐ異動の話が出た。はじめは、木ノ下のおっさんは珍しく、絶対こいつはやらんと言い張っていた。それを説得したのは長官だった。
あの時は悪いことをしたと思ったが、加賀美の働きぶりを見る限り、結果は良好。加えて他の奴より働きも良い。部下で良かった。
顔も、本名も、打ち明けることは出来ないが、佐伯は加賀美を信用していた。
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